カンボジアは遠いか 1998年4月24日(金)


 朝6時に寮を出た。昨日は寝たのが2時頃だったので非常に眠い。眠りながら歩いていて、地に足がついていない感じだ。福岡空港までの道のりと空港内は前に一度来ているので見慣れたものだ。それでも空港に来ると何だかわくわくして、腹の底から喜びが湧き上がってくる感じだ。自然に顔がニコニコしてしまう。空港で買った貴重品入れは失敗だった。T/Cがぎりぎり入らない大きさなのだ。あと5mm長さがあればいいのに。もう無駄なものを買ってしまった。

 出国手続きで初めて手荷物検査に引っかかった。ハサミは以前にも持って行ったことがあるが、引っかかったことはないぞ。また、キンチョールのスプレーもいけなかったらしい。機械が反応したのはそっちか。その二つは預けることになった。キンチョールの缶とハサミ・・・二つ並べて置かれると、なんか怪しく見えるな。俺が何か企んでるみたいだ。今回の旅行中、全ての空港で引っかかるのだろうか。面倒なもん持ってきちまったな。

 9:35に福岡を飛び立ち、現在10:35。10時ごろから鹿児島空港上空にいる。天候が悪くて着陸できないそうだ。なんで鹿児島経由なんだ? 知らなかったぞ。鹿児島なんか寄らずに直に香港行けよ! 国内でつまづいてるなんて腹が立つ。乗り継ぎできなかったらどうなるんだ。機内放送では、最悪の場合福岡に戻ってから香港に行くとか言ってるぞ。おいおいおい! 香港行け! 戻んな! 俺は今日カンボジアまで行くんだ。ロイヤルエアーカンボージュ(VJ)に乗れなかったら行けないじゃないか!

 11:05着陸した。約1時間鹿児島上空にいた訳だ。ごくろうさま。でもこの先も安心できんな。何かこの旅の先行きを暗示しているような・・・。

 14:45香港着。現地時刻は13:45。間に合うのか? と思ったけど、そうか、時差があったんだ。時計を1時間前に戻した。噂に聞いていたとおり、香港の空港は都会のど真ん中にある。高層住宅が立ち並ぶすぐ上を飛行機が飛ぶのだ。以前中央林間に住んでいた時、厚木飛行場の飛行機がうるさかったけど、ここは想像を超えるうるささに違いない。こんなとこ住みたくないな。

 15:45(香港時)ごろ離陸。今度はJAA (Japan Asia Airways) だ。窓のない席になってしまった。途中、ベトナムのダナン上空を通るそうだ。ダナンには行かないけど、何か見えるのかな。でもどっちにしろ窓がないから見えない。機内ではまた朝7:00のNHKニュースが流されている。もうさっきの飛行機で見たって。

 今回はスチュワーデスがとてもきれいだ。日本人かと思ったけど、しゃべっているのを聞いたら日本人じゃない。中国語かな。周りの客と同じ言語らしい。私もその中華系の客の1人だと思われたのか、同じ言葉で聞かれる。その後英語だ。しかし綺麗だなあ本当に。

 17:15(現地時)バンコクに到着。時計を更に1時間前に戻す。キンチョールのおかげで乗り継ぎに時間がかかる。キンチョールとハサミを受け取った時、出発まで1時間を切っていた。入国した意味が全然ないぞ。VJのチェックインカウンタを探して走り(途中であのスチュワーデスさんを一目見られた!)、見付けるとそこは人けがなかった。ヤバイのでは? 心配になる。次は出国審査の場所がどこかわからず走った。なんのことはない、チェックインカウンタの柵を出た真正面だった。しかし! 500バーツの空港税が必要だとそこで知る。おいサンポード(今回航空券を買った大阪の旅行会社)、前もって教えとけよ。飛行機に乗り込むと私のボーディングパスにある座席番号の席が埋まってる。なんで? 空いてる席に座らされた。しかしめちゃくちゃ暑い! 小さい飛行機だな。

 20時ちょい過ぎ。ようやく到着しました、プノンペン。外は真っ暗。着いてすぐVISAの申請用紙に記入していると、

 「一人か? ホテルはどこだ? 連れてってやるぞ。5ドルで。」

と話しかけて来る30才前後の兄ちゃんがいた。VJの職員だ。まだ入国審査もしていないところでだ。信用して良いものかどうか、初めは適当に聞いていた。もう一人別の兄ちゃんはアプリケーションフォームを記入してくれて、手続き中ずっと付きまとってきた。

 外へ出るとタクシーやらバイクの兄ちゃんがたくさん寄って来た。どんどん値段は下がったがバイクは怖いのでやめておいた。そしたらバイクの連中は最後に、

 「フリー!」

ときたもんだ。なんなんだ、とても疑わしい。結局最初に声を掛けてきたVJの兄ちゃんに付いて行き、彼の車に乗った。

 私は後部座席に座り、助手席には彼の奥さんと子供が乗った。ちょうど帰るところだったのか、安心させるための作戦かはわからないが、私の警戒心は少し和らいだ。Rex Innに行きたいと最初に言ったのだが、彼のおすすめの宿に連れていかれた。外が暗かったのでいったいどこに連れてこられたのかわからなかった。宿の名前はMORAKAT HOTEL。セントラルマーケットの近くらしい。食事するところも近くにたくさんある。

 途中車の中で彼と話したが、私が英語を10年間も勉強したと言うととても驚かれた。彼は1年間勉強したそうだ。しかし彼の方が明らかに流暢に英語を話す。いつもながら恥ずかしい。彼は英語のTeacherをやったこともあるそうだ。町の英語塾か何かだろう。彼は来月からOfficerになるそうだ。空港からOffice勤務に移り、給料もアップする。会社にOfficerは何人もいない、ととても嬉しそうに話してくれた。途中大学があり、彼はそこを出たと言っていた。VJって国営だからな。やっぱりスタッフは国の中でも優秀な人たちが集まってるんだろう。

 シェムリアップに行くチケットを取りたいと言ったら、明日朝8:00に迎えに来て、トラベルエージェンシーに連れて行くことを約束してくれた。航空会社の人だからその辺は詳しいだろう。明日は土曜日だし、とても助かった。

 自分の中でのこの、人を半分信じて半分疑ってる感じ。これまでの旅行で身につけたものだと思う。いいのか悪いのか。でもこの部屋、ちょっと良すぎる。テレビと冷蔵庫は無くてもいいぞ。鏡台も。快適すぎる・・・。まあ初日だから安心できていいか。

 いやー今日は本当に強行軍だった。特にバンコクではあわただしかった。なんとかここまでたどり着けて良かった良かった。さて、今後はシェムリアップへのチケット次第。それによって予定が変わる。決まっているのは29日にはカンボジアを出国するということだけだ。トラブルが起こらないことを願う。

 現在23:08。おやすみ。キンチョールはVJで没収された。

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