令和元年8月15日から20日まで、鹿児島アリーナにて「令和元年度全国高等学校総合体育大会卓球競技 第88回全国高等学校卓球選手権大会」が開催されました。

 心配していた台風は14日のうちに通り過ぎ、時折強く雨が降ることはありましたが、台風の影響は全くありませんでした。

 
 初日の15日は台風の影響を考慮して、朝8時から予定されていた公式練習が午後からスタートとなりました。公式練習は13:30より男子と女子が30分ずつ1台を使えましたが、それ以後はフリーとなり、交代での練習が開会式後も19時まで続く異例のスケジュール。公式練習の合間を縫って、組み合わせ抽選会、監督会議、開会式が行われました。

 組み合わせは男子が初戦シードとなり、2回戦(16決定戦)が帝京安積(福島)と明秀日立(茨城)との勝者と。女子が1回戦で開志国際(新潟)と対戦し、勝てば就実(岡山)と対戦することになりました。

 16日には男女学校対抗1回戦と2回戦が行われました。

 先陣を切った女子は1回戦で開志国際(新潟)と対戦。

 
 トップのエース白神ひかる③は中国人留学生と相対します。警戒して慎重になり過ぎた1セット目を取られますが、落ち着いて修正して2セット目以降は危なげないプレーで主導権を握り3-1で先取点。

 
 2番の口地恋菜③は1年生エースのカット選手と対戦。丁寧に粘り、チャンスボールを確実に決めて2セットを連取。しかしリードしていた3セット目を逆転され12本で失うとイヤな雰囲気に。案の定、大量リードしていた4セット目を追い上げられてヒヤリとしましたが、慌てず落ち着いて8本で逃げ切りに成功。

 
 こうなると勢いに乗るダブルスの白神・日口実咲②組は、気落ちした相手に対し1セット目を3で抑えてリズムに乗ると、その後も要所を抑えてストレートで勝利し、チームも2回戦進出です。

 ベスト16を賭けて名門・就実(岡山)と対戦。一昨年のインターハイでも敗れている強豪チームです。

 
 トップの白神はエース対決。果敢に攻める白神ですが、凡ミスも少なく威力のある相手に8本で失います。2セット目は2-5から5本連取で逆転するも、10-10で追いつかれ再逆転負けの痛いセットに。その後も大きい展開に持っていかれて7本で落としました。

 
 2番には1年生の番条を起用。強豪相手になかなか思った展開に持ち込めずに7で先取されます。雰囲気にも慣れ始めた2セット目は出足から飛ばして7-1リード。しかし粘り強い相手に徐々に迫られて9-7でたまらずタイムアウト。追いつかれて開き直った番条に持ち前の思い切りの良さが甦り素晴らしいラリーの応酬。しかし12-11でのスーパーラリーを取られて力尽き12本で落とすと挽回する力は残っていませんでした。

 
 こうなると白神・日口組のダブルスも、相手の徹底した戦術に、1セット目を奪われます。しかし叩かれるボールを待てるようになり8で追いつきます。3セット目は相手のペースで一方的な展開に。何とかしたい4セット目を7-5とリードしたところで相手がタイムアウト。息を吹き返した相手の猛攻に押されて8で万事休す。

 表ラバーの選手が多い本校に対し、徹底した戦術を取られました。もちろん、それには高い技術と強い気持ちが必要です。根本的な問題なので簡単ではありませんが、次のステップに進むには避けて通れない課題でもあります。

 1回戦シードの男子は勝ち上がってきた帝京安積(福島)と対戦。

 
 トップは阪。強気なプレーでミスも出ますが主導権を握り10-7でリード。しかしその後は強引なプレーで追いつかれ11で落とす苦しいスタート。2セット目は6で取り返すも、相手の鋭いサービスに苦しむ重い試合に。その後はレシーブミスを繰り返し、相手にも勢いが出てきて簡単にセットを連取され痛い失点に。

 
 相手エースながら何とかしたい2番は伊藤。大きいサービスから威力のあるドライブを連打してくる相手に、速い両ハンドで対抗します。しかし丁寧に行くと狙われ、無理して攻めるとミスが出る悪循環で7で取られます。更に苦しくなった2セット目を2-9とリードされますが、開き直ってプレーすると相手もリズムを崩して点差が縮まります。9-10と迫ったところで相手がたまらずタイムアウト。すると相手のナイスボールが決まり後がなくなります。3セット目も相手ペースのまま進んでチームも追い込まれます。

 
 何とか流れを変えたいダブルスの阪・久保田組にでしたが、勢いの差は明らかで、簡単にセットを取られます。2セット目もリードされますが挽回して接戦に。12-12でタイムアウトを取るも12で取られて後がなくなります。3セット目は後半引き離して9-5リード。ところがここからチグハグな戦術でペースを乱し、気がつけば6本連取で、チームもまさかのストレート敗けを喫しました。

 勝負の厳しさを思い知らされた敗戦でした。昨年の秋以降、団体戦ではキャリアを積み実績を残した自負はありましたが、まだまだ甘いところがたくさんあります。大会後にしっかりと検証しなければなりません。

 競技2日目の17日はダブルスの3回戦までが行われました。

 
 男子の阪拓海・久保田大輝組は県予選で2位だったこともあり第1シードの真下、いわゆる「パッキン」です。初戦は樹徳(群馬)と対戦。出足は昨日同様、緊張からか硬くなりリズムに乗れないまま8本で失います。2セット目になってもモタついて後半の競り合いに。最後の大事な場面で、甘く入ったボールを相手の凡ミスに救われて1-1に戻します。そのあたりから徐々に本来のリズムを取り戻して尻上がりに調子を上げ、2セット目以降は9、8、5と抑えて3-1で初戦突破です。

 
 続く2回戦は第1シードの野田学園(山口)。昨年度シングルス優勝の三重県出身選手が組む優勝候補です。これ以上ない強豪との対戦でテンションも最高潮。思い切ったプレーで対抗しますが、そのボールを簡単に狙われ、ほとんどまともに先手を取れないまま7、6と奪われ後がなくなります。しかし3セット目をリードされたあたりから少しずつ慣れてきて、相手のファインショット以外は返球できるようになってきました。9-9から相手の台上強打を久保田がカウンター気味に返球し10-9。最後は先手を取ったドライブを相手がカウンターミスをして1セットを奪って応援団も大いに盛り上がりました。4セット目は気持ちを引き締めた相手に6で抑えられましたが、結果的に優勝する相手に大健闘といえる試合でした。

 
 県予選を1位で通過した口地恋菜・古沢夏姫組は武蔵野(東京)と対戦。いつも通り気負いもなく笑顔でプレーする出足でしたが、攻めに行くボールを待たれたり、狙われたりしてポイントが伸びません。2セット目も積極的に先手を取りに行きますが、5本で取られて後がなくなります。無理に攻めずに緩急をつけると競り合いになりますが、一歩及ばず10本で惜敗。しかし最後まで笑顔でプレーする彼女ららしい最後の戦いでした。

 
 昨年度ダブルス5位入賞の白神ひかる・日口実咲組は第3シードとなり、連続ランクインにチャレンジです。初戦は正智深谷(埼玉)のカットペアと対戦。警戒はしていましたが、粘り強いプレーに苦戦を強いられました。追いつかれた1セット目を11本で奪われる苦しいスタート。2セット目も10-7から追いつかれますが、何とか10本で振り切って1-1の振り出しに戻します。結果的にはこのセットが勝負のポイントになりました。以後も長いラリーが続く大接戦となりますが、セットオール7本で抑えて3回戦進出。

 
 3回戦はリベルテ(大阪)と対戦。大きなスイングから強烈なドライブを放つ相手に11本で先取されます。少しずつ相手のボールに慣れてきた2セット目以降は、持ち前のカウンタープレーが決まり始めます。そうなると無理をする相手にも凡ミスが出始めて、6、9、5とシャットアウトする完ぺきな内容で翌日の4回戦(ベスト8決定戦)に進出です。

 競技3日目の18日はシングルスがスタート。

 午前中は男子シングルス1回戦。

 
 久保田大輝は地元の鹿児島商業と対戦。出足から過度に緊張している様子が見える相手に対し、久保田は団体、ダブルスと場馴れをしている分、有利だったと思います。出足は久保田も力みがありましたが、徐々に冷静さを取り戻して一方的な展開に。7、6、2とシャットアウト。

 
 阪拓海は福井商業と対戦。練習試合では勝ったことのない相手でした。しかし臆することなくスタートから積極的なプレーで機先を制し有利に試合を進めます。8、8と2セットを連取するこれ以上ないスタートダッシュ。”ところが”と言うより”やはり”相手も追い込まれると開き直ってグイグイ盛り返してきます。3セット目をあっさりと取られると、4セット目もリードを許します。中盤で相手が意識したところに付け込んで7-7で追いつきますが、押し切れずに12本で落としセットオールに。苦しい展開ですが、出足から気持ちを奮い立たせて5本で抑えて熱戦に終止符を打ちました

 
 伊藤実は埼玉栄と対戦。接戦の1セット目を強気なプレーで10本で先取する幸先良いスタート。7-10とリードされた2セット目を相手のミスもあり追いつきますが押し切れずに11本で取り返されます。勝負の3セット目。お互いになかなかリズムに乗りきれず一進一退の攻防。後半の勝負どころをミスで失い8本で追い込まれます。すると肩の力の抜けた相手に、出足からしっかりと攻められて1-3で敗退。両ハンドのバランスの良さとプレーの速さが身上ですが、勝負どころでの足を使った積極性が全国大会で勝つためのポイントと見ます。きっと次の全国大会までには課題を克服してくれることでしょう。

 
 白神ひかるは武蔵野(東京)に対し、前半はセットを取り合い1-1に。その後もポイントは大きく離れず接戦になりますが、こういった試合に滅法強い白神は、要所をしっかり締めて8、8で抑えて危なげなく2回戦進出。

 
 口地恋菜は進徳女子(広島)と対戦。果敢に攻めますが大きく動かされ、持ち前の前についてのプレーを封じられます。中盤から相手に打たせる戦術も使いますが、なかなかポイントが伸びずに苦しい展開に。気持ちを切らさず最後まで相手に食らいつきましたがストレートで敗れます。小学校に入学して間もないころから電車に乗って練習場に10年以上通い続けた彼女です。常に県のトップ選手として数多くの全国大会に出場してきました。勝てない時期もありましたが、めげずに明るく頑張り続けた彼女には大きな拍手を送りたいと思います。

 
 古沢夏姫は徳島商業と対戦。決してやりにくい戦型ではないので、序盤からまともに打ち合う展開で試合は進みます。1セット先取後にペースを掴みかけますが押し切れず13本でタイに戻されます。3セット目を8本で奪い追い込みますが奮起した相手に1本で取られてセットオールに。最後も接戦になりますが8本で敗れました。サービスが効果的で得点源となりましたが、攻めるボールが決まらなかったのが苦戦の原因か。恵まれた体躯を活かしての両ハンドドライブで活躍した彼女。1年次の東海センバツ、2年次の全国選抜など、特に団体戦後半で劇的な勝利でチームを救ったプレーが印象に残ります。

 
 番条梨沙は敬徳(佐賀)と対戦。コート変更に気づかず慌てて台に入ったせいか1セット目を奪われます。前半リードするものの弱気になって1-2のビハインドとなります。しかし相手も勝ちを意識して接戦に。最後は粘る相手を7本で振り切って2回戦進出。

 シングルスが終わってからダブルスのランク(ベスト8)決定戦が始まりました。

 
 昨年のこの大会で劇的な勝利を挙げてランク入りした白神ひかる・日口実咲組が連続ランクインにチャレンジです。相手は高知の明徳義塾。攻守に緩急をつけながら有利に試合を進めますが、1セット目を9本で落とします。バックサイドに徹底してボールを集める相手の戦術に対し、しっかり動いてしっかり粘ります。しかし相手も簡単なミスがほとんどなく、威力に勝る相手に強烈なドライブを浴びせられます。後がなくなった3セット目は気力を振り絞り相手に向かいます。途中、目の覚めるようなカウンターが飛び出したり、こちらの粘りに気圧(けお)されたようなミスにも助けられ10-10となります。チーム白子の大声援を背に必死のプレーで対峙しますが、相手を褒めるしかないスーパーショットに12本で力尽きました。

 連続ランクインはなりませんでしたが、気力あふれる必死のプレーに大きな拍手が送られました。


 競技4日目の19日はシングルスの2回戦から5回戦です。

 
 久保田は安田学園(東京)と対戦。バランスの良い両ハンドから強烈なドライブを武器にする強豪です。気持ちで負けていては勝負になりません。出足から積極果敢に攻めますが、力が入りすぎてミスが目立ちます。無理してフォアハンドで攻めようとしてバックハンドが疎かになる悪癖も出て、ポイントが伸びずストレートで完敗でした。少しずつ試合でも力を発揮できるようになってきましたが、まだ気持ちのコントロールの不味さなどで”不発”に終わることが多くあります。地道に練習に取り組めるようになってきているだけに、今後に期待したいと思います。

 
 阪は作新学院(栃木)と対戦。序盤から気持ちのこもったプレーで相手を圧倒し4本で先取。続く2セット目も押し気味に試合を進めますが9本で惜敗。徐々に調子を上げる相手に4本で奪われますが、気持ちを立て直して6本で取り返してセットオールに。スタートダッシュ良く5-3でチェンジエンド。あと1本離せば相手の気持ちも折れそうですが、開き直った相手に6-6で追いつかれます。手数をかけて1本を取りますが、相手は一発でポイントする我慢比べ。勝ちを意識した相手に猛攻を仕掛け10-8でロビングに追い込みますが…。今大会は団体戦で悔しい敗戦を喫しましたが、気持ちを立て直したダブルスから本来の力を出すことができました。インターハイに向けて取り組んだ技術を計画通り試合で使うなど、地道な努力で一段ずつ階段を上るスタイルは変わりません。

 
 番条は郡山女子大附(福島)と対戦。肩の力が抜けているとハイレベルなプレーを見せてくれる半面、勝負どころで腰を引いてしまうプレーで”勝てそうで勝てない”展開が続き、ポイントこそ競るもののストレートで敗退です。苦しいときに苦しそうなパフォーマンスが出てしまうところに課題の源泉があると思います。当たり外れが大きいのはプレースタイルではないのは明らか。恵まれた才能を生かすも殺すも自分次第です。1年生で出場したアドバンテージを活かすことができれば、全国で勝てる選手になれるはずです。

 
 白神はダブルスでもベスト8に入った希望ヶ丘(福岡)の選手と対戦。上位進出のポイントとみられた試合です。キレの良い両ハンドプレーの相手に対し、硬軟取り混ぜたプレーで対抗する白神。1セットを6本で先取した後、競り合いになった2セット目を11本で奪って完全に主導権を握ります。相手に何もさせずに快勝で3回戦に進出です。

 
 続く3回戦では木更津総合(千葉)と対戦。相手も連勝して上がって選手だけに厳しい試合になると思われましたが、序盤から相手に全く何もさせずに試合が進みます。攻守のバランスもよく、思った以上の内容、結果でストレートで圧倒。ランク決定戦にコマを進めました。

 
 ダブルスでは一昨年は森本枝里さんと組み第3位入賞、昨年は日口実咲と組み第5位入賞、今年もベスト8決定戦まで進むなど好結果を残してきた白神ですが、シングルスはこれと言った結果が残せていません。ラストファイトにかける今年はついに”ラン決”に進出。相手は団体優勝の四天王寺。サウスポーから繰り出す強烈なドライブに押され、攻めてもしのがれラリーから逆襲を受けます。1セット目を4本で失います。少しずつボールに慣れ始め、持ち前の粘りと思い切りの良さが噛み合いだして接戦に。しかし要所で鋭いアップダウンロングサービスでポイントを奪われて波に乗れません。結局、4、8、9と抑え込まれて万事休す。入学してすぐのインターハイでセンセーショナルなデビューを果たした彼女ですが、その後は体調不良に苦しみ試合にも出られない時期もありました。それでも誰よりも必死に練習に取り組む姿勢は3年間変わることなく、チームのそして三重県のエースとして結果を残し続けました。卒業後も大学で競技を続ける彼女ですが、さらなる高みを目指して取り組んでくれると確信しています。

 
 台風で出鼻を挫かれた今大会でしたが競技日程に大きな影響はなく快適に試合に集中できたことは、地元鹿児島の関係者、とりわけ審判等で奮闘した高校生たちに感謝したいと思います。

 九州最南端の鹿児島まで、飛行機で、新幹線で、そして自動車で半日かけて、出場選手全員のご家族のみならず出場していない選手のご家族も駆けつけて下さり、アツい応援で選手たちを鼓舞していただいたり、宿舎と会場との間を送迎していただいたりと、フル回転のバックアップで支えてくださいました。

   
 言葉では言い尽くせない感謝の気持ちでいっぱいです。

 ありがとうございました!

鹿児島インターハイ
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