第3回 小松寅吉・小林和平作品ツアー 2

日没になる前に、もう一か所だけどうしても行っておかなければならない場所がありました。
須賀川市郊外の保土原神社。ここになんと、和平の昭和6年の狛犬がいるというのです。

保土原神社

この神社、実は前月の6月11日、郡山を起点に和平狛犬を探しに出た2回の探索のうちの最初のときに、事前にリストアップしてあった神社です。

●三穂田町
和気神社、八坂神社、八雲神社、
●岩瀬村
白方神社、神明神社、熊野神社、矢沢神社、白山寺、鹿嶋神社(深渡戸と大久保)、
金比羅神社、(横宮神社は神社そのものを発見できず)
●長沼町
八幡神社(志茂)、石背国造神社、石上布留神社、三嶽神社、茂原神社、八雲神社、
鉾(木偏の「ほこ」)衝神社、磐女神社
●天栄村
若宮八幡宮、広戸神社、坂宮神社、武隈神社、
●須賀川市西部
春日神社(泉田)、保土原神社
●大信村
熊野神社、胡四王神社、鹿嶋神社、愛宕神社

これがそのときリストアップしてあった30社。
どうしても見つからなかったのが1社ありましたが、他は全部チェックしたつもりでした。
なぜ見落としているのだろうと検証してみました。
その日は雨が降っていて、21番目の鉾衝神社(あのエリアでは最大の神社)にいなくて、かなりがっくりきました。しかも、助手さんが雨の参道で足を滑らせ腰を強打。戦意喪失のまま残りを回っていったのですが、保土原神社はカーナビにインプットした地点が少しずれていたようで、通り過ぎてしまったようです。
見つからず、あれ、戻ったほうがいいのかなと思い始めたとき右手の山奥に社がかすかに見え、これだ、と思ってそばに車を停めて行ったら、稲荷神社。
文政のキツネがいて、すっかりそのキツネの撮影に夢中になってしまったという次第。
これが保土原神社かと思いこんだのですが、まったく別の神社でした。その稲荷神社は地図にも載っていなかったので分からなかったのですが、なんということ!
30社リストアップして、見逃したのが2社。その2社のうち1社に目的の和平狛犬がいたなんて。
かつては狛犬に呼び止められたこともあるのに、やはりこのところ気持ちが濁っているんでしょうか。
よほど和平に嫌われたのかと、しばらくはショックでした。
しかし、考えようによっては、目の前をすっと通り過ぎていってしまった私たちを見送っていた和平狛犬が、もう一度呼び戻してくれたのかもしれません。きっとそうでしょう。そう思うことにします。
保土原神社の狛犬 保土原神社の狛犬

保土原神社 吽 保土原神社 阿
保土原神社 吽
保土原神社 銘 保土原神社 台座 これで、和平狛犬は昭和5年の石都都古別神社に始まり、6年保土原神社、7年古殿八幡神社、8年羽黒神社、9年鐘鋳神社……と、5年連続して1対ずつ造ったということが分かりました。
狛犬制作に開眼する石都都古別神社の狛犬、造形美と個性が高度に調和した古殿八幡神社の狛犬のちょうど間にはいるのがこの狛犬ということになります。
前後の大作に比べると、大きさはひけをとりませんが、彫りがやや雑な印象を受けます。しかし、デザイン的には、石都都古別神社の奔放さから古殿八幡神社の完成度の高さへと移行する過程を如実に表していて、実に興味深い存在になっています。
脚の位置は石都都古別型、尻尾は古殿型ですね。悩みながら造った「試作品」という位置づけができるかもしれません。
奉納者は保土原屋材木店で、この保土原の地から石川町に出て行って材木商を成功させたようです。
■Data:保土原神社(福島県須賀川市保土原): ο建立年月・昭和6年6月。ο石工・石川郡澤田村石工小林和平
ο撮影年月日・2004年7月23日。

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