最新技術情報
<Calf & Heifer>子 牛の哺育育成に関する事についての技術情報です。

冬場の子牛の代用乳についての考え方


子牛の成長を促進するために脂肪に比べて蛋白が高い代用乳が多く市販されるようになって来ました。 夏場はそれでよいかもしれませんが、北海道のような寒冷地では冬場体温維持のために必要なエネルギーは想像以上に大きなものとなります。特に牛床が湿って いたり、風が吹き込むようであると体温を維持するためにそれだけ多くのエネルギーが必要になります。よって、おかれた環境にもよりますが、冬場では代用乳 の脂肪含量が高いもの(脂肪25%、CP25%など)に切り替えたほうがよいかもしれません。逆に夏場にこのタイプの代用乳を給与するとエネルギーが高く なりすぎて太ることが考えられます。このように代用乳の銘柄選定(CP含量と脂肪含量)、そして給与量は気温に応じて、そして希望する増体量に応じて決定 すべきものだと思います。(文責 MCCS 武中慎治)


子牛の水 はいつ与えるか?


子牛の哺乳後すぐに水を飲ませると食道口反射によりルーメンではなく第四胃に流れ込み、ミルクを希 釈し消化率を下げる恐れがある。よって、水は哺乳後、15分から20分たって給与するのが望ましい。(Dairy Herd Management May,2005) 水はスターター摂取量を増加させるが、寒冷地では冬場、水が凍るので、水を与えない ことが多いので、この報告を参考に哺乳後20分後に水を給与することを実行するとよいのではないでしょうか?

カーフ ハッチのアンモニアは子牛の気管にダメージを与える


アンモニアは子牛の気管にダメージを与え、ダメージを受けた気管は呼吸器系の病原菌を排除すること ができなくなる。このことは呼吸器系の病気をお越しや憂くする原因となる。(Dairy Herd Management May,2005)


子牛の下痢、肺炎の考え方


牛が病気にかかることは不思議なことではなく、生きていることの方が不思議である。生まれた子牛は 免疫力がほとんどないため、生れ落ちた瞬間から病気の感染に脅かされる。酪農家では1年中子牛が生まれるため、常に新しく感染する危険性をはらんだ子牛を 抱えることになる。これらの子牛の多くは親牛と同じ場所で飼われ、感染源に近いところで育つ。病原菌は子牛から子牛に感染するたびに増えていくので、子牛 はあたかも病原菌の工場のようである。下痢と肺炎はそのいい例で、USDAのレポートでは離乳前の子牛の下痢は死亡する子牛の52.5%を占め、肺炎はそ の次で21.3%を占める。これらの病気は出生後3週間の間に発生する。もし、子牛の死亡率を低下させたいならこれらの2つの問題にターゲットを絞らなく てはいけない。

これら2つの病気は互いに関係している。ストレスによってまず初めに影響を受ける器官は肺で、ストレスを受けた子牛が下痢をして、脱水症状を起こし ていたら肺も影響を受けている。このことがこれらの2つの病気が同時に起こることが多い所以である。

乳牛は遺伝的改良によって、乳頭の位置が低く、子牛の体高は高い。乳量も多く、初乳が希釈されてしまう。子牛が十分な抗体を得るための唯一の方法は 最低でも3.6リットルの初乳を飲むことであるが、このことは自然ではない。よって、乳牛は人間の手を借りずに子牛を育てることはできない。

牛の胎盤はユニークな形態で、子宮内での病原菌に対する防御機能を持たせることはできない。そのため、免疫物質は初乳を通してしか得られない。母牛 にワクチンを打ったとしても、初乳を直ちに飲ませなくては子牛には何の意味もない。子牛の免疫システムが病気に対する免疫力を獲得する能力を持つまで約3 週間かかる。それまでの期間は初乳によって与えられる免疫力に頼るしかない。

下痢や肺炎による死亡だけが子牛の生産性に悪影響を及ぼすわけではない。子牛がたとえ回復しても、治療費や診断料が酪農のバランスシートを赤字にすること もある。生きるためにエネルギーを使い果たした子牛は成長のためのエネルギーを得ることができず、成長が遅れる。重篤な肺炎を患った子牛は一生肺にダメー ジを持つため、正常には育たない。(DHM Wednesday, September 11, 2002)

Maureen Hanson is a freelance writer from La Porte City, Iowa.  


肺炎をどうやって予防するか? 


育成を任されているとき離乳前の子牛の半分以上が下痢をしており、1/3が呼吸器系の病気に犯されていた。その牧場では200頭から700頭に規模 拡大したところで、施設面と管理面で子牛に対しおろそかになっていた。現在では下痢は5%以下で肺炎は3%となっている。やったことは子牛用器具の殺菌 と、初乳の取り扱いの改善、下痢をなくすための施設の改善で、下痢をなくすことによってストレスを緩和し、肺炎も抑えることができた。

1. 良く換気された施設にする

新鮮な空気を子牛のいるところに入れるのは困難な場合が多いが重要なことだ。子牛の鼻の高さにしゃがんで10分間耐えることができなかったら、子牛 へ与える影響は大きい。アンモニアレベルが低くても肺にダメージを与えるため、空気の流れと入れ替えは不可欠である。密度を高く飼う事も避けなくてはいけ ない。ただ、換気と冷気が入り込むことは紙一重であるが、湿っていると寒さを感じるので、乾燥していることが重要である。

2. 子牛を乾燥した状態に起き、敷料を十分敷いておく

健康な被毛は寒い気候の中でも、空気をためて寒さを防ぐことができる。もし、濡れて汚れていればそうはいかない。深々とした良く乾燥した敷料は寒い 時には暖かく、暑い時には涼しくする効果がある。

3. 十分なミルクを給与する

業界の標準は約2リットルを2回に分けて給与することであるが、ある環境条件下では十分でない。非常に寒い環境下では子牛のエネルギー要求量は高くなり、 体温を維持するためにエネルギーを使い果たし成長しなくなることもある。非常に暑い環境下でも同様なことが起こる。飢えはストレスであり、肺炎を引き起こ す原因ともなる。非常に寒い環境下では3-4リットルを2回に分けて与えるか、2リットルを3回に分けて与えると良い。

4. 鼻と鼻とのコンタクトを防ぐ

唾液と鼻水は肺炎を引き起こす微生物の感染を引き起こす恐れがある。子牛同士を近づけすぎるとカーフハッチにいたとしても接触する危険はある。

5. 年齢ごとにグループを分ける

子牛を大人の牛に近づけることは肺炎の原因になる場合がある。ただ、大人だけでなく移動し忘れた年上の子牛から感染することもある。年齢の経過とともに免 疫力は向上するため、見た目は正常でも菌を保有している場合があり、子牛が病気や離乳のストレスがあるときには感染させることがある。よって、子牛はハッ チに入れて隔離し、年齢順に並べることが有効となる。

6. 母牛にワクチンを打つ

母牛にIBR, BVD, PI3 and BRSVなどの混合ワクチンを接種することで子牛の肺炎を防ぐことができる場合がある。しかし、子牛に対する免疫は初乳によってのみ与えられるので、どの ワクチンが良いのか獣医と相談する必要がある。

7. 子牛の購入は避ける

外部からの導入は呼吸器系病原菌を持ち込む可能性があり、その場合、子牛にすぐに感染する。もし、子牛を導入する場合最低1週間は隔離することを推奨す る。

8. 呼吸器系の肺炎(aspiration pneumonia.)を防ぐ

人間が作り出す肺炎として、不適切な強制投与や大きすぎる乳首の穴が原因になる場合がある。乳首の穴が大きい場合、ミルクを飲み込むより速い速度でミルク が口に入ってくるため、あふれたミルクの一部が気管から肺に入り込む。子牛は液体を肺から排出することができないため、子牛は重篤な病気になる。

9. 離乳のストレスを最小限にする

健康な子牛が約8週目の離乳で肺炎になることがある。新しい環境、飼料の変化が肺炎の菌の感染しやすくする。離乳時に耳票をつけたり、刺青を入れたり除角 したり、去勢したり、更なるストレスを与えることは避けなければならない。これらの作業は離乳前に行い、回復を待ってから離乳することが望ましい。

さらに、離乳直後の子牛には一定量の粗飼料とカーフハッチで与えていたのと同じスターターをを与え、ルーメンの発育を促し飼料の変化に適応できるようにし ておくことを推奨する。子牛が健康で慣れて来たことを確認してから穀類を変え、粗飼料の自由採食に移行させると良い。

10. 免疫賦活化のワクチン投与

離乳してグループ飼いに移す前の子牛に対し、免疫力を高めるために経鼻ワクチンまたは2回の筋肉注射で生ワクチンの接種を行う。

最高の結果を得るためには、これらの肺炎を防ぐ方法は下痢の予防をいっしょに行うことが望ましい。下痢と肺炎は子牛にとってもっとも大きな問題でこれらを 防ぐことで子牛のロスは大幅に防ぐことができる。

(Dairy Herd ManagementのHPより、 Maureen Hanson is a freelance writer from La Porte City, Iowa.  )


ど うやって下痢を防ぐか


事故を防ごうと思ってやったことが、逆に問題を大きくすると言うことがよくある。子牛の下痢を防ぐ ために子牛を暖め、かつ敷料を乾燥させようとしてヒータを設置したところ、かえってそれがサルモネラの温床となり、生まれた子牛がすべてサルモネラに感染 してしまった。

子牛の世界は下痢を引き起こす菌によって体が塗られていくようなもので、免疫力をいかに菌のレベルよりも高く保つかが重要となる。よって、ポイント はいかに免疫力を高く保ち、菌のレベルを低く抑えるかと言うことになる。

1. 清潔な分娩施設を提供するProvide sanitary calving facilities.

糞が口から入って感染するのがもっとも大きな下痢の原因である。生まれた子牛は病原菌に最も近いため、子牛は清潔で乾燥したところで分娩させなくてはいけ ない。個々の分娩房も役に立つが、子牛は分娩後2-3時間以内に母牛と分娩房から離さなくてはいけない。分娩房を設けていない農家が多いが、健康な子牛を 得たいのであれば、最優先で行わなくてはいけない。

2. 初乳を飲ませる

免疫を与えるためには初乳に取って代わるものはなく、これなしではどんな下痢予防もやっても無駄である。

3. 子牛は個別のペンで飼う

子牛をグループで飼うことは悲惨な結果を招くことになる。子牛をカーフハッチに導入したあとの下痢の発生源は他の子牛である。よって、子牛はカーフハッチ に個別に飼い、3−3.6m離しておく。ハッチは水はけの良い、やや傾斜した砂地に置き、3-6ヶ月ごとに定期的に移動させる。子牛が入れ替わるたびに、 移動させるたびにハッチはきれいに洗浄、消毒し、敷料も入れ替える。清潔さの確認はハッチ内で自分自身が昼寝をする気が起きるかどうかである。

4. 給餌器具の消毒

強制投与器が汚染されていたため、下痢が多発した例があるが、器具はどのような状況でも必要なだけの数の器具が消毒され準備されていることが必要である。 また、プロトコールに従った殺菌消毒が実践されていなくてはならない。

5. ミルクの種類を変更しない

一回初乳を代用乳や全乳に変更したら決してもとに戻してはいけない。代用乳をあまっているからと全乳に変えてはいけない。

6. 廃棄乳には気をつける.

病気や何らかの治療を行った牛のミルクは子牛用として安い飼料に見えるが、下痢などを引き起こした場合非常に高くつく。子牛に廃棄乳を飲ませることに関し てはいろいろな意見があるが、専門家に言わせると一つの王道がある。乳房炎の牛、マイコプラズマ、サルモネラ、ヨーネに感染している牛のミルクは飲ませな いことである。子牛に廃棄乳を飲ませる場合、いつもすぐ飲ませること。またはバクテリアの繁殖を抑制するため冷蔵保存する。高温殺菌は下痢を引き起こす菌 の数を劇的に減少させるが、これは一時的なものである。高温殺菌乳は給与時には35度くらいに冷まし、すぐに給与すること。もし保存するならすぐに冷蔵す ること。温かいミルクではバクテリアが元のレベルまで増加するまでそう時間はかからない。高温殺菌する器械も他の哺乳器具と同じようにきれいにしなくては ならない。

7. 抗コクシジウム剤の給与.

すべての専門家はコクシジウムによって引き起こされる下痢をコントロールする方法として 抗コクシジウム剤は有効としている。試験では低いレベルのコクシジウムの感染でも免疫力を低下させ他の微生物の進入をたやすくするとの報告があるため、こ れらを予防することは大切である。多くの代用乳メーカーは抗コクシジウム剤入りの代用乳を販売しており、ミルクに混ぜるサプリメントも販売している。カー フスターターにも抗コクシジウム剤を添加することも推奨されている。

8. 病気を媒介する動物をコントロールする.

ハエは下痢を引き起こす微生物、特にサルモネラを簡単にばらまく。犬や猫、鳥、ねずみもバイオセキュリティを打ち破る。自分自身も媒介者となることに気を つけなくてはいけない。病気の子牛をまず始めに見るのは普通であるが、これは他の健康な子牛に病気を媒介する可能性を高める。まず始めは健康な牛を扱い、 次に病気の子牛を扱うこと。これらのいくつかのことは非常に基本的なことに見えるかもしれないが、牛や子牛が次のような基本を教えてくれる、すべてのこと は単純に、そして変えない。

(Dairy Herd Management, HPより、Maureen Hanson is a freelance writer from La Porte City, Iowa.


器具洗浄のルール


哺育育成牧場での器具の洗浄は子牛の健康を守る重要な要因として気をつけなくてはいけない。ゆすぎー洗浄-ゆすぎ-乾燥のプロトコールが大事。

塩素剤の替わりにOCP(オルトクレゾールフォスフェイト)を使用しても良い。特にこれはサルモネラを殺すことが認められている。このような日々の 洗浄ができないなら、バケツはそれぞれの子牛専用のものとすることで、他の子牛からの感染を防ぐことができる。
(Dairy Herd Management, HPより

あなたの初乳は健康な血漿ですかそれともバクテリアのスー プですか?


誰も生まれたばかりの子牛の消化管の中にバクテリアを植え込んでいるとは思わないでしょうが、初乳の取り扱いが適切でない時にはこのようなことが起 こります。高品質の初乳を子牛に飲ませることは、抵抗力をつける抗体レベルを上げ、病原菌の進入を抑えることにつながります。

3.8リットルの新鮮な初乳を飲ませる
この3.8リットルルールは初乳の抗体濃度のばらつきを補えるレベルである。出生直後に1.9リットルを飲ませ、残りの1.9リットルは4-6時間後に飲 ませる。もし、子牛が飲もうとしなければ、待たずに強制投与器で初乳を飲ませる。

出生直後できるだけ早く初乳を飲ませる。
飲ませるタイミングが非常に大切で、目標は少なくとも50%の新しく生まれた子牛には1時間以内に、80%の子牛には2時間以内に初乳をませることです。 初乳の給与が生まれてから30分遅れるごとに、抗体の吸収は約5%ずつ低下します。もし、24時間経過すると抗体は吸収出来なくなってしまいます。

抗体の高い初乳を選択する

初乳メーターは初乳中の免疫グロブリンのレベルをチェックする一つの方法です。初乳メーターの緑の範囲にある初乳だけを初めの2,3回の投与に使用 してください。初産牛から生まれた子牛のためにもっとも高い抗体濃度の初乳を保存することを考えてください。10Kg以下のミルクしか出さない牛の初乳は 抗体濃度が高い傾向があります。

バクテリア数を低く保つ

初乳の給与が子牛にとって初めの病気に対する試練と成らないようにしてください。不適切な搾乳準備、汚いバケツ、汚い器具、絞ってから与えるまでに 時間の経った初乳、これらはすべて初乳をバクテリアで汚染する原因となります。新鮮な初乳の大腸菌数は大体2万CFU/mlぐらいですが、暖かい初乳は 20分ごとに大腸菌の数は倍増します。よって、2時間置くと大腸菌の数は120万となり、免疫力を高める代わりにバクテリアのスープを給与することになり ます。

初乳を後で使用するなら、すぐに冷却してください。初乳をすばやく冷やす一つの方法として、2-3本のきれいに洗浄した1リットルのソーダボトルに 氷を満たし初乳を入れたバケツに直接入れる方法があります。氷のボトルは初乳をすぐに冷やし、その後は捨てればすみます。

初乳のバクテリア数は5万CFU/ml以下であることを確認するために、給与した初乳を集めて5日間凍結させます。それをラボに送って検査します。報告書 は初乳にどのタイプのバクテリアがいくらくらいいるかを知らせてくれます。

病原菌を持っていない初乳を選択する

ヨーネ、BLD,サルモネラ、マイコプラズマのように垂直感染する病気は初乳を通して子牛に感染します。このサイクルを断ち切るためにこれらの病気の牛の 初乳は廃棄してください。母牛はヨーネのスクリーニングテストを受けてください。テストは完全ではありませんが、感染していないという結果は少なくともそ のときには病原菌を排出していないことをしめしています。ヨーネのテストが陰性の牛の初乳だけを使用するようにしてください。
(Dairy Herd Management HPより、Maureen Hanson is a freelance writer from La Porte City, Iowa.)  


子牛にも長日処理は効果がある


By Dairy Herd staff (Wednesday, November 13, 2002)

カナダのゲルフ大学の試験では長日処理が子牛の飼料および水の摂取量を増加させ、体重も増加させることを報告 した。研究者は生まれてから生後8週まで明かりを18時間または10時間点灯し飼料摂取量と成長度合いを比較した。その結果、18時間点灯した子牛は8週 時で18ポンド(約8Kg)多く、スターターの摂取量も、飲水量も多かった。詳細は右表を参照のこと。
 
 
 
 
 

カーフハッチの上に屋根をつける



 

  オハイオ州、ニューウォーターフォードパインヒルニュージャージーファームのオーナーはカーフハッチの上に屋根を設けた。この屋根はどんな天候からも子牛 を守り、家族も作業しやすくなる。また、この屋根はカーフハッチの敷料がぬれるのを長期期間防ぎ経済的である。 Dairy Herd staff (Wednesday, October 30, 2002)
 
 
 
 
 
 
 
 

初生子牛へ筋肉注射は 肉の損傷につながる



注射部位の傷による肉の損失額は米国では年間420万ドルに達しており,大きな問題になっている。注射による損傷とは、注射部位の挫傷、傷跡、膿傷であ り、それらは、注射される物質、注射行為そのものに起因する。普通、注射後21日ぐらいで傷跡は回復するが、中には繊維性の傷跡ができたり、結合組織が傷 を取り囲んだりする場合がある。生後50日で抗生物質の注射をされた牛を430日令で屠殺した場合、その92%で注射部位の特定が可能で、生後200日令 で抗生物質の注射を受けた牛は50%の牛で注射部位の特定が可能であった。小さい時の傷は成長とともに大きくなるため、後の残る影響が大きくなる。また、 肉眼では識別できなくても注射部位周辺の肉は肉が硬くなるなどの品質面での影響も残る。また、注射の部位別では注射後125日後の屠殺調べた結果、尻の部 分の注射では90%、腿の部分で85%、首の部分で35%の牛に、注射後が確認された。以上のことからこれらのダメージを最小限にするために次のことを心 がけること。(Hoads Dairyman, July 2001)


冬期間の子牛の管理



コロラド大学のWebsiteから冬期間の子牛の管理についての注意点です。
気温が低下し、特に風が吹き込む環境では子牛の体温維持に要するエネルギーは予想以上に大きい。通常のエネ ルギー量しか与えていなければ、不足するエネルギーは体脂肪で補われる。エネルギー不足が続くと体重が減少し、元気がなくなり、食欲もなくなり、最終的に は死に至る。
通常の子牛の代用乳給与プログラムではエネルギーは不足する可能性がある。多くの子牛は体重の25%のミル クを1日6−8回に分けて飲み、成長は早い。しかし、労働力の観点から通常は1日2回の給与が普通で、この給与回数で体重の25%のミルクを摂取させると 下痢をしたり、摂取できなかったりする。そこで1回あたりの摂取量を体重の5%に制限することが行われている。1日2回の給与では体重の10%のミルクし か摂取できないことになり、子牛はおなかがすくため、早めにスターターを食べ始め、このことは飼料コストを下げ、ルーメンの発育を促し早期離乳を可能にす る。しかし、この一般的なプログラムの欠点はスターターを給与するまでの生後1−2週間のエネルギーが不足すること、寒冷時、体温維持のためのエネルギー が不足することが挙げられる。また、市販の代用乳は経済的な観点から10%の脂肪しか含まれていないことが多く、この量は2%脂肪のミルクと同等のレベル となる。よって、寒冷時には20%脂肪の代用乳を使用することを推奨する(通常のミルクで4%脂肪に相当)。代用乳を切り替えた場合、消化器系のトラブル を回避するため、離乳まで同じものを使いつづけること。昼間の気温が0℃を下回って、5℃下がるごとにDMIは10%増加させる。-14℃を下回る場合は 給与回数を1回増やすと良い。代用乳に油脂を添加するのも良い方法であるが、タローや植物油はうまく混ざらないのでそれ専用のものを使用すること。子牛は 清潔でよく乾燥した場所におくのが基本で、できればきれいなわらを深く敷きこむのが良い。おがくずや砂も良いが、寒冷時にはわらを補足的に使用することが 望ましい。スターターはできるだけ早くから給与を始める。スターターはルーメンの発育を促し、寒さに耐え成長するエネルギーを供給する。実際、スターター を摂取して反芻している子牛は代用乳だけの子牛にくらべて寒さにも強い。最後に冬でも新鮮な水は欠かさないこと。水はスタータ-の摂取量を増加させ、ルー メンの発育を促進させる。(Progressive Dairyman, December 2001)
 

血漿入りの代用乳は子牛の病気に対する抵抗力を高め、成長を促進する



血漿入りの代用乳は子牛の病気に対する抵抗力を高め、成長を促進します。特に、環境のストレスが大きい場合 はその効果が顕著です。まず、血漿中の免疫グロブリンが消化管内での消化を免れ、サルモネラ、大腸菌、コロナウィルスなどと戦うことが考えられます。次 に、血漿は小腸の成長を促し、消化を改善し成長を促進させます。血漿入りの代用乳と通常の代用乳との比較試験は数多く行われていますが、その差はストレス が大きい場合でないとはっきり現れないようです。
通常の代用乳は濃縮ホエー蛋白(WPC)を用いて20%の蛋白濃度にしたものですが、血漿を入れる場合はこ のうちの5%を置き換えます。現在、WPCの価格が高いので、血漿を用いたものと価格はほとんど変わらなくなっています(1袋あたり$1高い程度)。ま た、これに追加して血漿や血清を1日あたり28−56g給与することもできます。これらの価格は28gで44セント程度です。子牛の事故が多い場合は考え てみても良いかもしれません。


対照区

無添加

抗生物質区
800mgのネオマイシンと400mgのオキシテトラサイクリン添加
血漿添加区
3.3%のスプレードライ動物血漿添加
死亡率 25% 8.3% 0%
出生時体重、Kg 33.5 33.3 32.7
3週間の増体量、Kg 10.5 13.1 13.8
便のスコア* 0.74 0.72 0.62
脱水症状スコア** 0.24 0.03 0.03
*0が正常、3はひどい下痢、 **0は皮膚をつまんでもすぐ戻る、2はつまむと戻るのに5秒かかる

注:日本では狂牛病(BSE)の影響で血漿蛋白の使用が規制されているかもしれませんので、日本ではこの手の製品は販売していないかもしれません し、血漿蛋白自体も販売されていないかもしれません。ただ、科学的に血液製剤からのBSEの感染はありえませんし、ブタ由来のものであれば全く問題ありま せん。まあ、政府が規制するのではしかたありませんが。

子牛に毛布を着せると効果あり



ノースダコタ州立大学での試験では、厳冬期にウールとポリエステルの混紡の毛布を生まれてから3-4週間着 せた場合と着せない場合で成長を比較した。その結果、毛布を着せた子牛は日増体量が0.22ポンド多く、病気も少なかったと報告している。但し、その効果 は生後4週間以内の場合にもっとも効果が大きい。(Dairy Herd Management 4月号)
 

ス プレードライした牛血漿は初乳の抗体の吸収を改善するかも



抗体の低い初乳にスプレードライした牛の血漿を加えることは利益があるかもしれない。試験では高い抗体の初乳(約1.8L)と中程度の抗体の初乳(約1. 8L)にスプレードライした牛血漿を混ぜたものを子牛に給与し、24時間後の血中の抗体化を調べた結果、高い抗体の初乳を飲ませた子牛のIgGは 6.2g/Lであったのに対し、中程度の抗体の初乳(約1.8L)にスプレードライした牛血漿を混ぜたものを飲ませた子牛では9.6g/Lで12-13% 高かった。(Dairy Herd Management、2月 2001年)
 

初産牛の初乳使用時の注意



3歳から7歳までの牛の初乳は、初産牛のものに比べて抗体が高い傾向にあるが、初産牛の初乳を使用しなくてはいけない場合、次の点に注意する必要がある。
1.ワクチン摂取した初産牛の初乳を使用すること。 2)比重計を使用して初乳の品質をチェックしてから使用すること。3)初乳の品質に問題があると考え られた場合、その初乳は2回目以降に給与する。(Dairy Herd Management、2月 2001年)
 
 

代用乳 のエネルギー源として脂肪が良いか、乳糖が良いか
Effect of Varying Carbohydrate and Fat levels on Body Composition of Milk Fed Calves; J.N. Tikofsky and M.E. Van Amburgh, Cornell University



子牛の代用乳中のエネルギー源として脂肪と乳糖でどのような違いがあるかを調べるた試験結果が報告され興味ある結果が紹介されましたのでご紹介します。
低脂肪(脂肪:14.8%DM,乳糖:55.3%DM、CP23.54%DM)、中脂肪(脂肪:21.62%DM,乳糖:46.69%DM、CP24. 8%DM)、高脂肪(脂肪:30.62%DM,乳糖:35.36%DM、CP27.0%DM)の3種類の代用乳(蛋白源は同じ、脂肪はタロー由来)が調整 され、32頭の雄子牛(平均体重47Kg)をランダムに8頭ずつにわけ、体重が85Kgになるまで一日2回、給与されました(途中、2頭は病気のため試験 から除外)。代用乳のほかは水のみが与えられ、飲み残した量から乾物摂取量を計算しました。 代用乳の給与日数は55−56日で、試験終了後、すべて屠殺し、各部分の重さを測定しました。その結果;
  この結果は、代用乳の脂肪含量を上げることにより、摂取カロリーを上げた場合、増体量は変わらないが、体内の脂肪の蓄積が増加するため、搾乳牛の後継とし ての乳牛の育成をする場合は望ましくないことが示されました。また、低脂肪代用乳区の子牛は敷料(おがくず)をより多く摂取しており、スターターの摂取量 も多くなったことが推察されます。よって、乳牛の育成には必要以上の脂肪(20%)は給与すべきでなく、それ以上のエネルギーは乳糖などの炭水化物で補う 方が、体脂肪量の少ない乳牛にとって良い子牛を育成できることになります。

子牛の飼養管理



子牛のルーメンを発育させることは非常に重要である。 ルーメンの発育にはその大きさの発育とルーメン壁の厚さと柔毛組織の発育がある。ルーメン自体の大 きさの発育については飼料に大きく影響を受ける。生後間もないころはルーメンは小さく、機能的にも他の内臓器官より劣っている。ミルクや代用乳だけ給与さ れた子牛のルーメンはいくら量をやっても小さいままで、ルーメン壁や柔毛組織の発育は阻害されるが、第4胃だけは成長する。 ルーメンの大きさはミルクだ けを与えたものより、ミルクと粗飼料、ミルクと粗飼料&穀類を与えたものが明らかに大きいが、子牛自体の成長にはあまり差がない。しかし、離乳時には粗飼 料、穀類などの固形物を十分消化利用できないため問題が起き、通常2-4週間成長が遅れる。 ルーメンの柔毛組織の発達には穀類が発酵したときに生産され る酪酸が重要で、粗飼料だけを給与した場合、この酪酸は生産されない。そのため、穀類を給与せず、乾草だけを給与された子牛のルーメンの柔毛組織は発達が 遅れ、ルーメン壁も薄い。柔毛組織の発達はルーメン内の表面積を増加させ、VFAの吸収量を増加させる。また、柔毛組織内の血管組織もよく発達し、より多 くのVFAを血液中に取り込むことができる。子牛への穀類の給与は早ければ早いほどよく、粗飼料を給与するまでに2−2.5Kg/日の穀類を給与する必要 がある。推奨される給与方法は中程度の量のミルク(生時体重の10-12%、40Kgとすると現物で4-5Kg)と穀類を離乳時まで給与し、離乳後は穀類 を2.2-2.7Kg/日食べるようになってから、乾草を自由採食させる。水はいつでも自由に飲めるようにしておく。 (Hoad's Dairyman 9/25 2000 ほか)  

この原稿を書いたDr. Jud Heinrichsの所属するPen State Univ.のウェブサイトでは、子牛の哺乳(Feeding the New Dairy calf on-line slide show)、育成のスライドショー(Feeding the Dairy Heifer on-line slide show)  が見られます。もちろん英語ですが図や写真でわかりやすく説明しています。 Internet の状況によっては見るのに時間がかかるかもしれませんが、非常に役に立ちます。 見たい人は右の青い文字をダブルクリックしてみてください。そのサイトにジャンプします。 http://www-das.cas.psu.edu/dcn/calfmgt/index.html
また、ここで述べたように子牛にMilkだけ与えた場合と穀類と一緒に給与した場合でルーメンの発育がどのように異なるか、ルーメンの内側と外側から写し た写真が次のウェブサイトで見ることができます。 右の青い文字をダブルクリックしてみてください。 これだけ違うと説得力があるでしょう。 必見です。 http://www-das.cas.psu.edu/dcn/calfmgt/rumen
 

子牛には1日4回水をやる



ピューリナミルズのコンサルタントMr.アル カーツはスターターを食べさせるためには、1日4回水をやることを推奨している。子牛が900gのスターターを食べるとき、約3.75リットルの水を与え なければならない。試験では水とスターターを無制限に摂取させた場合、生後4週目の離乳時の体重は水を与えなかった場合に比べて3.2Kg多かったと報告 している。 (Dairy Herd Management 2000年5月号)
 

環境に合わせた離乳前子牛 の飼料給与(Tri-State Nutrition Conference 2000)



Changes in Feeding Heifers to Meet Environmental Challenges
Marguerita B. Cattell (Dairy Research and Technology, LLC)

離乳前の子牛は維持要求量以上のエネルギーを給与する必要がある。環境温度の大きな変化は体温を維持するためにより多くのエネルギーを必要とする。 子牛にとっての最適な環境温度は風、湿度、子牛の日令、その他の要因によっても変わるが大体10−25℃の間である。

この温度より上がるとパンティング(ハアハアと息が激しくなる)や汗をかくことで体温を調製しようとするためエネルギーの要求量が高まる。また、水 の摂取量が増え、乾物摂取量の低下が起る。38℃を越えると衰弱し、死に至ることもある。

また気温が10℃より下がるとエネルギー生産のためにエネルギーが余分に必要となる。通常、45Kgの子牛に450g/日の増体を期待するとき、維 持のエネルギーとして1.75Mcal(ME)、成長のエネルギーとして1.26Mcal(ME)が必要である。約3.75リットルの全乳または代用乳 (450gを3.75リットルに溶かしたもの)は2Mcal(ME)なので、通常の気温の場合0.23Kgの増体には十分であるが、気温が10℃以下の場 合は十分ではなくなり、増体量は低下する。10℃から13.8℃下がる毎に0.82Mcal の余分のエネルギーが必要となるが、このエネルギーは150gの代用乳、13gのタロー、または227gのスターターに相当する。通常、寒冷時のエネル ギーの添加は経済的に十分採算の取れるものであるが、子牛の施設を改善する費用とも比較しなくてはならない。また、エネルギーを増やす場合、代用乳を増加 させるより脂肪を増加させる方がより経済的である。また蛋白も脂肪や炭水化物に比べて高いため、寒冷時に蛋白を増加させることは経済的でない。蛋白とエネ ルギーのバランスはこの場合考慮する必要はない。ミネラルも増加させる必要はない。

ヨーロピアンタイプの牛は一般的に寒さに強いが、生後直後は体重の割に表面積が大きく、また、羊水で濡れているため、寒い環境ではすぐに体内の脂肪 をエネルギーとして使用し始める。子牛は生まれてきたとき体重の1.5%程度の褐色脂肪細胞を腎臓付近に持っている。この特別な脂肪細胞は子牛の熱生産に 使用される。適切な温度下ではこの脂肪細胞は2−3週間もつが、非常に寒い環境では数時間でなくなってしまう。新生子牛はエネルギー源として約380− 600gの脂肪細胞と180gのグリコーゲンを持っているが、これらを最大限使ったとすると18時間以内に使い切ってしまう。よって、初乳の摂取は免疫力 をつけるためだけでなく、エネルギー源としても重要である。短期間の寒冷に対して子牛は血中のノルエピネフリン濃度を2−5倍にし脂肪の代謝を促進し、毛 を逆立てたり、採食量を増やしたりして対応し、長期にわたる場合は体毛の長さを長くしたり、密度を高めたりし、皮下脂肪の量も増やす。しかし、生まれたば かりの子牛はこのような対応ができないためより多くのエネルギーを必要とする。

            表 1.  牛の成長度とタイプによる最低限界温度
                        (Lower Critical Temperature:LCT)

                初生子牛                     10         (℃)
                生後1ヶ月の子牛           0
                乾乳牛                       −8.9
                泌乳最盛期の乳牛    −40.0
                仕上げ期の肉牛        −37.2

母牛の栄養状態の影響
先に述べた褐色脂肪の量は母牛の分娩前の栄養状況によって左右される。分娩前の母牛が蛋白、エネルギー不足の場合、子牛が小さく、未成熟で難産が多くな り、初乳の量、質が低下する。難産で生まれた子牛は体温が低く、乳首に吸い付こうとする気力に乏しく、食欲もなく、初乳の吸収も良くない。

環境要因
環境温だけが子牛のエネルギーの要求量を変えるわけではない。太陽の輻射熱、風、湿度も影響を与える。時速40Kmの風は気温を15℃下げた場合と等しく なる。また、体毛も重要なファクターで肉牛では寒冷時に体毛が短かったり、濡れていたりすると通常の倍のエネルギーが必要となる。

訳者注:子牛の環境温度とエネルギー要求量についてはよく知られていますが、実際、気温に会わせて子 牛に与えるエネルギー量を変えている人は多くないと思います。CPM Dairy にはこの辺の係数が入っていますが、生まれたばかりの子牛にどの程度当てはまるかはまだはっきりしていないので、ここで表される数字を参考にしてはいかが でしょうか。
 
 
 

初生子牛の管理について



初成子牛の管理方法についてよくまとまった文章がDairy Herd Management 3月号にありましたのでそのポイントを紹介します。

米国初生子牛の離乳までの平均致死率は約11%で、それ以上の数字であれば次の項目を再度チェックする必要がある。

<分娩房での管理>
1.分娩房は清潔で乾燥した敷き料が十分入れられているか?次の牛が分娩するときには敷き料を入れ替え、消毒しているか?
2.分娩房に入った母牛を頻繁に観察しているかどうか?
3.分娩後初生子牛の鼻や口の粘液をきれいに拭き取っているかどうか?
4.へその緒に7%のヨードを噴霧し、疾病の感染を防ぐため、分娩後すぐ母牛と離しているかどうか?
5.分娩後2時間以内に高品質の初乳を飲ませているかどうか?
6.難産や異常出産の初生子牛は酸素吸入やタオル(毛布)で体を拭いて暖めてやることが有効な場合もある。
7.子牛を移動させる車や子牛を一時暖める為に入れておくペンは毎回消毒しているか?

<初乳のマネージメント>
初生子牛は免疫力がない為、分娩後すぐに初乳で免疫グロブリンや抗体を摂取する必要がある。十分な免疫力をつけるためには12時間以内に最低でも150g の免疫グロブリンを摂取する必要があり、これを実践するには:
    1.分娩後2時間以内に2−3リットルの高品質の初乳をのませる。
    2.分娩後12時間以内にさらに2リットルの高品質初乳を飲ませる。
    3.自分で飲もうとしないときにはチューブを使って強制的に飲ませる(誤飲に注意)。

初乳の品質のチェックには初乳比重計(Colostrumeter:ナスコで$40)で行い、緑色の範囲であればOK。

保存するのは健康な母牛からだけのものにし、ヨーネ病やサルモネラなどの感染牛からのものは避ける。初乳は冷蔵庫であれば約1週間保存でき、2-3 リットルづつフリーザーバッグなどに小分けし、−20からー30℃で冷凍すれば約1年間は保存できる。使用するときは免疫グロブリンの吸収をよくする為、 体温に近い温度(38℃)に暖めてから与える。

高品質の初乳に勝るものはないが、なければ初乳サプリメントなども利用する。

子牛の免疫グロブリンを吸収する能力は1日で急激に低下する。出生後1週間目に蛋白屈折計などを用いて子牛の血清蛋白を計れば、1日目に十分な免疫 グロブリンを摂取できたかが分かる。

<子牛を飼育する場所>
子牛を置くところはは安全で乾燥していて隙間風が入らないところが良く、できればカーフハッチか個別のペンが良い。個別のペンは互いに接触できない程度距 離を離すことが必要である。敷き料も子牛の体が汚れない程度に入れ清潔にする。特に寒い季節や雨の多い時期はよく乾燥していることが重要である。カーフ ハッチやペンを置く場所は水はけをよくする為に、敷き料の下に10cmの砂、5−10cmの砂利をいれ、水が流れるように下の地面に傾斜をつける。

子牛は頻繁に観察し、口を開けて息をしていないか、咳をしていないか、鼻に異常がないかをチェックする。換気が悪い場合は空気感染の疾病にかかる可 能性がある。もし子牛が背を丸めたり、毛を逆立てたり、体重が増加しない場合は隙間風が原因の場合が多い。

カーフハッチやペンを次の子牛に使用するときには70℃以上のお湯で消毒し、完全に乾燥させる。

子牛を管理する人の手、靴、衣類から感染する場合があるので子牛の世話をする場合には良く手を洗い、清潔な衣類、靴を身につける。病気の子牛は他の 子牛に感染しない様に隔離し、最後に世話をする。病気の牛に給仕するときはゴム手袋を着用する。

<栄養管理>
適切な栄養管理は免疫力を向上させる。
水:スターターの採食を促す為、常に清潔な水を飲めるようにしておく。
エネルギー:36Kgの子牛で1日に約3500KCal(1500KCal=維持、2000KCal=0.68Kg/日の増体)のエネルギーが必要であ る。気温が15℃を下回る、もしくは25℃を上回ると体温調節の為に余分のエネルギーが必要となる。例えば−17℃を下回った場合約2倍の維持のエネル ギーが必要で、増体分のエネルギーは残されない。よって、寒い時、暑いときは代用乳中のエネルギーを変化させる必要がある。

廃棄乳は危険なバクテリアや乳房炎の起因菌を含んでいることが多く、子牛の健康を損ねる可能性がある。よって、使用する場合は一度沸かして使用する 必要がある。

子牛に給仕する道具(ボトル、バケツ)はすべて別々とし、一回使用する毎に洗剤で洗い、熱湯で消毒し、完全に乾燥させる。

給仕は毎日同じ時間に行い、代用乳の調製などは毎日同じ手順で行う。