「凍る月」


お品書き

鮭の切り身

小田巻き蒸し


熱燗

河内屋の台所から新巻鮭が一本なくなった。
その直後、おさとという女中が
「自分が盗りました」といっていなくなった。

それだけの事件だけど、
河内屋の新しい主人松太郎や
霊感坊主の日動が絡んで、
何気ない人間関係の中にある
隠しておきたいような気持ちが
透けて見えるから面白い。

師走、木枯らしの吹く屋台で
親父が作った小田巻き蒸しは
茶碗蒸しのなかにうどんを入れたもの。
寒い夜には温まる。


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