お勢殺し

お品書き

稲荷寿司
蕪汁



本所深川一帯を仕切る岡引の茂七親分のしまに、得たいの知れない
屋台が商いを始めた。売り物は「稲荷寿司」。
屋台の親父は何か訳ありのようだし、この辺を縄張りにしている
やくざの親分勝蔵とも関係がありそうだ。

しかし、ここの稲荷寿司はおざなりなものでなく
「ほんのり甘みのある味付けに、固めに炊いた飯の酢が
つんときいている」うまいものだ。
いっしょに出してくれた蕪汁とすいとん。
これがお勢殺しを解く糸口になった。

「お勢殺し」は『初ものがたり』の第一話で、
このときは本当はまだ屋台で酒を売っていない。
第三話『鰹千両』から酒の量り売りの老人がいっしょに商いを始める。
でも、やっぱりないとさびしい気がしたので勝手に酒も入れた。
もう一つ、酒の肴に熊本の「辛子レンコン」も。
『初ものがたり』は一話完結の連作で、一つ一つの話のほかに
登場人物の謎も興味をそそられる。
続編が読みたいのだけど・・・。


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