草プロエッセイ

 

丸岡俊行

作家たち

鷺沢萠(さぎさわめぐむ)

丸岡俊行

 鷺沢萠さんが先ごろ亡くなられた。

 鷺沢さんが亡くなられて初めて、まともに読み始めた。

 なぜ、もっと早く読み始めなかったか。

 若手の作家の一人として、以前から、注目はしていた。

 

 作家の死はいつも悲しい。誰でも言うことだが、特に若い人が逝った場合は、なおさら、切なさが伴う。 

 何故と問うのも空しいし、理由を詮索してもおそらく意味がない。

 たぶん、自分と戦い、それを止める決心をしたのだろうかと推測するのみである。

 鷺沢さんの文章を、読む。読み続ける。

 鷺沢さんと等身大の女性の感性が、そこには延々と広がっている。

 ずっと昔から知っている人であるかのような親近感が生まれる。

 同時に、行き場のない、やるせない悲しさが生じ、やがて、心の一番底のほうに沈み、こびりつく。

 鷺沢さん、ご冥福をお祈りいたします。

 

 その後、さらに鷺沢さんの本を大量に読む機会があった。

 特に気に入っているのは『F』という作品集だ。


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