草プロエッセイ

 

丸岡俊行

エッセイ集

村上春樹の部屋

丸岡俊行

 威張って言うわけではないが、村上春樹のいい読者では全然ない。今まで読んだのは、小説は、数えてみたわけではないけれど、たぶん、5冊程度だし、エッセイとかその分野の本も3冊くらいかもしれない。今度、久しぶりにエッセイとか旅行記とか、そんな感じの本を続けて手にする機会があって、まあ本当に楽しめた。正直言って、ここ一週間くらいは夜昼なく本を開いている。腹を抱えて笑うほど面白い文章を書こうとはしていないのだけれど、でもとにかく何ていうか、にこっとしてしまえるくらいの楽しい文章で、わかるとは思うけど、こういうのってなかなかないんだ、ほんとの話。

 小説のこととか、もっといろいろとかは、また別の機会に書くつもり。
 相変わらず、村上春樹は読んでいない。というか、本自体、あまり読まないのだけど。読んでも、資料としてのことが多いから、拾い読み程度。

 思ったんだけど、村上春樹って、寓意の作家だよね。というか、妄想というと聞こえが悪いけど、イマジネーション(想像)の森に入っていってる感じ。

 その方向性が、ある種、文学好きの人のある部分に傾向が合っているのだと思う。だから、好き嫌いの分かれる作家なんじゃないかな。ファンも多いし、批判する人も多い。

 ノン・フィクションとか、エッセイなんかは除いて、小説に限ると、読んでも読まなくてもいい本になるんじゃないのかな。個人の想像の世界を書いているわけだから。社会性とかはあまりないような気がする。もっとも、人間の根源のところを探っているわけだから、あんまり言えないんだけど。

 村上春樹は好きだけど。そんな風に思った。

 ともかく、デビュー作は衝撃だった。あれを選んだ編集部の人たちには感謝ですね。もし、あれが日の目を見なかったら、現代小説がつまらないものになっていることはたしかだ。つまり、小説って面白いじゃん、という可能性があるからね。彼のおかげで。

 

 

 


 

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