抄録は、こちらにあります | ||||||||||||||||||||||||||||||
http://www.sympo.jp/040228/ | ||||||||||||||||||||||||||||||
サントリーホールで開かれた、シンポジウムの話をメモを元に書いてみました。聞き間違いもあるかもしれませんので、一個人のメモとしてみてください。 6月以降、詳しい話が見られるようになるとのことでした。 |
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1.非ステロイド抗炎症剤について・・・川合眞一Dr | ||||||||||||||||||||||||||||||
非ステロイド抗炎症剤は、リウマチその他の関節炎に使われたり、手術などの痛み止め、解熱、脳梗塞などの血栓予防などに使われている幅広い薬である。 1971年、作用機序としてCOX阻害理論が出てきて以来、いろいろな形で薬が効くように改良されてきた。 1991年、COXー2という酵素が発見され、生理学的に良い方向で働くCOX-1を阻害しないで、炎症を刺激して悪い方に働くCOX-2を阻害する非ステロイド剤が開発された。 日本では、まだ承認されていないCOX-2阻害薬、セレコキシブの安全性についての話は、かなり気になった。 効果は、従来のものとあまり変わらないが、大腸がん細胞を殺す作用もある。 胃潰瘍などの出現は、従来のものの半分以下だが、心筋梗塞などの副作用があることが分ったとのこと。 COX-2阻害薬として、数種類あるが、夫々特徴があるとのこと。 まとめとして・・・ いろいろな非ステロイド抗炎症剤があるが、効き目はそれほど大きな差はなく、個人差のほうが大きい。 リウマチでは、治療の中心ではないけれど、痛みの緩和に使用される。 腎障害は、どの薬でも注意が要る。 胎児への危険性は、一般に少ないが、後期に使うと、胎児死亡の危険がある。 インフルエンザ脳症引き起こす可能性がある。 将来的には、癌などへの適応が広がる可能性もある。 今まで、あまり抗炎症剤の話を聞いた事がなかったので、話はかなり新鮮な感じがした。 |
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2.抗リウマチ薬について・・・田中良哉Dr | ||||||||||||||||||||||||||||||
国際的に認められている内服薬は、メトトレキサート、レフルノミド、タクロリムス、サラゾスルファピリジンの4つ。 アザルフィジンは、有効性と安全性が比較的て平衡している。 リウマトレックスは米国では最もよく使われていて、60%の人に使われている。 5年後でも7割ぐらい継続使用されて、長期使用継続率が高い。 しかし、1割の人には全く効かない。 破壊進行抑制効果もあり、リウマトレックス+エンブレルでは、骨糜爛が消える可能性もある。 副作用では、肝障害が出ることがあるが、量を減らすことでクリアできる。 アラバは、関節破壊進行抑制効果が非常に良い。 リウマトレックスからアラバにスイッチすると、4週間位で改善され、効果の出方も早い。 日本で開発されたタクロリムスは、50%の人が改善され、リウマトレックスが効かない人にも、かなり効果がある。 リウマトレックス+タクロリムスでは、糜爛が消える可能性もある。 間質性肺炎などの副作用がないので、期待できるとのことだった。 |
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3.ステロイド薬について・・・住田孝之Dr | ||||||||||||||||||||||||||||||
ステロイドは体内で作られ、1日平均プレドニン換算で5mg出ている。 プレドニゾロン(プレドニン)、メチルプレドニゾロン(メドロール)、トリアムシノロン(レダコート)、ベタメゾン(リンデロン)、デキサベタメゾン(デカドロン)などの種類があり、その効果は、ヒドロコーチゾン(コートリル)を1として、4.5.5.25.25.の強さ。 副作用はいろいろあるが、早期に使用して、治まってきたら止めるのがよい。 常に副作用に注意して使用。 骨粗しょう症に関しては、ビフォスフォネートの投与。 その他、ビタミンD3、カルシウムを投与したり運動の指導をすると良い。 胃潰瘍にはH2−ブロッカーなどの薬の処方、 高脂血症には、スタチン系の薬が良い。 コレステロールは高くなるけれど、中性脂肪は高くならない。 そのほか、白内障や緑内障にも注意。 副作用は避けられない事を話して、減量と共にそのような症状は改善され消失する事を話する。 自分では決して減量や中止をしないように指導する。 |
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4.生物学的製剤について、竹内勤Dr | ||||||||||||||||||||||||||||||
レミケードは点滴。エンブレル・ヒュミラは皮下注射。 レミケードはMTXと併用。エンブレルは単独またはMTXと併用。 その効果は、関節痛や腫れを抑えるだけではなくて、関節破壊も押さえ込み、日常生活動作も向上する。 ゆっくり進行型の人には、大きな変化はないが、中等度進行型や早く進行する人には大きな変化が現れる。 骨糜爛の症状も、骨修復がおこなわれることがあるということに注目したいとのこと。 すなわち、身体機能に改善があるとのこと。 しかし、重篤な副作用もあるので、注意しないといけない。 エンブレルも今年中には認可されると思うが、リウマトレックスと併用しなくてもよく、6〜7割の人に反応して、レミケードと同等の効果がある。 |
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5.井上和彦Drの手術療法について 滑膜除去術や人工関節などの話 |
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滑膜除去術や人工関節などの話 | ||||||||||||||||||||||||||||||
パネルディスカッション | ||||||||||||||||||||||||||||||
数多くの話があったが、その一部を・・・ リウマチの診断に使われる検査の話。 早期診断に使う検査の話で、MMP−3は数値が高い時に診断に使っているとのこと。関節の腫れがあったり破壊があると高く出る。 抗CCP抗体というのも早期診断に使えるが、まだ研究レベルである。 MR検査は、単純で分らなかった糜爛の程度でも判定出来たり、滑膜の増殖も分るのでいいけれど、検査料が高いのが難点。 新薬の認可の話。 アラバやレミケードは米国より5年遅れている。 日本には、スピード審査という方法がない。 アラバの場合、市販された後に全例調査をするということで、少し早くなった。 日本の場合、治験システムがなかったこともあり、治験に参加する人が少ないことにも原因がある。 効果の判定が予測されるようになるかという話 遺伝子チップ解析により、効果の判定予測が出来るようになるだろう。 病気の予測は出来ないけれど、効果の判定予測は出来るようになるらしい・・・ 予防や原因が見つかるかと言う話では、原因は1つで起こるのではないので、予防は難しい。 素因ときっかけがあって発症するので、早く見つけて早く治療するのが大切。 |