秋の夜長に見るともなく眺めていたテレビのクイズ番組で「七五三飾り」をどう読むか
という問題が出ていました。「ちとせ飴」との元気のよいタレント回答者の答えはブーと減点。
正解は「しめ飾り」だそうで、「〆飾り」と書くものと思っていましたので、見ていた私は少々得をしたような気がしました。
しかし、七五三だから千歳飴と答えた回答者の連想力もなかなかのようです。
時節柄七五三祝いの話がよくでますが、両親と双方の祖父母の6つのポケットで分担すると結構盛大に出来るようで時折見せて頂く写真に感心しています。

昔、保健衛生のレベルが低くて栄養も十分でなかった時代は乳幼児が病気に負けずに七歳、五歳、三歳の節目を通り抜けるのはそれは大変な事で、七五三を心から祝い、子どもたちの無事成長を神仏に願った気持ちはよく分かります。
戦争中に素だった私は七五三祝いの記憶はなく、お宮参りに祖母に抱かれている写真が残っているだけです。
そのせいではないけれどわが家の4人の子どもたちの七五三祝いはしないまま過ぎてしまいました。

下の子だけする訳にいかなかったこともありますが、健康にありのままの姿で育ってくれればありがたいという夫婦の願いが結果になっていったみたいです。
子どもたちも七五三の風習をうらやましいと言ったり、求めたりすることはありませんでした。6人家族の誕生月が幸い重ならず年6回は手作りの料理で食べ盛りの子どもたちと誕生祝いを楽しみました。もっとも子どもたちは母親苦心の料理よりもロウソク付きのケーキのほうが楽しみだったようで、自分のケーキを前に満足そうな表情をみせるスナップ写真がそれぞれ残っています。

七五三という大きな祝いはなかったものの、毎年のささやかな誕生祝いで満足してくれたようでした。以前、知人のお子さんの七五三祝いに招かれた時のことですが、正面の主賓席のお姫さまがおすましをしていたのは初めのころだけで、親族の方々の話が盛り上がってくるとお姫さまは帯を解き衣装を脱いで裸のお姫さまになって、席は笑いの渦に包まれてしまいました。
すっかり緊張が解け、大人の楽しい内輪の話が盛りあがリ、ふだん着にもどったお姫さまを先頭に、おなかの方も満腹になった子どもたちが駈けずり回っていました。
主賓のお姫さまの役割は実は集まった大人たちの仲人役、盛り立て役だったようです。来年は国際家族年だそうですが、核家族、テレビ、子ども部屋、時間差食事などでいっそう遠心力が働くようになった今の時代の家族についていろいろ議論が出てくることでしょう。

家族の中で、子どもの数が.1.5人という時代になって、王子さま、お姫さまばかりの状況が生まれているようです。
毎日が七五三祝いのような生活で子どもたちの本当の生活力を弱くしないで、ふろしき1枚でお姫さまやジューレンジャーになったつもりになれる子どもの特権を大切にしたいと思っています。
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