お正月が来ると子供のころを思い出します。
世の中みんなが貧しかった小学生時代は兄弟姉妹が肩を寄せあい、正月遊びに夢中になったことが、無性に懐かしくなります。

当時、7人の兄弟姉妹に両親合わせて9人家族だった私の実家では、小倉百人一首のかるた取りやトランプ遊びを正月3が日の間くり返して飽きもせず楽しみました。
台所の仕事や父や子供の世話をする人と思い込んでいた母が、「天つ風雲のかよひ路吹きとじよ、おとめの姿しばしとどめむ」と朗々と詠みあげた時はすっかり驚き、すごいと尊敬のまなざしを持った記憶がよみがえります。勘の鋭い兄と、負けず嫌いだった私とが勝負によく最後まで残っていました。

正月の2日に家族で近くの神社に初もうでに出かけた後、長兄や長姉のリードでファミリー小劇場とでも名付けられるような「お楽しみ会」を催すのも恒例でした。
イソップ物語を朗読する姉、手品やゲームを演じる兄、歌ったり踊ったりすることを喜ぶ姉たちとお正月はとにかく楽しいものでした。
やがて姉2人がお嫁に行き兄たちが受験期になってファミリー小劇場は自然に消滅してしまいました。
昔、家族で兄姉から弟妹に伝えられた遊びが、最近は幼稚園や学校などの場で伝え合うようになっています。

お正月休みが終わり3学期が始まりました。
休みの間のできごとを園児たちが話してくれます。もうすぐ1年生になる年長クラスでは、ファミコンやカラオケなどと並んで、かるた、トランプ、すごろくなど昔からの室内遊びを楽しんだという話題が結構たくさん出されていました。
文字や数への興味、関心が高まってきているのを家族の方々が受け止めて下さっているようです。
保育室でも何人かがかるたやすごろくを楽しんでいます。たどたどしく文字札を読む子、目の色を変えて札を押さえる子、よく衝突も起こりますが楽しそうにくり返し遊んでいます。
振ったサイコロの目数で駒を前後に進めるすごろくも、負けたくないばかりに数えるのが早くなり、数の和や差の正確な対応ができるようになっていきます。ハート、スペードなど形や色で分類したり、集めたり数の順序を理解して絵札でけたが変わることを実感できるトランプもすばらしい幼児向きの教材となっています。

昔も今も、世界中で楽しまれている遊びには奥深い内容がつまっているようです。園児たちは初めは先生のリードがないと楽しめないが、やがてルールを理解して、夢中になったり、悔しがったり、笑いとトラブルを交えながら皆と遊ぶ楽しさを身につけていきます。
文部省が発表した保険調査の結果を見ると、子どもたちの視力が急に低下してきていると数日前報道されました。
大きな原因のひとつがテレビ、ファミコンと言われますが、仲間との楽しい遊びを子どもが体験して、その喜びを分かるように、大人たちが機会と場を作りつづけることが大切なのではないでしょうか。



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