Ferocactus emoryi & wislizenii (江守・金赤龍)

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金赤龍(F.wislizenii)は古くから知られている割に栽培されることの少ない種類。ひとえに刺色の地味さゆえでしょうか。園芸種には黄刺がありますが、野生で見たことはありません。渋い渋いサボテンですが、ニューメキシコ〜アリゾナ南部にずっと分布しているため、このあたりの自生地行では馴染み深い植物です。これが南下してメキシコでは巨鷲玉(F.herrerae)になりますが、こちらは園芸サボとしてメジャーですね。また、カリフォルニア湾の島には稀種ティブロンエンシス(tiburonensis)がありますが、これも金赤龍系。基本種の金赤龍も、よく見るとなかなか味があります。花もメタリックなオレンジ赤で見事だし、ひとつくらい栽培しても・・・。もうひとつ、この種の良いところは、難物類の接ぎ台としてとても優れているところ。鯱頭より生育も早いし、刺が少ないぶん作業が楽です。
江守(F.emoryi)は、中刺も側刺も同じく太く鋭く、迫力満点のフェロです。刺が強いので、小さいうちは稜が刺座を中心に疣状となります。アリゾナ南部からメキシコ本土に渡るソノラ沙漠の植物で、金赤龍と重なっていますが、交雑しておらず、別系統の植物と思われます。最近は江守を湾を挟んで反対側バハカリフォルニアの烈刺玉(F.rectispinus)と同一とする見方が定着しつつあります。同じバハの半島玉(F.peninsulae)は巨鷲玉、つまり金赤龍系とされており、このへんのフェロの分類はほんとうに難しいところです。
”emoryi” north of Sonoyta near Mexican border ,AZ
(江守・ソノイータの北。アリゾナ州南部、メキシコ国境付近)
江守の北限がこのあたり。ここからカリフォルニア湾沿いに南に分布域が広がる。アメリカ側の植物はあまりカギ刺が顕著でなく、硬質な印象。
"wislizenii" east of Tucson, Cochise co, AZ
 (金赤龍・ツーソンの西、アリゾナ州コチセ郡)
径30センくらいまで扁平に育つタイプ。ニューメキシコで見かけるタイプもこの形が多い。刺はやや短め。下の写真は熟した果実
     ”wislizenii” west of Tucson, Pima co, AZ
       (金赤龍・ツーソンの西。アリゾナ州ピマ郡)
太平丸ニコリーと同じ山。丈高くなり、刺が長いタイプが多い。刺色は灰褐色で茶渋みたいな色。バハの紅珠丸を思い起こした。

”wislizenii” Florida Mt. Luna co, NM
   (金赤龍・フロリダ山 ニューメキシコ州ルナ郡)

ニューメキシコ南部の山で見た、鯱頭と見まごう赤刺鮮やかな個体群。
中刺は幅広で、鯱頭イーストウッディにも似ている。地味なサボテン・金赤龍だが、このコロニーの個体なら栽培植物としても魅力的。

金赤龍(F.wislizenii)

江守(F.emolyi)