ズッコケ三人組の神様体験

原作本あらすじ

解説


<原作本あらすじ>

秋祭りの季節がやってきた。花山町では、さびれてしまった花山神社の秋祭りを、もういちどもりあげようということになった。

父親の勝平に言われて、ハチベエたち三人組は祭りをもりあげるためのアイデアを考え始めた。
ハカセの妹道子が、おみこしをやりたいと言ったのを、ハカセは6年1組で話したところ、クラスの賛同を得た。このアイデアは勝平を通して、秋祭りのイベントとして採用されることになった。一般から参加者を募り、手作りおみこしコンテストを行うというものだ。

一方、花山八幡では、戦前に途絶えてしまった稚児舞いを復活させようということになり、その踊りにハチベエも参加することになった。

ところが、この稚児舞いには妙なうわさがあった。
この踊りを踊ると、頭がおかしくなる、というのである。神がかりになるのだという。

この2週間、踊りの練習をしてきたハチベエだったが、なにもおかしなことは起こらなかった。
ところがある日、テストでハチベエは全教科100点を取ってしまった。また、一度見ただけのおみこしコンテストの参加者リストも、口をついてスラスラと出てくる。あすの天気もあててしまったし、家に忘れてきた教科書の内容も、全部覚えている。ハチベエいわく、目をつむると、教科書が見えてくるのだという。

そんなおり、ハチベエたちは、いつものように稚児舞いの練習をしていると、一人の男の子が舞いの途中でかがみこんでしまった。と思うと突然猛獣のような声を出し、次には頭が痛いと幼稚園の子どものように泣きだしたのである。やはりこの踊りを踊ると、頭がおかしくなるのだろうか?ハチベエはだんだん心配になってきた。

6年1組のおみこしは着々と進んでいった。デザインは富士山で、おみこしをかつぐ子どもたちは、男子がカメ、女子がウサギのコスチュームを着ることになった。祭りに向けて、おみこしづくりは順調に進んでいった。

そして稚児舞いの日。
激しい振りのあと、背中をつかれてがくんと舞台にたおれこんだハチベエ。その瞬間、ハチベエは自分の体がものすごいスピードで空に舞い上がっていくのを感じた。体が地球からどんどんとはなれていくのであった…。



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<解説>
ズッコケシリーズ第33作。1996年出版。
那須さんは、単行本のあとがきで、毎回次の作品のタイトルを予告します。
この物語は、最初「ズッコケ三人組の秋祭り」というタイトルで書き始められたようですが、あとになってそれが変更され、上のようなタイトルになりました。

事実、物語を読んでいると、最初は秋祭りのこと、とりわけおみこしコンテストのことが主軸となっているのですが、読み進むにつれて、稚児舞いを習っているハチベエの異常現象に軸が移ってきます。

現代において、お祭りの踊りで神がかりになったりするのかどうか、私はよく知らないですが、本文にもあるように、シャーマンの踊りで神がかりになるという現象は世界的にも知られていることだから、稚児舞いでそういうことが起こるというのも、あり得ないことではないかもしれません。

それにしても、児童書で「神がかり」をテーマに本を書くというのも、那須さんならではのものですね。その意味で、この本はかなり異色であると思います。



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