高瀬ゆのか著 『海街diary』

 

              2017-07-25


(作品は、高瀬ゆのか著 『海街diary』   小学館文庫による。)

          

 本書 2015年(平成27年)5月刊行。

 高瀬ゆのか(本書より)
 
 
二人組のコンビ作家。2008年、鮎川はぎの名義にて、小学館ライトノベル大賞ルルル文庫部門期待賞を受賞。翌年デビュー。高瀬ゆのか名義にて、オリジナルストーリーでのコミックノベライズや映画ノベライズを手がける。 近著ノベライズに「どうせもう逃げられない ホット・バケーション」(FCaルルルnovels)、「娚
(めおと)の一生」(小学館文庫)など。  

主な登場人物:

<香田家の三姉妹>

両親が離婚後、祖母に引き取られて鎌倉の、大きいが古い家に暮らす。三人とも20歳を超えている。


<シャチ姉>

市民病院の看護師。祖母が亡くなった後は母親代わりに三姉妹で暮らしている。しっかり者の長女。性格はきつい、佳乃といつもやり合っているが、思いやりがある。

佳乃(よしの)
<ヨッちゃん>

信用金庫の窓口担当。姉とぶつかることの多い次女。
千佳 スポーツ店勤務。マイペースな三女。
父親 佳乃が7歳の時両親は(父の借金と女関係で)離婚。二番目の女とは仙台で暮らすも、女が亡くなり、三番目の女(陽子)と結婚、山形の温泉旅館で働いていたが亡くなる。優しくてだめな人。
母親 都(みやこ) 父親が出て行った2年後、再婚すると子供たちを捨てて出て行き、札幌に住んでいる。
大叔母 史代(ふみよ) 祖母の妹、大船に住む。
浅野すず 父の二番目の母親の子。父親の葬儀の後、幸たちから「一緒に暮らさない?」と誘われて鎌倉に。海猫食道の店主からは「明るくて元気な子、良く笑うし」と評されるも、幸はそのイメージに違和感を抱く。
浅野陽子 すずの実母と死別した後、父が三度目に結婚した後妻。
椎名和也 市民病院の小児科の医師。心を病んでしまった妻と別居中。幸と付き合っている。
藤井朋章(ともあき) 佳乃の年下の恋人。
浜田 千佳が勤めるスポーツ店の店長。30代半ば。
オクトパスのメンバー

少年サッカーチーム。浅野すずも入団。
・尾崎風太 キャプテン。
・美帆 ゴーキーパー。父親は漁師。
・将吉
・ヤス 監督。

二の宮 海猫食道のおかみさん。幸たちやオクトパスのメンバーのひいきの店。
福田 山猫亭の店主。海猫食道の常連客。二ノ宮のよき理解者。

物語の概要:(本書の紹介文より抜粋。)

 家を捨て出て行った父の葬式で三姉妹は腹違いの妹に出会う。不倫の子という負い目を抱えながらも姉たちと共に暮らす決意をした四女すず。こうして、四姉妹の新しい生活が始まったのだが・・・。   

読後感:

 両親の離婚で残された三姉妹、その時の苦しみを背負い、経験している幸は、腹違いの妹であるすずの生い立ちや一緒に暮らしだした所での振る舞いにひとかたならず気にかけている。
 一方、妹の佳乃の言動に母親のように苦言を呈したり、四姉妹の中でのすずの様子に何か我慢をしているのではないかと気にかける。
 四姉妹を中心にそれぞれの出来事が次々と展開、恋人のこと、不倫のこと、仕事のこととか、悩み事や暮らしの流れの中で起こる出来事で四姉妹の絆が深まったり、意見を闘わせたり。

 間にいる佳乃や千佳の存在が緩衝材になったり、火種になったりと目まぐるしい。
 全編を通して、優しさがあふれていて、それぞれの気持ちにより添った、切なくもあり、ほほえましくもある雰囲気が好ましい。
 ラストで同じような立場にあった幸とすずの心が通じ合うシーンは泣かせる。
 鎌倉を舞台に、人の強さ、弱さ、優しさを暖かい視点で描いた、累計280万部突破というのも頷ける。

  

余談:

 この作品、原作は吉田秋生著のコミックス、実写映画化され、映画版の完全ノベライズ本ということらしい。
 著者紹介に二人組のコンビ作家というのもはてな?と思わせられる。
 
背景画は、海をテーマに。(自然いっぱいの素材集より)

                    

                          

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