雫井脩介著 『仮面同窓会』

 

              2017-08-25



(作品は、雫井脩介著 『仮面同窓会』   幻冬舎による。)

          

 本書 2014年(平成26年)3月刊行。書き下ろし作品。

 雫井脩介(しずくい・しゅうすけ)(本書より)
 
 1968年愛知県生まれ。専修大学文学部卒。2000年に第4回新潮ミステリー倶楽部賞受賞作「栄光一途」でデビュー。05年「犯人に告ぐ」で第7回大藪春彦賞を受賞。他の作品に、「火の粉」「ビター・ブラッド」「殺気!」「つばさものがたり」「銀色の絆」「途中の一歩」「検察側の罪人」などがある。  

主な登場人物:

<狐狸山高校関係者> 名古屋近くの市立高校?。

新谷洋輔<主人公>
長兄 稔彦
次兄 雅之(没)

大学卒業後システムキッチンの営業マン。高校時代希一たちとつるんだが、高校3年に別クラスになってからは少し距離を置く。
八真人とは小学校で同一クラスになったりで親しい。
・次兄 2つ違い、良く面倒を見てもらっていたがおぼれて死ぬ。
・長兄 10歳も離れているため余り親しくない。

片岡八真人(やまと) 愛知大学の職員。小学校の頃から不思議と希一と気が合い高校時代までつるんでいた。運動神経も良く、遊びの方も活発。洋輔と仲良し。
皆川希一

父親が営む不動産会社の若専務。高校時代のぎらついた物腰そのまま。隙を見せるとぬっとこちらの懐に手を突っ込んでくるように男。

大見和康(呼称 カズ)

大学出てからIT系の小さな会社に就職するも続かず、転々、今はコンビニでバイト。とぼけたキャラで空気を中和させる人間。
竹中美郷 洋輔の片思いの相手。真理と八真人の間を取り持つ。
日比野真理 目立つほどの美人。美郷と仲良し、1年生の頃八真人と付き合っていたが、2年の途中から療養生活、疎遠に。その後自殺する。
祖父江兼一 この地域に店舗網を持つ信用金庫勤務。美郷と同じ中学出身、洋輔、高3の時初めて同じクラスに。近々結婚して両親と二世帯住居に改装。
樫村貞茂 狐狸山高校が産声を上げたときに赴任。保健体育の教師で、生活指導を、50過ぎ??。罰として“天突き体操”を強い、嫌悪する生徒もいた。2年前定年。
宮本讓司 美郷のストーカー。

物語の概要:(図書館の紹介記事より。)

 10年ぶりの再会が、騙し合いの始まりだった。青春を奪った体罰教師に卒業生たちがしかけた罠。殺されたのは、大嫌いな先生。疑いあうのは、再会した友だち…。幻冬舎創立20周年記念特別書き下ろし作品。 

読後感:

 高校時代に指導という名のもとに厳しくしごかれてきた生活指導教師に大人になって同窓会の日に懲らしめようとの四人(希一、和康、八真人、洋輔)による共同謀議が成立、拉致してちょっと痛めつけるつもりが、へまをして、なんとかしのいだが、その後とんでもない事態になっていた。
 四人の間の人間関係、さらには付き合っている友達との間の何かすっきりしない雰囲気が、疑念を抱かせながら展開する。

 読んでいて何かおかしいなと思えるシーンが所々に出てきて、あれっと思わせる。会話の「」と<>、*と*が現れて区別しているようにも思える。

 途中でそれが明らかにされて、そういうことかと。また、洋輔が付き合っている美郷の発言の様子や真意がどこにあるのかとか、まともと思える仲のよい八真人の素性もなんとなく秘密めいた物が感じられ、読者をぐいぐいと引き込んでいく。
 
 果たして樫村の手足を縛り、静池に投げ込んで死なせたのは誰の仕業か。警察の手が次第に自分たちに迫ってくる中で、お互いが犯人であるとの疑心暗鬼に。そして警察の聴取が和康に迫ってくることを感じ、異常な興奮状態になっていることに危うさを感じ、自分への誤解を解くため洋輔がカズに話し合いに行く。そしてそのカズが公園で指されて死ぬことでいよいよクライマックスへ。

 樫村殺害の動機、日比野真理の自殺の原因、洋輔の次兄のおぼれ死んだ真相、片岡八真人の、真理が自殺した後の態度の冷たさの理由や希一との関係?も次々と明かされ、その後の洋輔の運命は・・・。
 闇は続いていく。

 

  

余談:

 先に読んだ早見和真の「砂の上のファンファーレ」も幻冬舎創立20周年記念の書き下ろし作品であった。幻冬舎という会社、設立のきっかけ、ロゴマークなどと共にどこで読んだのか思い出せないが、“特徴的なものづくり”を目指しているらしく・・・。  
背景画は、海をテーマに。(自然いっぱいの素材集より)

                    

                          

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