物語の概要:(図書館の紹介記事より。)
転落死した男子中学生をめぐって、被害者家族、加害者とされる少年たちとその親、学校、警察までも巻き込んで、それぞれの感情と思惑が錯綜する…。朝日新聞連載時に大反響を呼んだ衝撃の話題作、ついに単行本化。
読後感:
仲間の口裏合わせを防ぐために早々と障害で逮捕に踏み切った警察、しかも14歳の二人は逮捕、13歳の二人は児童保護所預かりと少年法の年齢による差が明暗を分ける。
少年を扱う事案は世間からは厳しい目で見られる。
物語は警察側、学校側、報道関係そして加害者と被害者さらには生徒たちの側からと複合的に展開、その背景を描き出している。
しかも障害は認められても、死に至る致死傷については目撃証人が見つからず、崩すことが出来ないまま事態はなかなか収束を見ないで時間が過ぎてゆく。
今日もいじめの問題でこの種の出来事が頻発しているが、物語では実にそれぞれの立場で展開、描写があり、それぞれの立場で理解が得られる内容で、果たして事件はどのような結末が待っているのか興味津々である。
被害者の名倉寛子は子供を亡くし、真相を知りたくても学校側からも、警察からも知らされず、精神的にも疲弊し学校側に難題を要求する。学校側ではその対応で職員室は分裂状態に。また逮捕、補導された家庭の中には夫の、仕事にかまけて関心の薄さに亀裂が入ったりと、それぞれの日常は元に戻ることがない。
物語は名倉祐一が生存していた頃の状況描写を挟みながら若い検察官の時間をかけた加害者とされる生徒との聞き取りと、警察の全校生徒への地道な聞き取りから次第に背景が明らかにされていくが、中学生という大人とは別の感覚を持つことでなかなか真実を話していないことが・・・・
死の真相は明らかになるのだろうか・・・。
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