<トンネル鏡> |
東京から故郷への列車、トンネルを通るごとに窓に映る自分の顔を見つめながら母のこと、嫁の恭子とのことが走馬燈のごとく・・。時の移ろい。 |
一郎 <わたし>
妻 恭子
娘 千尋(ちひろ)
母 佐和子
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故郷は日本海に面した上越、故郷を出て30年。故郷からの脱出は母からの脱出だったが・・。東京で証券会社に入社。
・恭子 母が60歳になり、東京で一緒に住もうとするも、ほんの一時期仲のいい嫁と姑みたいだったが・・。
・母 父は漁協の職員、ギャンブルに目がなく、わたしが3歳の時交通事故で亡くなる。女手ひとつで息子を育てあげる母。背高く色白、歌がうまい。家では死んだ夫に当てつけるように毎晩、休日は昼でも冷や酒を飲んでいた。
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<金魚> |
七恵が死んでから、世界は色を失った。故郷での夏祭りの思い出が・・。 |
藤本達人<私>
妻 七恵
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東京の住宅メーカーの営業職、43歳。七恵が死んでそろそろ1年。会社には内緒で精神神経科に通院。
・七恵 同郷、同じ高校のクラス、地元の夏祭りに一緒に行く。七恵は父親の反対押し切って東京にやってきて、やがて結婚。
妊娠が分かったとき同時に悪性腫瘍見つかる。
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<上海租界の魔術師> |
マジシャンであった祖父との交わり。祖父の葬儀の時わたしはやっぱり、この世に魔法があることを思った。 |
要(かなめ)<わたし>
祖父 ”ジェームス牧田”
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18歳の女の子。父は二番目の奥さんと結婚。わたしは祖父にお母さんを出してとせがむ。母はわたしが幼稚園の年中組の時亡くなった。
・祖父 70年以上も前、マジシャンで中国の上海にいた。三番目の奥さんに逃げられ私たちの家に。わたしはかわいがられた。
祖父の愛した女性は・・。
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<レシピ> |
レシピを見ると男のことやその時々のことが思い出される。味覚の好みの違いをジョークのネタにできるのは、恋人や婚約者同士だった頃まで、暮らし始めると・・・。 |
里留子
夫 顕司
息子 祐輔(ゆうすけ)
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福井から上京。レシピノートを見ると男に作った時の思い出、結婚して顕司との生活上のこと、息子の祐輔が生まれてからのこと。
顕司とはやがて離婚を考える。
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<胡瓜(きゅうり)の馬> |
今の家庭に不満はないが、40歳を機に故郷での初めての同窓会に出席のため、盆休みに父親の迎え火を兼ね帰郷。昔付き合っていた沙那のことが気に掛かり・・・。 |
水野修二<私>
妻 佑子
娘 菜々実
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実家は山の中、大学で東京に出。父親は5年前死に、お盆休み一人で先に帰る。目的は同窓会で沙那に会うため。
・佑子 実家は福岡。イベント企画会社勤務。お盆と正月にそれぞれの実家を訪れことにしている。
・菜々実 小学5年生。
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沙那 |
私と同郷、小学3年の時母親を亡くしている。中学2年の時まで男友だちみたいに私の家でごろごろ。 |
<チョコチップミントをダブルで>
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離婚して1年に一度娘と会える日の計画を考えることで仕事に耐えられる康介に、綾乃の示した行動は・・・。 |
康介 |
母子家庭で一人っ子だった康介、史絵と結婚するとき「絶対に、幸せにしてみせるから」と約束したが・・。
一人暮らしを始めて3年。年に一度だけ娘の綾乃に会える条件で。
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史絵(ふみえ)
娘 綾乃
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10年間夫婦だったが、娘が生まれ、「あなたの夢を、私たちにも見ろっていうの?」と別れた妻。
・綾乃 13歳、
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<ゴミ屋敷モノクローム> |
ゴミ屋敷の住人関口照子の説得に当たる私、ようやく撤去にこぎつけたが、出てきた物にこめられていたものは・・・。 |
私 |
市の生活環境課勤務。ゴミ屋敷の苦情処理で関口家を訪れる。本来の仕事は市主催のエコ関連フェアの企画書作り。 |
関口照子 |
76歳で一人暮らしの老婆。 |
<月の上の観覧車> |
誰にでも、死者とつかのま出会える瞬間がある。私はそう信じている。月の出る夜一人観覧車に乗り出会ったものは・・・。 |
私
妻 遼子
息子 久生(ひさお)
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広島のスパリゾートの社長。老舗旅館の三男、会社が所有するリゾート施設の付帯施設の遊園地、アトラクションの一つに観覧車がある。
・遼子 私が東京で芸術学部に進んでいたとき、舞台女優の卵の4つ年下の遼子と出会う。
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佐久間 |
ベテラン秘書。 |