中村文則著 『教団X』



              2018-02-25


(作品は、中村文則著 『教団X』      集英社による。)

          

   本書 2014年(平成26年)12月刊行。 

 中村文則:
(本書より)
 
 1977年、愛知県生まれ。福島大学卒業。2002年「銃」で新潮新人賞を受賞しデビュー。04年「遮光」で野間文芸新人賞、05年「土の中の子供」で芥川賞、10年「掏摸」で大江健三郎賞を受賞。他の著書に「悪意の手記」「最後の命」「何もかも憂鬱な夜に」「世界の果て」「悪と仮面のルール」「王国」「迷宮」「惑いの森〜50ストーリーズ」「去年の冬、きみと別れ」「A」などがある。「掏摸」の英語版が米紙ウォール・ストリート・ジャーナルで2012年のベスト10小説に、「悪と仮面のルール」の英語版が同紙の2013年ベストミステリーの10作品に選出される。また2014年、ノワール小説の分野貢献した作家に贈られるアメリカの文学賞「デイビッド・グーディス賞」を日本人として初めて受賞した。  

主な登場人物:

楢崎透 沢渡から松尾グループに潜入を指示されて入り込む。30過ぎ。
立花涼子 楢崎と付き合っていたが、ある宗教施設の会合以降姿を消す。
<教団X>関係者 教団X:立ち並ぶマンションの群れの中の一つにある宗教施設。公安から身を隠した謎のカルト教団。
沢渡 教祖。マンションの21階に居る。エレベータは20階まで、後は階段。
高原雄介 教団の幹部。立花涼子とは兄妹。テロ計画を作成。
教団Xの幹部

・高原雄介
・立花涼子
・小牧W
・吉岡
・篠原 

<教祖 松尾正太郎グループ関係>

松尾正太郎
妻 芳子(よしこ)

沢渡と立花涼子の教団から詐欺にあっていた。
・芳子は70を越えている。

峰野 楢崎が屋敷を訪れたときに吉田と対応した女性。美人。
吉田 寺の坊主。
小林 探偵事務所の見習い中。楢崎の頼みで立花涼子の所在を探している。
50代の男と30代の男 謎の二人組。重要人物。

物語の概要:(図書館の紹介記事より。)

 謎のカルト教団と革命の予感。たったひとつの純粋な愛が、いくつもの運命の糸をたぐりよせる…。神とは何か。運命とは何か。絶対的な闇とは、光とは何か。著者最長にして圧倒的最高傑作。  

読後感:

 一回の読み切りではなかなか理解できない小説の印象。登場する人物の特定が難しいのと、難解な教祖の奇妙な話に困惑するばかり。時に著者の言いたいことが理解できる場面もあるが、まずは物語の大筋を理解することから始める。
 場面の描写には辟易する箇所もあるが、そこは飛ばすとして楢崎と高原と立花涼子、篠原の行動及び、峰野の行動、松尾と妻芳子の行動、そして公安が動く警察関係者の行動に着目して読むことに。

 高原はYG(ラルセシル教の武装集団)からテロを起こせと、元々世界を変える為沢渡に近づき、誰も殺さないテロを目論んだが、篠原の行為に見込み違いが。これは教団の、教祖のテロだと思う。
 読み終わってみてあれほど難解に思っていた物語が何故か人間の素晴らしさ、優しさがふつふつと湧いてきて感動の中にいる自分を感じていた。不思議な感触である。
 現在の政治を考えてみると、本に記されている恐ろしい思惑が現実味を帯びてきているかも知れないと疑いたくなる。
余談:

 
難解と思えた背景には参考文献を見てずいぶん沢山のリストと内容がまた内容であるのに驚く。著者がこんなにも大変な作業をしていたことに感服。
背景画は、森・木をテーマに。(自然いっぱいの素材集より)

           
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