一色さゆり著 『神の値段』



 

              2017-05-25



(作品は、一色さゆり著 『神の値段』   宝島社による。)

          

  本書 2016年(平成28年)2月刊行。書き下ろし作品。

 一色さゆり(本書より)
 
 1988年、京都生まれ。東京芸術大学芸術学科卒業、香港中文大学大学院美術学部在学中。 

主な登場人物:


田中佐和子
父親

永井唯子のアシスタント。3年になる。
・父親は大学の東洋美術試験吸湿の非常勤講師。
専門は東洋陶器。永井唯子は教え子。

永井唯子(ゆいこ) 所属ギャラリーのオーナー。美人で東洋美術史専攻の優秀な大学院卒。
佐伯章介 永井唯子の夫、別居中。
土門正男 アトリエを統括するディレクター。無名と会うことのできた貴重な存在。
師戸(もろと) アトリエの最もベテランの職人。土門に不信感、対立している。
松井 田中佐和子の後輩アシスタント。無名先生にあこがれて働き始めて1ヶ月にもならない。
川田無名 幻の画家書から発展したインクアートで人気の高い前衛芸術家。
コレクターなど

・香月夫妻 台湾人。
・沼田 
・ワン・ラディ 上海コレクター、唯子と長い付き合い。
・真理子 同業者。

警察関係者

・金谷(かなや) 若い女性で男性社会の中で立ち向かっている刑事。
・丸橋警部補、50代後半。

物語の概要:(図書館の紹介記事より。)

 
人前に一切姿を見せない世界的な現代美術家・川田無名。唯一、その正体を知るギャラリー経営者・唯子が何者かに殺された…。
〈受賞情報〉「このミステリーがすごい!」大賞(第14回)
 

読後感:

 面白い。川田無名という姿を見せない画家の存在にまつわる唯一のコンタクトをする永井唯子が殺された。3年間永井唯子のアシスタントとして働いていた田中佐和子が戸惑いながらもその真相を求め追跡、周囲の協力(?)を得ながらギャラリーとアトリエ、コレクターの関係やら絵画にまつわる世界を目の当たりに見せてくれる。絵画に関しては以前に原田マハ著の「楽園のカンヴァス」でミステリーと共に絵の見方を詳しく描写されていて興味深かったが、今回は墨画にまつわるものでこれまた興味深いものであった。

 本作品は「このミステリーがすごい」の大賞受賞作品であるが、そんなことを知らなくてもどんどん作品の中に引き込まれていく力を感じ、さもあらんと感じると共に、どういう著者なのかと関心を持ってしまう。

 

  

余談:

 原田マハもやはり文学部の文学科及び美術史科卒業でニューヨーク近代美術館に派遣され同館に勤務していたようで専門分野の知識と、作家としての能力があるとこういう作品ができるのかと感心。
 小説の評価として・物語のリアリティー ・人物の造形、筋の運び ・筆力 ・そして厚みそういうところに力点を置いて評価されるらしい。まあそうだけれどすべてに満点というのはないだろうから読者の好みに合うものだったらそれでいいよね。
 どこかで見たけれど芥川賞や直木賞をとれれば幸いだけれど、本屋大賞をとれることも作品の評価としては上位の位置にあるらしい。

背景画は、海をテーマに。(自然いっぱいの素材集より)

                    

                          

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