五十嵐貴久著 『リターン』



              2017-09-25



(作品は、五十嵐貴久著 『リターン』   幻冬舎による。)

          
 初出 「PONTOON」(2012年7月号〜2013年4月号)に連載、大幅に加筆修正。
 本書 2013年(平成25年)6月刊行。

 五十嵐貴久(本書より)
 
 1961年東京都生まれ。成蹊大学文学部卒業後、出版社に入社。2001年「リカ」で第2回ホラーサスペンス大賞を受賞しデビュー。映像化された「交渉人」「2005年のロケットボーイズ」「パパとムスメの7日間」をはじめ、「安政五年の大脱走」「Fake」「相棒」「誘拐」「年下の男の子」「編集ガール!」「こちら弁天通りラッキーロード商店街」など著者のジャンルは、ホラー、ミステリ、時代、青春、恋愛など、多岐にわたる。  

主な登場人物:

梅本尚美(33歳)
<わたし>

本庁捜査一課コールドケース捜査班第三班所属の刑事。10年来、猟奇的な“リカ事件”を追っている。
(補)コールドケース捜査班:過去の未解決事件を追う部署。

青木孝子(たかこ) 同上所属で、尚美と同期。強行班三係の奥山次郎と付き合っていて、来春結婚予定。
奥山次郎(35歳)

本庁捜査一課強行班三係の刑事。来春青木孝子と結婚予定。
リカとの接触後連絡なしに。

本庁捜査一課

・長谷川課長 警部。
・藤巻警部 強行班係三係係長
<コールドケース捜査班>
・戸田警部 班長。
・篠崎警部補 第三班班長。わたしと孝子の上司。

菅原刑事

梅本尚美は教え子、愛弟子。リカを追って二発の銃弾を浴びせ事件は解決したかに見えたが。八王子市の廃病院で目にしたものは・・。その後発狂、以降廃人となり病院で生き続けている。
この10年ただひとり尚美は月に一度見舞いに訪れている。

本間隆雄

高尾の敬馬山でスーツケースに入った遺体が発見される。首なし、手足切断などの状態で。2002年12月に行方不明、警察が10年間捜していた男。
当時42歳のサラーリーマン、出会い系サイトのユーザーだった。

雨宮リカ 猟奇殺人事件の犯人、看護師。本間隆雄を拉致、10年間姿を現さなかったが、高尾の敬馬山で本間が発見された後、再び動き出す。

物語の概要:(図書館の紹介記事より。)

「この事件は、あたしの事件よ」。10年の沈黙を経て復活した、狂気のストーカー・リカ。復讐を誓う2人の女刑事。その対決が新たな惨劇を招く…。ホラーサスペンス大賞受賞作「リカ」を超える、衝撃の結末。

読後感:

 知らなかったが、本作品はホラーサスペンス大賞の「リカ」のその後の事件を扱ったものらしい。ホラーは余り好きではないので敬遠しようかと思うも、いわゆる猟奇殺人事件であり、まあおどろおどろしいが、それほど現実離れしたものでもない様なので引く込まれていってしまった。
 五十嵐作品、これまでも多数読んだが、多彩なジャンルを作り出しているようで、楽しみな作家である。
 
 前作を読んでいなくても、「リカ」の事件の内容は記述されているので不足なく読めた。恐らくもっとおどろおどろしい描写があったのではないかと想像される。
 後半になると二人の刑事(尚美と孝子)とリカとの対決が心理戦でどうなることかとやきもき。警察の上部に早く相談しないととこちらが焦ってしまうほど。
 
長谷川捜査一課長の存在が頼もしくなるばかり。でも警察の手が届かないのは言うまでもないか。
 ラストの尚美と菅原の扱い、なんだかリカと本間の関係を暗示しているようで、著者の狙いは・・・と勘ぐってしまえる。 

  

余談:

 五十嵐貴久という作家、経歴を見てもいろんなジャンルの作品を書いているようで、どうしたらこういうことになるのかなあと興味を持ってしまう。読みたい作家の一人になった。 
背景画は、海をテーマに。(自然いっぱいの素材集より)

                    

                          

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