誉田哲也著 『Qrosの女』
               


              2017-12-25



(作品は、誉田哲也著 『Qrosの女』   講談社による。)

          
 初出 「小説現代」2013年2月号〜9月号。
 本書 2013年(平成25年)12月刊行。

 誉田哲也(本書より)

 1969年、東京都生まれ。学習院大学卒。2002年に「妖の華」で、第2回ムー伝奇ノベル大賞優秀賞を受賞してデビュー。2003年「アクセス」で第4回ホラーサスペンス大賞特別賞を受賞。「ストロベリーナイト」や「ジウ」で新しい警察小説の担い手として注目される一方、「武士道」シリーズでの青春小説など、ジャンルを超えて人気を集めている。
 近著に「幸せの条件」「ブルーマーダー」「ドンナ ビアンカ」「増山超能力師事務所」などがある。 
  

主な登場人物:

矢口慶太(29歳) 記者契約で陽明社の「週刊キンダイ」の芸能斑記者。週刊誌に携わって6年、今年の9月の人事異動で政治斑から異動してきたばかり。毎週の企画会議に5つの企画提案ノルマに四苦八苦。

栗山孝治(32歳)
妹 志穂

天神出版の休刊から文秋社で失態起こし陽明社の「週刊キンダイ」編集部に。
市瀬真澄(いちのせ)

スマッシング・カンパニー(略してスマカン)の社員。
スマカンは老舗芸能事務所。“Qrosの女”の正体。桑嶋隆平の突然の思いつきで、福永瑛莉のインタビューのアテンド役だった真澄がCM出演、大騒ぎに。

福永瑛莉 “Qros”のCMに起用される筈がとんでもない結果に怒り心頭。
藤井涼介 人気俳優。“Qros”のCMに起用されている。
桑嶋隆平

“Qros”のチーフ・エグゼクティブ・デザイナー。
“Qros”は日本のファースト・ファッションを代表する一大ブランド。

石上翼(つばさ) 大手芸能事務所「プロダクションWing」の社長。業界で影響力を持つカリスマ。
園田芳美(よしみ) 業界では有名なホラ吹きオヤジ。

物語の概要:(図書館の紹介記事より。)
 
 「週刊キンダイ」芸能記者の矢口慶太は、CMで話題沸騰中の美女「Qrosの女」の正体を探るが…。ネット情報に踊らされながら、思惑が交錯し、驚愕の真相へ。軽やか、かつミステリアスな新境地作。 

読後感:

 章ごとに矢口慶太、栗山孝治、市瀬真澄、園田芳美が主人公となり、その経緯,背景を明らかにしていく手法で物語が展開。従って出来事の詳細が片方の方向だけでなく、複合的に描写されていて、その背景を含めて理解できるし、理由も明かされることに。
 QrosのCMの女のことがネットで炎上、その動静について、あることないこと織り交ぜ、次第に市瀬真澄の身辺のことに迫ってくることで恐怖を抱き外に出られなくなってしまう状態に。

 ネット情報を流している人物に対し、「週間キンダイ」の記者栗山孝治も怒りを感じ、真澄を匿うまでになったり、ホラ吹き親父の園田芳美もヤクザの脅しにおびえながらも栗山とタッグを組んでネット情報を操作している人物を特定しようと動き出す。
 市瀬真澄のせいでQrosのCMを奪われた形の福永瑛莉が犯人かと思いきや・・・。
 ミステリーも含め、ネット情報に翻弄される問題を絡めた筋書きは現代社会向き、ラストでの犯人捜しと決着の付け方は・・・。
  
余談:

 著者の作品はテレビなどでも知られる「ストロベリーナイト」や「ジウ」で強烈な印象を持っているが、最近読んだ「武士道セブンティーン」や今回の「Qrosの女」などちょっと意外な作品かと思われるほどジャンルを問わない風で面白い。 
背景画は、海をテーマに。(自然いっぱいの素材集より)

                    

                          

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