物語の概要:(図書館の紹介記事より。)
奪取された超大型特殊ヘリコプターには爆薬が満載されていた。無人操縦でホバリングしているのは、稼働中の原子力発電所の真上。日本国民すべてを人質にしたテロリストの脅迫に対し、政府が下した非情の決断とは。そしてヘリの燃料が尽きるとき…。驚愕のクライシス、圧倒的な緊迫感で魅了する傑作サスペンス。
読後感:
巨大ヘリ”Bシステムプロジェクト”の計画するヘリコプターに予期していない子供が乗り込み、犯人がそのヘリを遠隔操作で動かして福井県の高速増殖原型炉「新陽」の真上でホバリング。犯行声明で全国の原子力発電所の停止を要求するという驚愕のミステリー。
ヘリ開発者の湯原、山下を中心に、福井県、警察、防災関係者が対応に追われる一方、政府側、犯人側、錦重工業そして防衛庁もと、めまぐるしく人々が交差関連してきて、どのように収束するのかが難儀。こういう複雑な展開を纏める手腕は東野圭吾作品の得意とするところである。
ところで小説が書かれた時代を考えると、今日の原子力の取り扱いについての警鐘を鳴らしているところは先見の明がある。原子力発電の内容も知るところとなり、分かりやすい。
さて、犯人側の行動も緻密に描かれていて、思いも理解できるところでもある。単にミステリーだけでなく内容としても意味のあるところであろう。ちょっとエンジニアー向きという点は否めないかも。
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