福田和代著 『迎撃せよ』



              2017-10-25



(作品は、福田和代著 『迎撃せよ』   角川書店による。)

          
 初出 「野性時代」2009年11月号から2010年11月号まで連載。
 本書 2011年(平成23年)1月刊行。

 福田和代(本書より)
 
 1967年、神戸市生まれ。神戸大学工学部卒業後、システムエンジニアとなる。2007年、航空謀略サスペンス「ヴィズ・ゼロ」でデビュー。著作に「TPKYO BLACKOUT」「オーディンの鴉」「ハイ・アラート」など。
   

主な登場人物:

安濃将文(35歳)
(あのう・まさふみ)
妻 沙代
娘 美冬(4歳)

航空総隊司令部の航空作戦管制所所属(航空自衛隊府中基地在)。一等空尉。加賀山の愛弟子、今年の2月に会った時遺書のようなものを渡される。

泊里(とまり) 安濃とは奈良基地にある航空自衛隊幹部候補生学校の同期。
遠野真樹(26歳) 今年1月に配属の新人。安濃の指導を受けている。射撃の腕前で頭角。
沢島 指揮所運用隊長、ニ佐。安濃、泊里の直属の上司。
青森大湊分屯基地

警戒管制レーダFPS-5、通称「ガメラ・レーダー」の基地。
・竹村一等空尉。 ・飯吉二等空曹。

陸上自衛隊市ヶ谷駐屯地

・美作(みまさか)空尉。入間基地第四高射隊所属。
   PAC-3運用の為に3月26日より出張中。
・横田三等空佐 隊長。

市ヶ谷防衛省情報本部

・松島
・越前

航空自衛隊府中基地

安濃たちが居るところ。
・四方
(しかた)二等空曹。
・木下空士長。

在日米軍司令部

市ヶ谷防衛省情報本部の越前たちのカウンターパート。
・アーサー・アームストロング

官邸の関係者

・浅間和敏 防衛大臣、72歳。
・倉田 総理。
・石泉
(いしずみ) 内閣官房長官、40代後半の若手。倉田総理の懐刀。

警視庁公安部

・加藤 
・村上

加賀山一郎
息子司郎(没)

元一等空佐なるも現状に不満、論文が元で退職に追い込まれる。奥さんを今年の1月亡くす。
・加賀山司郎二尉 空自パイロット、宿舎で自殺。
・米田 加賀山一郎のアジトでのサポート役。

菊谷和美 去年退職の女性パイロット。岐阜基地からミサイル4発を搭載のF−2を奪取。内一発を富士山の樹海に発射、東シナ海に向かう。加賀山と通じている。
イ・ソンミョクの仲間たち

テロリスト。
・イ・ソンミョク 東シナ海にいる。ソンの上官。衛星電話でソンたちに指令。
・ソン・ミンスク 北軽井沢の加賀山のペンションをアジトにしている。化け物のような男。殺しを楽しんでいる。日本に潜入して8年。
・チャン ソンの部下。

守谷実 北のスパイ。工作員を指導する立場の警役人。視庁公安部が目をつけている。

物語の概要:(図書館の紹介記事より。)
 
 航空自衛隊岐阜基地から、ミサイル搭載戦闘機F−2が盗まれた。犯行予告動画に、自衛官・安濃は戦慄した…。日本を、家族を、自分たちの手で守れるのか。超大型・本格派冒険エンタテインメント。

読後感:

 現在まさに起きている北朝鮮によるミサイル発射予告とそれに対する米国や日本の対応を目の当たりにして、小説とは言え、現実感を持ち、迫力を持って読者を惹きつける。
 小説の中で語られる自衛隊の現状の問題点や、現状の体制など現実の様子を知る上でも参考になる。
 さて、物語では自衛隊を辞めた加賀山一郎や菊谷和美がイ・ソンミョクと組んで自分の目的を遂げようとするも、イ・ソンミョクは別の目的で逆に加賀山たちを利用しているかに・・。

 加賀山を尊敬する安濃将文は開発中の次期空対艦ミサイル4発を搭載したF−2を略奪し4月13日の24時に国内の主要都市に撃ち込むとの声明を出す。
 4月12日から4月13日の24時に向け刻一刻と時間経過で物語は次々に展開していく様子を克明に描写、果たしてミサイル発射を旨く迎撃することが出来るのかラストに向かって安濃たちの活躍が描かれていく。

 中でも新人の遠野真樹の溌剌さがまぶしいし、加賀山一郎の息子司郎の婚約者であった菊谷和美の姿が凜々しい。
 スケール感あり、躍動感もあり、サスペンスありとエンタテインメントして読ませる作品である。 
 

  

余談:

 
まさにPAC−3(ポイントディフェンス)の配備やイージス艦(エリアディフェンス)の防衛システムの関連などニュースで見るよりも現実感を持って理解でき、真現在の時点にドンピシャの内容に興奮。  
背景画は、海をテーマに。(自然いっぱいの素材集より)

                    

                          

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