堂場瞬一著 『潜る女』
−アナザーフェイス8−

              2018-01-25


(作品は、堂場瞬一著 『潜る女』−アナザーフェイス 8−     文春文庫による。)

          

  本書 2017年(平成29年)3月刊行。

 堂場瞬一:(「親子の肖像」より)
  
 1963年生まれ。茨城県出身。青山学院大学国際政治経済学部卒業。2000年に「8年」で第13回小説すばる新人賞を受賞。主な著書に「アナザーフェイス」シリーズ、「警視庁犯罪被害者支援課」シリーズ、「刑事の挑戦・一之瀬拓真」シリーズ、「警視庁追跡捜査係」シリーズのほか、「内通者」(朝日新聞出版)、「傷」(講談社)、「グレイ」(集英社)、「ターンオーバー」(角川春樹事務所)、「虚報」「衆」(文藝春秋)などがある。 

主な登場人物:

大友鉄
息子 優斗

今は守護者の二人共異動して今はフリーの状態で刑事総務課の仕事。捜査二課の茂山から結婚詐欺事件について応援を求められる。
・息子の優斗は中学2年生。

柴克志(かつし) 捜査一課の刑事。大友と同期。宮脇俊作(36歳)殺人事件の特別捜査本部に従事中。宮脇と荒川は同じ相模原の青王高校卒だった。
高畑敦美(あつみ) 捜査一課の刑事、柴と同じ係。最近様子がおかしい。
茂山 捜査二課の刑事、大友鉄の同期。
捜査二課

・神原係長 茂山の上司。
・二村春? 二課の女刑事。

坂村健太郎 結婚詐欺の首謀者?、36歳。捜査二課が監視中。タワーマンションに住み、フェラーリに乗る。
荒川美智留

美人のスポーツジムのインストラクター、36歳独身。結婚詐欺の片棒?大学までシンクロに熱。オリンピック候補にも、しかし途中怪我で諦める。荒川と古川はかっての恋人同士。

古川亮(とおる) スポーツ関係のグッズを扱う会社勤務。荒川と同じ大学、競泳選手。
宮脇俊作 荒川美智留と同じ高校。付き合っていたが、大学は関西へ。
三山春香 ワインバーで荒川美智留と待ち合わせていた女性、36歳。仲がよさそう。
結婚詐欺の被害者

・和泉瑠衣 
・市川葉菜 看護師、40歳。
・朝倉未菜子 坂村の逮捕がまだなことを警察に詰め寄る。

物語の概要:(図書館の紹介記事より。)
 
 
結婚詐欺グループの一員と目される元シンクロ選手のインストラクター・荒川美智留。大友は得意の演技力で彼女の懐に飛び込んでいく。


読後感:

 今はフリーとなった大友鉄。同期の柴、高畑との関係は扱う事件そのものは関連性はない様だけれど、そこは仲間のつながりは続いている。それでも物語は柴の扱う事件と大友の扱う事件は繋がっていく展開。一方高畑敦美の様子は、今回は微妙でミステリアスな展開で進んでいく。
 手慣れたものである。

 捜査二課にあって
女性相手の扱いには慣れない故に大友鉄を誘い出した大友の同期の茂山。彼の依頼で、手伝いすることになった大友。相手は美人のインストラクター荒川美智留。
 ジムに潜入から、外での食事への誘いとあの手この手で迫るもなかなか素性を明かせないで困る。

 事件は結婚詐欺事件の有力容疑者の女性荒川美智留と接触し、主犯格の坂村との関係を洗い出そうとするも、なかなか旨く運べない。
 周辺を固めてあぶり出そうとする内に主犯格の坂村が行方不明となり、捜査一課の範疇に及んでしまう。物語は終盤になっても犯人への確証が見つからず意外な方向から急展開へ。

 警察内部での指導のあり方や、同期の友情も織り込まれていて、アナザーフェイスのシリーズの面白さがこの篇でもしっかりでている。
 今回は大友鉄も責任を感じる場面もあり、特に高畑敦美の事情には女性の人生の厳しさを一人乗り切ろうとする姿が切ない。
   

余談:
  
 改めて堂場瞬一の多作作家の実力を知る。色んなシリーズを混乱することなくし上げる能力はどんな風にして物語を紡いでいくのだろうか?
背景画は、森、木をテーマに。(自然いっぱいの素材集より)

           
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