安東能明著 『侵食捜査』

 

              2017-03-25



(作品は、安東能明著 『侵食捜査』   祥伝社による。)

         

  初出 月刊「小説NON」に「侵食捜査」として平成25年9月号から26年7月号まで連載したものに、刊行に際し、大幅に加筆・訂正したもの。 
 本書 2014年(平成26年)10月刊行。

 安東能明(本書より)
 
 1956年静岡県生まれ。明治大学卒業。’94年「死が舞い降りた」で日本推理サスペンス大賞受賞しデビュー。2000年「鬼子母神」でホラーサスペンス大賞特別賞、’10年には「随監」で日本推理作家協会賞短編部門を受賞する。緻密な取材が生む警察小説が大人気である。著書に「撃てない警官」(「随監」収録)「聖域捜査」「第U捜査官」「出署せず」「CAドラゴン」他多数。本書は「限界捜査」(小社刊)に続く、東京赤羽中央署を舞台に疋田務率いる生活安全課の活躍をハードに描いた迫真のシリーズ第2弾である。  

主な登場人物:


疋田務(ひきたつとむ)
妻 恭子
(きょうこ)
息子 慎二

赤羽中央署生活安全課少年第一係の係長、40歳。
妻と5年前に離婚。息子の慎二は母親の方に。
・慎二 中1。

赤羽中央署

生活安全課:
・小宮真子 疋田の部下の巡査部長。
・末松孝志 巡査部長、43歳。
・野々山幸平
・西浦忠広 生活安全課の課長、警部。
刑事課:
・岩井安典(やすのり) 刑事課長。疋田の唯一無二の理解者。
副署長:曽我部

三好英正 赤羽クリニックの院長、52歳。心臓外科専門の医師。疋田務はこの院の患者。
内海 ヘルスエンゼルの代表。病院の買収を手がけるコンサルタント。
下地 内海の懐刀。
渡部陽子 赤羽クリニックに新しく入った女医、33歳。経営学の修士号を持つ。
稲葉 ネクスト(大手クレジット会社の傘下にあるノンバンク)の取締役の一人。内海代表と旧知の仲。

朝倉結衣
母親 路子

20歳の短大生。旧岩淵水門(赤水門)で、水死体で疋田に引き上げられる。
胸の窪みに”3”のアザ? タトゥー?がある。
・母親の路子 アザを見て血の気失せる。

木内義和 木内美容整形外科新宿本院の院長、50歳。
野島修一 木内美容整形外科成増院の院長。木内より成増院を任されている。もともとは美容整形外科医。
北沢明美 池袋の化粧品売り場に勤務の派遣社員。整形手術後の体調悪く野島と口論の女、29歳。
市川和代 看護師。先週いっぱいで成増院辞めた。
金森芳枝 共立埼玉中央病院(地域の基幹病院)における手術部の看護師長。匿名の通報で手術の患者取り違え事件発覚、責任者としてただ一人逮捕された。
五十嵐康宏 飛鳥山病院の医師。患者の家族から頻繁に電話、ずっと攻められ続けていたよう。投身自殺。
中原雅弘 葛飾区青戸にある総合病院の消化器内科の医師、42歳。小宮山真子と合コンで知り合い付き合いだしている。飛鳥山病院に掛け持ち勤務している筈。

物語の概要:(図書館の紹介記事より。)

 自殺と思われた女子短大生の水死事件。だが、胸の刺青文様が捜査を意外な方向に。やがて明かされた衝撃の真実とは…。「出署せず」で大ブレイクの著者が贈る、迫真の本格警察小説。

読後感:

 美容整形に関わる医療事故がらみ、病院を巡る買収屋の動き、そして赤羽中央署生活安全課の警察側の活躍ぶり、さらには主人公の疋田務の離婚後の息子慎二に対する思いと部下の小宮真子への関心(結婚相手への嫉妬?)と人間ドラマとしても盛りだくさんの内容になっている。
 背景には共立埼玉中央病院における患者取り違え事件に関わった人物達が大きく関わっていることが後半より明らかになってくる。
 真相は控えておこう。

  

余談:

 作品の内容は美容整形にまつわる内容も面白かったし、人間ドラマとしての内容も面白かったが、なんというか生活安全課の人物像が今ひとつハッキリ区別できないところが物足りなかった。もう少し読者が感情移入できる像描写があるともっと印象深いものと成ったと思うのだが。
 疋田務の生活安全課の係長が活躍するシリーズの第2弾と言うことで、第1弾の「限界捜査」も読んでみよう。
   

背景画は、海をテーマに。(自然いっぱいの素材集より)

                    

                          

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