第一回マイクロ波全国一斉移動運用私記



場所の選定…

 2002年9月28/29日、第一回マイクロ波全国一斉移動大会が、JARLの名義後援も受けて行われた。北は北海道から、南は九州までの各地で一斉にマイクロ続が移動する…と聞いては、どんなことをしても山の上から出るしかない!! と考えた。それも四国・剣山に松山グループが移動されるということで、「よーし、四国をねらい、次は九州だ!!(ホンマカイナ??)」なんて、一杯やりつつ決意。場所の選定にはいった。
 「高い山というならば、富士山頂がなんと言っても一番だよ」と言われもしたが、ここは腐っても山屋の意地がある。「富士山には冬に登る」とずっと決めてきていたのだ。と言って、今の生活パターンでは、冬の富士山に行けるとも思えないのだが、まだまだ人生は長いので、「大切にとっておきたい山頂」ではあるのだ。(同様に、南アルプス・甲斐駒も、まだ登っていない。「できたら岩場か、沢から、そうでなかったら積雪期に黒戸尾根から行きたい」と思っているのだ。)
 また、よさそうな山でも、自動車を運転できない私の場合、アプローチの問題がついてまわる。つまり電車−バスから始まって歩き出して、移動運用実験をやっている時間帯に山頂に到着できないと、意味が無いのである。そう考えると、北アルプスは向かないことになる。さて、どこだろうか??
 で、行きついた先は南アルプス・北岳山頂だった。ここだと、甲府駅4:30として、6:30に歩き出せる。午後の2時までには山頂で運用できるはずだ。元気なら午後すぐに運用できるかも知れない。また、バスも11月まではちゃんと毎日ある。交通費もそこそこだし、なんと言っても、見とおしがよいのだ。
 さーて、あとは準備をするのと、休暇をとるのと…だろう。

設備と装備の準備

 さて、場所が決まると、次は運用周波数や設備、そして山の装備が問題となる。山の方は、9月末だから、多少の雪がふっても、本名的な吹雪ということは、まあ、あまりないと考えられる。だとすると、問題は「雨」の場合だろう。その場合、山頂にテントを設営したいのだが、これがキャンプ指定地外であるという問題がついてまわることになる。まあ、ツェルトをかぶっている分には問題無いとみなされるだろう。もっとも、ツェルトもポールを使えば、テントとかわらない。むしろ、テントの方が自立できるので、自然への影響は場所だけ確認すれば少ないかも知れない。が、そうは言っても、指定地外だからどうするかなぁ…という点が、最後まで迷うことになった。まあ、このあたり、例えばベンチなどがあるような場所で、ツェルトを張って運用したらイカン とは言えないような気もする
 さて、使う周波数と設備の方は、5G/10GのDUAL−BANDのTRVをとりあえず持参することにしよう。アンテナには、去年の埼玉・芋煮会で入手した34cmのお皿を使ってみよう。ただ、浅い皿なので、5Gではホーンだとスピルアウトしてしまうかもしれない。まあ、DUAL−BANDのホーンなので、10Gはかなりビームが狭くなり、こちらはそう問題はないだろう。
 電源は例によって、「パソコン用リチウム電池改造版」であるが、さらに未改造のままおいてあった二つを改造した。一つがちと妙な動作をするが、もう一つは問題無いので、4つは確保できた。しめしめ、これ以上持っていっても、重くてバテるだけだよねぇ。
 あとは、準備万端ととのえて、当日を待つばかりなり!!天気予報も直前の金曜日が悪そうだけど、その後は持ちなおすらしいから、秋晴れが期待できそうだものね・・・。(一週間前の予報では・・・)

天気が悪いぞー!!

 が、数日前から天気予報は「天候悪化」へとかわってしまった。「なんとか心と秋の空」なんて言うが、実は移動性高気圧と気圧の谷、それに秋雨前線の関係を見ていれば、この時期は天候のおおよその予報はさほど難しくない。移動性高気圧に被われたり、太平洋高気圧が勢力下におけば、そうは崩れず、気圧の谷がくれば悪い。まあ、秋雨前線がいるのでちとやっかいにはなるが、「崩れる」と言ったら崩れる…と思ってよいのだ。ただ、移動性高気圧の晴天から豹変するから、「なんとか心と秋の空」などと言うのだろう。
 ・・・という事は、こりゃあ、荒天になることは確かそうだ。どの程度の雨と風で山頂からの運用ができだろうか。やっぱり山頂でテントかなぁ??それにしても、風が問題だな・・・うーん、どうしよう・・・と考え込んだのが木曜日だった。金曜日には、それでも一応、休む算段をして、休暇届を出して、食料も買って帰ってきた。
 しかし・・・である。夜の天気予報を見て、ゲゲッとなった。なんと太平洋側に低気圧がいるだけでなく、日本海側にも低気圧がはいって、日本列島を挟んで進むというパターンになるようなのだ。こいつを俗に「二つ玉低気圧」と言う。まあ、雪山ではないから、たとえ二つ玉低気圧だろうと、台風でもない限りは、北岳くんだりに登れないことはない。(と思う)が、問題は「運用」である。「二つ玉低気圧」にはさまれた日本列島は低気圧帯となり、山の上は100%荒れた天候が約束されるとみてよい。今回の場合、山に行くのが目的ではなく、山で運用するのが目的なので、運用できない場所に登っても意味が無いのだ。
 結果、北岳に出かける予定はとりやめる事にした。やれやれ、ガッカリ・・・である。

結局、高尾山に移動・・・

 で、考えたが結局、休暇は取り消して、日曜日に日帰りで高尾山にでかけることにした。ここのケーブル横の展望台がなかなかよいのだ。それにここなら家から1時間で到着できそうだしねぇ。
 
 が、行ってみると、ここもずいぶんと勝手が違ってしまっていた。当初はケーブル駅横の展望台からの運用を予定したのだが、なんと行って見たら、「作業中につき閉鎖」の看板と鎖が…。まあ、日曜日に作業とも思えないが、小市民的に指示に従う事にして山頂まで登って運用することにした。でも、天候が、朝はイマイチだったので、珍しく山頂は空いていた。山頂までケーブル駅からで20分で歩いたので、まあまあ遅くならずに運用できた。
 さすがにお空のほうはコンテスト並み以上に、移動局でにぎわっている。混信がおきるくらいだから、これはホンマモンだろう。山頂の一角、北側が開けた場所で、ビールを飲みつつ、おでんを食べつつ、9時半過ぎから15時までQRVした。はじめてすぐに、7N4TDM上條さんが来られて、一緒に運用したり、なかめたりした上に写真までとっていただいた。

交信結果は・・・
   1.2G 4局
   5G   15局(16交信)
   10G   4局

という具合で、八溝移動各局とは、5G/10Gで交信できた。が、山頂から都心方向に高い木がしげっており、鉄塔もあって、都心反射は使えなかった。最初に考えていた展望台だと、このあたりの問題はなかったのだが…。だもので、赤城山とは5Gができず、里美村とも10Gではできなかった。
・・・やはり、展望台の方がよかったかなぁ。

 でも、せっかく北岳移動を考えたんだから、今度の全市全郡は北岳で出て見ようかな。肩の小屋で二泊して、山頂に通えばのんびりと無線ができそうだものねぇ。

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