剣岳八ツ峰

六峰Cフェース

 

 

熊野谿 寛

剣岳の岩場はでっかいなぁ
剣岳八ツ峰六峰Cフェース剣稜会ルート登攀

 

 右足がまだリハビリ中の私と、最近は長いアプローチが辛いという光子さん。この二人でも、「六峰Cフェースなら」と計画した。

 

8月15日 室堂行きの夜行バスに乗車。乗り換え不要で、朝から行動できるのが良い。

8月16日 室堂からガスの中を別山乗越経由で剣沢小屋迄。小屋に11時過ぎに到着した。、雪渓への下降点を確認に行こうとしたが、雨が降り出した。でも、一旦あがったので、下見を終えた。さらに夕方には強く降り出したが、夜中には星空も見えていた。

この剣沢小屋の晩飯は、ともかくおかずの量が多い。この日は特大海老フライ二匹にコロッケ、クリームシチュー、サラダ、ご飯 などなど で食べ過ぎて苦しい位(?!)

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8月17日 霧雨の中、ヘッデンを燈して3時30分出発。長次郎雪渓出合に6時着。雪渓の状態は安定しており、クレパスはほぼ無い。登り返して熊の岩には7時頃に到着し、Cフェース取付で支度を終えたの8時だった。CFACE.JPG - 25,334BYTES

 

最初は私がリード。岩が濡れて微妙に滑る。1P目はフェースを左上。しかしビレイしていると雨が降り出した。すぐに小止みとなったので、「どうしようかねぇ」。「ここまで来たら行くんじゃない」と続行に決定。

続いて光子さんが2P目を短く切ったので、3P目も本来のビレイ点からずれた。しかし、3P目の変則的なビレイ点で確保していると、今度は音を立てて強い雨が降り出した。うわーっ、冷たい…。壁が滝のようになってきた。こんな滝、どこかの沢で見た気がする。でも、今日は沢登りじゃないんだけど…

 

光子さんが登って来てから雨具を着て、再び「どうしましょうね」と相談。でも、変な場所で確保しているので、懸垂支点が怪しい。さらに、しばらく相談していたら、雨も小止みとなった。そこで、またまた続行に決定。

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光子さんリードの4P目でナイフリッジ下に到着。そして、5P目の鋭いナイフリッジを私がリードしたが、支点が短くてロープの流れが悪くなったのでピッチを切った。でも、あと少しだ。光子さんが6P目をリードして終了点に到着。念のためにその上を確認して、Cフェースは終わった。11時15分位だ。約3時間もかかったけど、沢みたいな状態だったからなぁ。

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でも、ここからが核心部??休憩をしてから、荷物をまとめて五・六のコルに向けて出発すると、雨で岩が滑る。探すとハイマツの中に懸垂支点があったので、安全優先でロープ一本で二回程懸垂した。

やっと五・六のコルが見える場所まで来た。午後になって天候は小康を取り戻し、コルがちゃんと見えるので間違いは無い。でも、最後に欲張ってロープ二本で懸垂したら、ロープが引っ掛かって回収できない。仕方なく、八ツ峰の縦走路を途中まで登り返して回収。・・・こうして時間を大幅にロスしてコルを出たのが13時50分。アイゼンを付けて長次郎雪渓から降り出すのが14時30分になった。

 でも、あとは晩飯まで小屋に帰るだけだ!アイゼンで雪渓を軽快に降りて行くと、下の方で手を振る人がいる。…あれっ、nonoさんとzenさんだ!これから熊の岩に行く二人と写真を取り合ってお互いの安全と幸運を祈念した。

 剣沢雪渓に15時30分。ここからが長い登り返しだ。途中で疲れた光子さんからロープを奪取して担ぎ、背後にピッタリと付いて、「さあ頑張って行きましょう」「あと少しです」と煽る。昔の体育会みたいにピッケルこそ振り回さないけど、ちょっときつかったかなぁ、ゴメンナサイ!。

でも、甲斐あってか17時30分に剣沢小屋に戻れた。途中で雨がドバーッと来て濡れたが、小屋の熱いシャワーに生き返る思いをして、すっかり癒された。でも、やっぱりこの日の夕食は腹ペコの私でも重たい位の量があった。

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 8月18日 今日は剣沢小屋から室堂に出て帰るだけなので、のんびりと起きて出発。霧雨の中を歩いて室堂に降りた。

 

 久しぶりの14時間行動も、ストック一本の効果もあり足はそんなに痛くならなかった。ただ、まだ右足のバランス保持力が弱い。

 次に行く時は、一週間くらい、熊の岩にテントを張ってのんびりと周辺の岩を登ってみたい。晴れていたら、あの花崗岩と雪と青空のコントラストはとても綺麗だろうなぁ。