石尊稜 再び

 前回は、あまりの良い天気に午後から登ったら、雪が腐って苦戦して、挙句にヘッデン登攀となった。今回は、前穂北尾根へ向けたトレーニングとして、テルさんと出かけた。できたら赤岳主稜も登りたい、と欲張って2泊3日とした。

3月21日 朝は猛烈な雨と風。出発を遅らせて9:00町田とした。各駅と快速で茅野に向かい、御柱大祭で混雑する列車は、風雨のために遅れたが13時半には茅野に着いた。今日は赤岳鉱泉まで。でも、年度末の仕事で疲れたのだろうか、歩きだしたらテルさんの調子がイマイチで、18時頃に鉱泉についた。

SEKISON2.JPG - 29,427BYTES3月22日 少しゆっくり寝て、7時に鉱泉を出発。最初の沢を詰めていくと、今日のものと思しきトレースがある。取り付き点に8時過ぎに到着すると、「ルートはどっちだ」と右側を探している先行パーティがいた。「真ん中ですよ」と声をかけてから、準備をして登りだしたが、結局、同じルートになってしまったので、途中で先行が行くまで待った。ここでヘルメットカメラを取り出した。
 壁は少しばかり雪が付いているが凍っていてなかなか具合が良い。草付も快適にアックスが決まって、グイグイと登れる感じだ。前回の様に草付がポロッと剥げるなんて事も心配なく1p目を登り、2p目はテルさんがリード。樹林に抜けた立ち木でピッチを切った。うーん、実に安定している。

SEKISON6.JPG - 27,893BYTES
SEKISON1.JPG - 28,407BYTES この先は雪稜となるのだが、3月としては雪が少ない。ザイルをコンテにして、一か所だけ念のためにスタカットで、快適に登攀していった。ナイフリッジの雪庇は、落ちてしまったのかほとんど無く、ピーカンのお天気に山々が輝いて、まさに「これぞ、春山!!」だ。上部岩壁取付まで、なんという事も無かった。振り返れば北アルプス北部が見え、阿弥陀の先には南アルプスもだんだん見えてきた。
 上部岩壁は前回は夜間登攀だったが、明るい時に見ると、印象はずいぶん違う。ガリー状の取り付きから1p目で岩峰に出て、ルンゼをリッジに戻った所でピッチを切った。岩はガッチリと凍っており、グイグイと登れて気持ちが良い。ランニングにいくつか支点を掘りだして使い、岩角でビレイ点とした。
SEKISON7.JPG - 15,152BYTES さあ、最後の1pだ。テルさんがリードで登って、ほどなくコールがあって登る。そのままコンテに切り替えたら石尊峰まですぐだった。風の無い石尊峰で、ゆっくりと荷をほどき、行動食を食べて大休止した。それにしてもすばらしい天気だ。休憩しながら1292.30Mhzリピーターでいつもの様に長野に声をかけてから、荷物をまとめて下山にかかった。鉱泉ではビールが待っている。

SEKISON4.JPG - 15,892BYTES

3月23日 昨晩から天候は、雨・雪・風と急激に変化した。テルさんの調子もいまいちなので、のんびり温泉に入ってから下山と決めた。もみのき荘の昼飯が11:30からだったが、ともあれ茅野にて乾杯して帰途に就いた。