ミニ・トランスバーターとの格闘

5月15日 24Gができてタワー上にあがったものの、まだ誰とも交信できない。さて、何をしよう・・・と考えて机の引き出しをあけたら、前にオークションで譲っていただいた、以前、マキ電機にて出していた「2.4G ワンボードトランスバーター」が出てきた。

このワンボードは、以前、マキ電機で出していたMMICを多用したもので、次のような構成となっている。このMMICは、NECのもので、2G台までは十分にフラットに働くもの。さらにセラミックフィルターを使っているので、本体は無調整というのが多分、設計思想だったのだと思う。が、MMICはフラットに増幅してしまうので、スプリアス対策は実は結構大変だったのか、セラミックフィルター以外に外付けBPFが必ず必要である と以前利のモービルハムの解説には書いてあった。

             μPC8106   -- BPF-- μPC2712  --- μPC2708 ---2SC3603 --- TX OUT
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 T/R SW --   μPC2708 --- LO IN
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             μPC2757 --- BPF ---μPC2708   ---MGF1302----RX IN


そうそう、これ用の局発を作らないといかんと思っていたのだ、と思いおこして、テストとしてLOにSGから信号を入れてみた。430M-IFとして、1990Mが必要だが、半分の995Mを入れてみたら、ちゃんと2.4Gが出てきた。どの程度、LOのレベルを入れるべきなのかと思って加減してみたら、なんと-10dbmよりも多くなるとスプリアスが増える。995Mの場合は-15dbm程度でよい感じだ。

次に試しに1108M ・・・半端ですが、一番高い周波数  を入れて、IF=1200Mにして、送信してみた。するとこれでも動く。LOのレベルはやはり-10dbm程度までがちょうどよい範囲の模様だ。それとやはり、995Mを入れてハーモニクスミクサーとするのだとどうしてもスプリアスは増えるようだ。

さて、これを試してみてから、LOをにわかに作り始めた。水晶は前に購入済みで二つをリレーで切り替えるようにした。マキ電気製品の猿真似である。で、またまた性懲りもなく、高周波用の片面ベタアース・穴あき基板で発振段から組みだした。

発振回路は2SC2026で、今回、初めてマキ電気のモノコイルを使ったら、割とすぐに発振した。東光のモノコイルは使ったことがあるのだが、その前、手巻きをやったり、fczコイルを使ったりした時にはなかなか発振しなくて苦しんだ事が思い出される。ただ、水晶の周波数が49.750Mと低めなので、逓倍出力のコンデンサが最初2pでは少なくて、4P-5P程度でよかったようで、カットアンドトライした。

それで同調したようなので、二段目の逓倍も2sc2026で組んだ。199M程度だがこちらも3pでは不足して4Pでよかったようだ。-10dbm程度の出力だが、目的が、そのあたりなので、まあいいかなと思うことにした。

もっとも次が問題で、995Mにあげるのだが、5逓倍の後の同調回路をどうするか、が問題だ。450-500MあたりのヘリカルBPFをほぐして、まき数を半分にしてみたのだが、これは失敗で、筒抜けになってしまう。ここからキャピティに入れるのか、はたまたワンターン型の同調回路を作るのかと思案している所で昨晩は時間切れとなった。

995Mでは携帯用のBPFは使えないし、何かいい手はないかなぁ・・・。次の1990Mの段はキャピティがいいかなと思っているのだが。

6月17日 昨晩は、穴あき基板に組んだ局発の995Mへの逓倍部からテストしてみた。

まず、6P程度のトリマーとワンターンのコイルをつけ、FJ415からの出力を中点あたりに入れ、もう一つ同じものを並べたM結合にしてやってみた。これで同調すればしめたものなのだが、トリマーを抜ききっても800Mあたりまで。次にワンターンのコイルを一本の線にしてやってみたのですが、やはり駄目。

そこで、乱暴にもこの部分をすっ飛ばして、いきなりFJ415の出力を2.4GのBPFに入れてみした。が、なんとこれでチューンすると、1990Mが-10dbm近く出る。でも、さすがにスプリアスバリバリなので使えない。それでは・・・と。再び、容量の小さなトリマーを探して、ゼロターンをつけて銅頂点をいじってみました。なんとか995M付近にピークが出たようだ。単同調にしてしまい、その後にもう一段FJ415の逓倍と三段キャピティを使った逓倍部を組んでつけた。

さすがに単同調では1990Mの下200Mほどの信号が切れませんが、これはワンボードのフィルターで切れるだろうと考えて、テストしてみた。すると確かに200M下のスプリアスは影響しないようだ。

ただし、2.4Gワンボードの出力がどうも汚いので、いろいろテストしていったら、なんの事はないIFへの過大入力だった。C701で280mWにてやっていたのでだが、さらに10dbのATTを入れると、近接した変なスプリアスがなく、出力は変化なしだった。これではちょいと使いにくいので、基板上のATTを増やした方がよさそうだ。

  さて、次はこの出力にBPF兼アンプを組んで100-200mWにしてやり、PAをドライブするのが課題だ。あ、そうだワンボードを入れる箱を準備しないといけないな。・・・・と書いていて、気がついたのだが、PHSをばらしたら、1900MのBPFが出てくるのではないかなぁ。そうしたら、穴あき基板で1.9Gまで完成しないかな。・・・分解・工作用に三つあるからばらしてようかな・・・。

6月20日 昨日の帰りにサトーさんによって、ケースなどを購入。今回はFT817とあわせた大きさにしようと思ったのだが、それだとYM180がよさそうだ。でも、ちょっと小さいので、少しだけ大きめになるYM200にした。完成したら、FT817とセットで入れられるバッグを探して、持ち運ぼう・・・という算段。手持ちの2.4G三段BPFをワンボードの出力にいれてやったら、スペアナではスプリアスもほとんど見えない程度に、この時はなった。

さて、次はPAをどうするかが問題です。1Wか2Wほしいのだが、思いついた方法は次のようなものだった。

1)前に買ってあるでかいMMIC を使う。・・・2W近く出るらしいのだが電流をやたら食うので、移動用には却下。

2)0904-0905のアンプをもう一つ作る。ちと2w以下にはオーバー。消費電流はけっこうあるし、5W近く出るから考えてしまう。

3)在庫のFET FLL101/FLL171/FLL351を使う。

・・・そうだ確か前に巣鴨で買ったジャンクがあるぞ という事で探し出して、基板からその部分をはさみで切り取った。が、三段はオーバーな気がするな・・・????

ワンボードの出力が約20mW。これにBPF兼用でFETアンプをつけてやって100mWにしてやり(?)、100mWでドライブして1W-2W出すのには、どんな石がよいかなぁ・・・。FLL101MEだけでも、1W出るのかな。351だと出すぎかな??電流食べるのは移動用にいかんしなぁ・・・と思案していたらぬ夜中になってしまったので、仕方なく寝た。

6月21日 晩、帰宅してから突貫で 穴あけをやり、(と、言ってもたいしたことはない)さらにワンボードのATT部分の抵抗をかえてみて、組み込んでみた。で、さらにBPF兼用のアンプを作って、これでOK!! と思った。

しかし・・・やっぱり始まった。発振、また発振。バラックの時にはなかったように思うのだが、ワンボードが2.4Gを強力に発振してくれる。念のためケースからうかせてみても同じ・・・???こりゃあ、ATTを交換したのが計算違いで、ミスマッチかな??などと思案する。

ふと時計を見たら、夜中の2時前。メールを見たらYAMA-MLに JR1LQE宮沢さんの「冷蔵庫にビール」の文字が目に入り、ボーっとしてきた頭の中で見割れたレコードみたいに繰り返す。「冷蔵庫にビール・・・冷蔵庫にビール・・・・冷蔵庫にビール・・・」と。

#もちろん、この場合、宮沢さんの意図とはまったく関係なく、妄想みたいに、言葉がリフレインしただけだが・・・

結局、風呂に入ってから、冷蔵庫からビールを取り出してグビッ とやってからこてん と寝てしまった。

6月22日 SHF技術アドバイス講習会。今日は昨晩がたたって、のんびりと起きて川崎に伺い、午後からSAGAMI-NETのミーティングがあるので早めに失礼することになった。

夜更かししていたら発振をはじめたワンボード、やはりMMICが発振しているとの見立てで、MMICアンプ二段の結合コンデンサを0.5Pと交換で発振はとまった。確かに小さなボードにこれだけハイゲインなMMICを詰め込み、アースラインが基板の上ではしっかりスルーになっていても、ケースからは、部品のついた分だけ浮いているのだから、発振しても不思議ではないように思う。いつもながら、うーん・・・とうなる。

6月25日 今晩はオンエアミーティングを聞きながら、2.4GワンボードTRVにつけるPAを調整してみた。

PAは、ワンボードがだいたい10mW程度になっているので、5G用のMGF1302x2-MGF0904 基板を流用。ただし、0904ではなく、FLS09MEの残りがあったので、1302x1 - FLS09ME としてみた。FLS09MEは4G用なのでもったいない気もするが、後でFLL101とか171と同じ大きさなので、交換が簡単にできる。FETは穴をヤスリで広げた。

基板の元々のスタブは本来は全部削るべきだが、横着してそのまま。前に買ってあったい今や貴重品のギガトリマを、一段目ゲート、二段目のゲートとドレインにつけて調整したら、約800mWでた。これで、電源を12Vにすると1Wになるので、「こりゃあ良いわ」とケースに組み込みこんだ。

が、アンテナ端子でなんだか200mWしか出てこない。ゲゲッ??どうもアンテナの切り替えリレーがとっても臭いようだ。すごーく、古いUTVのジャンクからとった物で、G4Yリレーの代替品としてナショナルのリレーが使ってある。こりゃあ、交換だ!!でも、考えたらG5Yリレーでも結構ロスするか???さらに調べたらG5Yリレー基板は我が家の在庫がなくなっている模様。でも、ジャンク箱の奥底から、G4Yリレーが出てきた。確かこれは使い方しだいで5Gでも使えるはず・・・。じゃあ、交換してみるか 。 多分、基板は腐っていないでリレーが駄目になっているはずだ。

さらに、まだ蓋をして動作させていないので、蓋をしめた時の回りこみ対策が必要だ。これも一応、アイディアはあるのだが・・・。なんとか週末までには完成させたいものだ。

ちなみにリレーについて槇岡さんに聞いてみたら・・・次のようなコメントが。

>このリレーには随分と泣かされましたよ・・・満足に使えるのは、せいぜい、144MHzまでかな・・・安物買いのPOW失い・・・でした!

うひゃーっ、そんなにツワモノだったのか。どうりでATTになるはずだ。hi

6月27日 今日は行事日程の関係でお休みだが、夕方から用事があり、午前中、2.4Gワンボードをしあげるべくあくせくと作業をした。

まず、リレーは手持ちのG4Y-152Pと交換した。これだけで、3dBほどは出力があがった。まあ、おそろしや。さらに線の結線をみなおしてやりいじったら0.8W程度になった。が、どうも今度は動作が不安定。

前回、講習会の時に槇岡さんに、BPFからMMIC、MMIC相互の結合を0.5PFに交換すると発振がとまる というい技を見せていたただいたのだが、これだとさすがにちと出力不足。0dbm程度になってしまうようだったので、とりあえず、5Pを一つにだかせてあった。

で、これの一段目への0.5Pをどこまで増やして大丈夫か とカットアンドトライをくりかえしたが、1P-3P程度までは大丈夫。ただし、あとの回路の具合では発振するようだ。そこでさらにMMIC二段目のRFC部分を短くしてやり、トランジスタもベースバイアス回路のRFCを短くショートしてやった。考えたらFETほどには入力インピーダンスが高くないので意味がなかったかも知れないが・・・。でも、これでなんとかアンプをへて700-800mW程度になるようになったのでワンボードはよし とした。

最もケースの中にむき出しではちとまずいので、アルミ板をまげてやり、覆いをつけてやった。さて、これでOKかな、とケースの蓋をするとあらあら、今度はどこかから回り込み発振する。うーん・・・なんでかなといろいろやってみたが、本日は時間切れとなった。

ただ、考えたら、局発部が一部露出しており、さらに出力部のリレー基板も露出している。このあたりがいかんのだと思われる。局発にも覆いをつけてやって、それでも不十分ならば、出力のリレーをもう一段階奮発してSMAでつなぐ同軸リレーとして、回路の露出をやめるかな。

6月28日 土曜日だが、仕事なので作業開始は夜となった。

蓋をしめたら発振かするのは、どうも局発部がケース内でむき出しに近い状態で、そことリレー部からの放射がループを作るのではないかと推定した。また、リレー部の接続にもミスマッチがあるようで、PAの蓋を指でなでていくと、出力が微妙に変化する。

そこで、「えーい、もうワンランク リレーをとりかえてしまえ」と決断。以前、千円ほどで入手した24Vの同軸リレーを投入。PAからの同軸をセミリジットと交換して、同軸リレーをつけ、受信部からの同軸にもSMAコネクタを半田付けした。駆動回路は、いつものようにJAMUのWEBにJF1VAS成沢さんが紹介されているものをベースにして、二回路のリレーでPAの電源とかねて切り替えできるようにした。

さすがにこうしたら回り見込みはぐっと減り、一応、800mWから1W出るようになった。さーてこれでいいかな・・・といったん蓋をした。が、どうもまだ変なスプリアスが覆い。

7月1日 さらに、

1)ワンボードの局発の注入口に3Pのトリマーをつけてオープンスタブ(?)とした。これで局発のスプリアスが出にくくなったように思う。



2)送信MIXのATTの前後についている20Pを、どうも過入力になるので、7Pに減らした。1Pでは小さすぎたので7P程度でよかったかなと思う。

さて、これで一応、「完成」としたい。ただ、まだスペアナで見ると、近接に子どもがでるのが問題だ。前のスペアナだったら見えないからニコニコしてられたのだが、見えてしまうと・・・。ただ、これは局発のスプリアスとともに、MMIC格段の
動作レベル全体を見直さないとなくせそうもない気がする。

受信の方は室内で9ELループをつけたら仏果山リピーターのダウンが聞こえたので、まあまあだと思う。ちなみに最終のBPFは、外付けにした。理由は単純。IMT2000だのとの関係を考えると、東京近郊の山の上で運用する時には、受信も含めてBPFをつけた方がよさそうだ という理由からだ。アンテナにじかにBPFをつけTRVにつないだほうがこうした移動用にはよいように思う。((他と兼用を考えた 単なる手抜きだったりして・・・)