秋の北岳で無線三昧

 全国一斉マイクロ波移動大会で荒天のために断念した「北岳からのマイクロ波通信実験」。ど゜うしてもやってみたくて、skdもないのに10月連休に登ってみることにした。

10月12日 前夜、甲府にはいるが、去年もそうだったが、甲府駅は暴走族が多くてウルサイ。それも車が中心で、制服を着た女子高生らしきオネーチャンもギャラリーで夜通し居る。オイオイ、青少年健全育成条例違反だぜ、なんて思うけど、まあ駅で寝る方も立場は弱いので、文句は言えないかな。hi
 でも、ウルサクて目が覚めたので、散歩したら、バスが4:30だと思っていたら、連休なので3時のバスが出る、との事で、あわててバス停に並んだ。まあ、良いこともあるものだ。おかげで、広河原に4:30に到着した。だが、この時刻、バスのついた案内センターは閉まっている。それどころか、トイレも閉まっているようだ。ゲゲッ!!というわけで、広河原小屋まで歩いてトイレを済ませることにした。

 空には満天の星。いい天気になりそうだ。野呂川の吊橋は、表面に霜がおりて凍りついたのか、足がツルツルとする。注意深くわたって小屋に出る。トイレを済ませてから、ヘッデンの電池を交換し、水を一口飲んで歩き出したのが、5時ちょうどだった。まだ暗いのでヘッデンが欠かせない。でも、ほどなく空は白くなり、やがて30分もしないうちに明るくなってヘッデンを消した。堰堤をすぎて、少し開けた場所に出る。北岳が見えるだろう、と見上げると・・・

 あーら、白いジャン。雪だなぁ。

まあ、まだら程度だし、天気もよいから、良いけど。それにウィスキーの雪割が飲めるといいなぁ・・・。

 こんな調子で、タカタカと歩いていった。ガレ場を過ぎて、大崩壊の後にできた対岸の道にはいり、またまた対岸にもどって…、二又には7時に到着。すっかり明るくなったが、空を見るとどうやらド・ピーカンの一日が約束されたようだ。

「八本歯に行く」という人が多いが、あの階段は嫌で、去年はすっかりへばってしまった。で、今年はちょっと急そうに見えるが、草滑りコースから行く事にした。個の方が多分、急な登りはがんばらないとあがらないので気合が入り、絶対に早く山頂に到着できるのだと思うのだが、地図のコースタイムだと逆になっている。まあ、この場合、予定よりも2時間も早いバスに乗ったのだから、テントを張って、のんびりしてから山頂に行くとちょうどよいはずだろう。

 で、歩き出してしばらくすると、やっと太陽があたるようになった。おーっ、これなら寒くない…というわけで、登り出してすぐだが、休憩。何度目かわからないが、朝食を食べることにした。さらに、息が切れると立ち止り、30分ほどで休憩をいれてしまった。それでも、ペースは悪くないらしく、小太郎尾根の分岐に9時には到着できた。途中、ナナカマドの実が赤くなったのが、実にきれいに輝いていた。

 展望はそれはもう最高である。こんなに360度晴れたのは久しぶりだ。少々白の混ざった北岳と青空のコントラストがすばらしい。ただ大分疲れたので、稜線をのんびりとあるいて、9時半くらいに肩の小屋についた。小屋でテントの申し込みをして、まずテントを設営する。まだテント場は誰もいないので、一番、上の段に張った。なかなか快調。でも、ついでについついビールをあけてしまい、飲んだら眠くなってお昼寝タイムとなってしまった。

 そんな具合で、11時過ぎに起きて、無線機の荷物をくくって山頂に向かった。肩の小屋からの道は日陰には雪が凍っていたようだが、昼間なので融けかけている。逆にいうと滑るのだが、まあ、慎重 かつすばやく行けば、なんとかならないような道ではない。「滑る前に上れ」という事で早かったのか、山頂には、20分ほどで到着した。
 さて、無線機をセッティングする。今回の器材は・・・
1.2G TH−59(1w) +5EL プリンテナ /2.4G C−701 + TRV(0.3W) + 9ELループ 
5G/10G C601 + DUAL−TRV +34cmDISH
 ・・・という具合である。 が、セッティングして焦った。「あらら、2.4Gのループをテントに忘れたぁ!!」
 まあ、仕方がないので、そのまま1.2GでCQを出すと、一発目が都内から応答があった。FSである。その後、野田市・龍ヶ崎市など、千葉から北方面にかけての信号が強力に入感してきた。でも、が、北岳という場所は、標高は高いものの、首都圏の半分くらいは、山の影にかくれて見えない。相模原移動のJA1GYK局とは1.2Gでも52程度でなんとか交信できる程度に落ちてしまうのだ。そんな具合で、5Gは赤城に移動していただいたJA1QOR局との交信が最初になった。
 さらに悪いことは続くもので、10Gが送信しなくなり、スタンバイ系統の故障。持ち歩いた衝撃で何かがはずれて、ショートしていて、TRスイッチの石を飛ばしたのかな??やれやれ、気になるなぁ…。
 でも、そん中でも、松坂のJH2VZH局が最初は1.2Gでコールしてくれた。そして、車で移動した三重県・多気郡と5Gでの交信ができた。なんと、5G用コリニア7段のモーピルアンテナを使用されているとの事。これならばやはり大移動会でここで運用していれば、もっと遠くとできたに違いない。残念…。でも、この交信ができた事だけで、北岳運用の目的は達したといってもよいと思われる。
 また、松坂のJA2YNP(松坂工業高校)局の出すビーコンも探ってみたら、FSで入ってきた。

 4時前に交信が途絶えたのと、雪道が融けたものが凍るのは結構厄介なのでテントに引き上げた。まずビールを一本やり、それから「タコ飯」とおでんという晩飯を作ったのだが、永谷園のタコ飯は味が濃くて、米の量を減らすとどうもいかん。さらにコッフェルが小さかったら水が足らずに、久しぶりにメッコになってしまったので、とても食えない…と翌朝まわしにしてしまった。(翌朝は、もう一度、ふかして食べたのだが…)飯でドジるとは、いかんなぁ。

 さて、肩の小屋のテント場では、テントに忘れていた2.4Gのアンテナをつけて見た。霞ヶ関のビーコンとおぼし着ものも聞こえる。(が、これはどうも違ったようで、翌日、山頂ではCW−IDの入った本物が聞こえた。)TRVも一応、この時は動いていたので、筑波移動の7K3OHU/1局と交信したり、霞ヶ関のリピーターのアクセスを調べたりした。が、どうも動作が妙だ、その後、一眠りしてから8時頃に起きてみたのだが、案の定、2.4Gのロールコールは聞こえるのに、呼べど叫べど届かずに終り、不て寝して寝てしまった。
 本当はテントの外、小屋前で長野方面に向けて…と思っていたのだが、テント場満員につき、小屋前の先までテントが張られていたので、とてもじゃないですが、夜8時なんて「夜中」には運用できない雰囲気で。残念。

10/13 朝4時には目が覚めてしまう。で、タコ飯と格闘して片付けてから、外をのぞくとそろそろ日の出だ。肩の小屋でのんびりと日の出を見る。北岳が赤く染まり、茜色の空に富士山がうかび、やがて太陽がポコッと顔を出した。今日も良い天気に違いない。


 
 

 日の出を見てから、ゆっくりと準備をして、朝6時半過ぎにテント場を出て、やはり20分ほどで山頂についた。前日に融けた雪が凍っていて、なかなかスリリングなところもあったが、石をつかみ、バランスをとって… まあ、たいしたことはない。ついたら昨日と同じくベンチの端に陣取る。

 こうして、7時から山頂で運用開始。首都圏の半分はダメなのでコンテストには向かないが、11時半過ぎまで山頂でQRVした。1.2Gでは、たくさんの局が聞こえるのだが、「なんとかの大声」なのか、呼んでも叫んでも応答しない局が目立つ。こちらはプリンテナでも5ELなので、1Wでそこそこ飛んでいくはずなのだが、はて、何W出しているのだろうか??
 また、一度、長野のJA0RUZ局を1.2Gで聞いたので、呼んではみたのだが、都内局の混信の中でうまくQSYできず交信できなかった。これで5Gでの長野との交信もボツである。昨晩おかしかった2.4Gは、呼んだクラブ局に最初はとってもらえたのだが、すぐに「入感しなくなりました」といわれ、これまた壊れた模様。トホホホ。なんだかフルとカタカタ言うので、何がとれたのかな??

 さらに朝早いので(?)、あまり出ていない。すぐに交信相手がなくなってしまった。で、勢い、昨日のノリで松坂JA2YNPビーコンを聞いてみた。誰かその方向で出てこないかなぁ という淡い期待もあって・・・。
 実は、最初、12日にの昼頃に探した時は、周波数を間違えたのか、JA2YNPは発見できなかった。が、JH2VZH局に「聞こえるはずだ」と周波数を聞き、再度探すとFSだった。ほぼ225度方向付近、前後10度位は59+だった。が、13日の朝、7時に聞くと、いくつもの方向で聞こえることに気がついた。
 225度メイン方向はFS。  それよりもやや西側にも一つ聞こえる。さらに南側にまわしていくと、三つか四つのピークがあり、朝は富士山に向けると59+
 その後、9時過ぎにもう一度思いついてテストをしてみた。やはり、富士山方向でも聞こえたが、朝よりは弱くなった。でも、まだこの時は聞こえており、試しに5Gのホーンの向きをお皿から反対にして、直接に受信してみたら、ダイレクト方向では58−59で聞こえた。ところが、数分後、ガックリとホーンでは聞こえなくなり、鍋蓋パラボラにしたら58。34cmに戻してやっとFSと、信号レベルがはっきりと落ちてしまった。この時、富士山方向で探しが、スケルチをあけておけば聞こえるものの弱くなってしまった。この変化は、数分の間で、とても劇的なものだった
 天候はド・ピーカンで、一日中、雲らしいものは何も無いという、すごい状態。、(下界には13日は薄雲がかかっていたが)こうした場合でも、やはり早朝の方がコンディションとしてはよいようだ。それにしても、このガックリ という変化は何でだろう…

 その後は、5Gをメインにワッチしては呼び、CQを出して…と繰り返した。でも、都内・横浜あたりの局とはすごいQSBがある。また、湯河原移動のJR1YYT(OP 7L1RLL)局との交信は、なんだか都心ビームみたいだった。やっぱり山のエッジをかすめるのはよくないのだろう。コンテストなら東京近郊の山に限るようだ。こんな結果、5Gは 13日で 6局 に終った。
 
 そんな具合で、1.2Gで交信したJA7TKH局/間の岳の言葉に甘えて、「今日で帰ろうか」となってしまい、11時40分頃に山頂の荷物を撤収して、テント場に戻った。そして、ベトナムラーメンとか(なかなかよい)を食べてから、テントを撤収した。「15時に二又」という約束の時刻に早過ぎるので、小屋の前でしばし昼寝してから、下山開始。降りるのは早いので、尾根分岐まで13分。これだと早いのでまたゴロゴロしてから、一気に下って二又まで45分。ここでTKH局を待ち、手荷物を預かって一緒に下山したのが、16時半。後は温泉経由で甲府まで車に乗せていただきました。
  VY TNX JA7TKH!!

 帰って荷物を整理すると、なんだか要修理品の山である。トホホホホ、と翌日は修理にあけくれることになったのは言うまでもない。ちなみに2.4Gは中のネジが外れたためにFETのバイアス回路がショートしていた。また、10Gはなんと入力部の同軸の芯線断線・接触不良が原因だった。やっぱり安物1.5Dはダメだ!!(本当は、ヘタクソ工作はダメだ!!が正解・・・) というのが結論である。