FT−290の1.2G化計画

2002年頃〜発振に苦しむ
 すっかり固定運用に慣れてくると、「移動用にオールモードで使える親機がほしい」等と考え出してしまった。もちろん、C601/701あたりを親機にするのは、とても使い勝手という点ではよい。マイク・スピーカーのかわりに本体が使えるので、とても便利…。だけど、これでは方角あわせにビートをとることはできないし、遠距離とやりたいのには、無理がある。

 そこで思いついたのが「FT290の電池ボックスを取り去り、ここに1.2GのTRVを入れたらいいじゃん」というEASYな考えだった。実はこの計画構想は二度目である。一昨年だったか、「イーカゲン局発の実験」とあわせて、なんと無謀にも1.2G/2.4G両用を作ろうとしたのだ。が、これはあえなく敗退した。その時の主用部品はすべて2.4G二号機に使用されて今は残っていない。そこで、今回は1.2G単独で考えることにした。

 設計仕様としては
     周波数 1.2Ghz帯のうち 1294−1298M/1280M付近/1274M付近/1268M付近 の4帯域
     電波形式 FM/SSB/CW         出力 1Wと100mWの二段階 
 

 構成は、8セクションのキャビティを使ってやり、
RXは・・・ANT− 2SK406 − MMIC-MIXER  −−RX OUT
TXは・・・TX-IN - MMICMIXER − BPF −  2SK406 − M67715 − BPF
・・という具合でどうだろか。これだと受信に8段のうちの3段、送信に5段を使って一つのキャビティにて、1.2Gができるはずである。

で、局初が問題だが、実は2001年の埼玉・芋煮会で入手したジャンクがあるのだ。これを使って、その後にトランジスタ逓倍をつけたらよろしかろう・・・と考えた。ちなみにBPFは、1130M付近のもので、いくつかわけていただいたものである。
 


 
 

 で、これにつけるトランスバーター部は、8セクションキャビティとパワーモジュール基板でできあがり・・・のはずである。
 


  さて、これで問題はキャビティアウトでモジュールが十分に押せるか というあたりが一つ。それとスプリアスがどうか、という事だろう。

 まあ、やってみなくちゃわかんないものね・・・。 で、やったみたら楽々動いたので、さっそくFT290を改造して、信号を取り出し、組み込む段階になってハタと困った。

発振 発振 はっしん ハッシン ・・・・・とめどもなく発振がとまらないのだ。いやはや、一昨日おいでだ、とプロジェクトは中止に追い込まれた。

2004年 三度目の正直
 2004年春。YAMA会の講習会でマキ電機のゴミが放出された。ゴミ・ジャンクと馬鹿にしてはならない。川崎での試行錯誤、実験した基板などうんちくとノウハウ(と失敗も??)の凝縮した努力の跡がつまっているのだ。で、あれこれとハムフェア・カンパと引き換えにもらってきた。
 24Gのワンボード基板はパターンやカップリングが何箇所かなくなっていた。が、そんなことには負けず、ゴミジャンク24G三号機として再生した。また、ミニワンボードの1200Mバージョンや2400Mの実験途中の奴があった。ミニワンボードにあわせて使うミニ局発基板のジャンクもあった。・・・これぞ宝の山である。でも、ミニ局発は持ち帰った時はうまく動かなかった。

 さて、しばし考えていたのだが、({考えていた」というのは多分ウソ。他のジャンクに遊ばれていただけだ。)このミニワンボードとミニ局発ならば FT290の電池ボックスに入るのではないだろうか。前回はモジュールまでつけて内蔵しようとしたのが発振した原因ではないしかなぁ。
でも、ミニ局発が動かないとだめかな・・・と思った。

8月15日 今日は、ミニワンボードと組み合わせる、ミニ局発のジャンクを再生して、電池ボックスに組み込んでみた。これで1280M 100mW弱が出てくる。まだシールドなどがしていないのだが、ちゃんとフタをしてやれば、まあなんとかできそうな気がする。ミニ局発は、230M 10dBmが出るので、そのままこれをミニワンボードにつないだ。そして、ミニワンボードの局発を引っ張る長いラインを切って、1137Mのセラミックフィルターを入れてやった。このミニワンボードは-10dbm以下程度が局発の適正水準なので、まあまあではないかと思われる。
 ただ、実験中に不思議なことに気がついた。FT290の本体がFMモードだと送信した時に20Khz周波数がずれるのだ。SSBでは大丈夫なのだが・・・ さて、どこかに取り説があるはずだから、一通り済んだら最後に直しておかないといけない。多分、経年変化なのだろう。
 あとは、シールドが一番大切な処理、その後はBPFと送受アンテナ切り替えリレーの基板を作ればよいようだ。BPFの中にもう一段、欲張って送信の増幅をいれるかどうか迷うところで、2SC2367のパラを100mWでドライブしたら、300mW程度は出るのかな、いや、それをすると また回り込みやすくなるだけかな・・・。

8月16日 今日から仕事で夏期講習だが、夕方にサトーさんによって、アルミ板やスペーサーなどを入手してきた。せかせかフタを作ってみる。また、夜遅くなってから、G5Yを取り付ける基板をエッチングして作った。この程度のものはテープで張りつけて作ると簡単だ。

8月17日 いよいよ実装して動かしてみた。

 案の定、どうも1300M付近で強く発振する。指で基板をなでて「触診」していったが、なんのことはない、セラミックフィルターやらファイナル付近のアースが浮いていた。これを直したら安定してきた。また、局発フタをつけると出力が落ちるので、そのままで実験してみた。
 下左のように出力は80mW。だが、ミニワンボードそのままだとさすがにスプリアスがまだ多い。二枚目の信号のある時はまた゜よいのだが、特に三枚目に見るように無信号時のスプリアスは景気良くでてしまう。うーん、これはやはり金物でフィルター兼アンプをいれるかなぁ。



でも、とりあえず、親機としては使えないこともない程度のようだ。(SSBで交信するというよりビートをとるのが目的だから)で、正面は下のような感じにできあがった。
8月19日 いよいよ明日からハムフェア。でも、まだ展示機を作っている。hi

今日はどうもスプリアスが多いのでFT290内蔵1200MにBPF兼アンプをつけてみた。3セクションのキャピティにBPFと2SC2367パラのアンプを入れたらよいだろう・・・。一つ区切りをいれて、これでアンプをつけてやり、二段がBPF。が、これがなかなか難物だった。2367パラ 抱き合わせで バイアスはダイオード二本並列にてかけるB級程度にしたのだが、コレクタ電流こそ70-80mA流れるものの、100mW程度にて飽和してしまう。さらに実験していくと、どうも入力が多すぎるのか、周囲にサイドがひろがった感じになった。コレクタ抵抗は10Ω。
 で、いろいろいじっていたら、いつもの定番・・・突然死。まあ、2367は本来は10Vまでだったような気がするから、13.8Vかかったら無理もない。そこで、次にFJ451という変な石をパラにしてみた。今度は出力がさきほどよりも出ない。これじゃアンプというよりフィルター付ATTだな。  #FJ451は 富士通の石で 2367相当に近いよ と百本買った奴。Ft 6Gはある模様。

で、さらにこの石でもコレクタに入れる抵抗が18オームだと電流過多となるのか、出力が100mWからカクンと落ち、コレクタ電流だけ150mAに跳ね上がる。コレクタの抵抗を50Ωにしたらカクンと落ちるのはなくなったが、出力が70mW。あれ、基板だけで80mWあったはずなんだけど・・・hi となりました。でも、スプリアスはほぼなくなった。これじゃあアンプなしでBPFだけいれた方がよかったなぁ。トホホホホ。

 これをなんとか電池ボックスに押し込み、仮止めして終わりとした。どうもうまくな。150mW程度にしたかったのだがねぇ。やっぱり2367でもう一度やってみるかなぁ。だいたいキャピティだとやっぱり微調整が大変だ。小さなトリマーでスタプ調整したらばもっと出るかなぁ。

8月23日 ハムフェアが終わった。で、仕上げをしようと考えた。槇岡さんには、次のようなコメントをもらった。
「 2SC2367はパラでーーー良いところ200mWなんですが、電圧は12V以下の方が良さそうです。3603がない頃は、ずいぶんと使いました・・・なかなか良いTRなんですね・・・・
 >小さなトリマーでスタプ調整したらばもっと出るかなぁ。
もっと出ます・・・・松下02Pトリマーをゲート・アース間でやるのが一番でしょう。ベースの整合が難しく、これが決め手になります・・・・仕切版に取りつけた場合はベース−アース間に・・・1PFをリードを長めに付けて、、仕切版に付け離ししながらのTuningで良いところがあると思います・・・・これは3603も同じようですね。3603は・・・2.4GHzで・・・パラで・・最大800mW出したこともありましたが、、2367は200mW前後かな?」 

 で、多少やってたみのだが、どうもあまり効果が出ない。やっぱり金物は苦手なんだなぁ。とほほほほ。
 それで、アンプをつけたら意味がないようなので、これをとってしった。BPFだけ三段だとロスするかなと思っていたのだが、かえってマッチングが取れたのか安定して出るようになった。80mW程度なので、まあ目的としては良い模様。スプリアスもそこそこ になった。もっともSSBでの無信号時に、1252Mの局発スプリアスが-30dBで出てしまうので、局発から入るところにトラップを入れた。あまりあわせると肝心な出力も吸ってしまうので、多少ずらして-40〜-60dBの間で帳尻をあわせた。

今度の出力スペクトラムは、左が信号を入れた状態、右がSSBでの無信号時のものだ。


 さて、続いて受信の調整だ。が、我が家のSGが1040Mじゃないか・・・でも、考えたら640Mの二倍高調波が使えるので、HP8640Bの出力にBPFを入れて、二倍波を取り出してスペアナにてレベルを確認した。これだとだいたい-30dBとなっている。そもそも520Mまでの信号を倍にして出しているので、高調波がひろいやすいのだ、このバンドは。
 これをATTでしぼっていって、聞きながらノイズがまざる信号にしてから受信初段でスタブを探った。最初は、100マμボルトとかないとまともに聞こえない感じだったが、いじるとずいぶんよくなった。でも、まだ了解度にてまだC601には負けている。結果として、1マイクロボルトが割と変調が復調できる信号強度のようだ。親機だからこれで足りるかなぁ。不足かな??
 これでとりあえず、FT290 1200M改造計画はおしまいとしよう。で、次のFT790改造計画まで、このパターンはしばしのお休みとしたい。あっ、IC271も改造用にあるんだよね。材料もあるなぁ・・・。