ドレークのコンバーターをとことん楽しむ No.1



ドレークのコンバーターとは・・

 もう何年も前から出まわっている、輸出用のCATV用コンバーターのこと。(これ自体については、このページが詳しい。)PLLでロックされたVCOと、RFAMPとミクサー、ポストアンプのコンバーター部分が一つの防水型ケースに入っている。2.3−2.5Gが一応の帯域で、そのままでは局発は2278Mになっている。セブロンのつけてくれた案内にある簡単な改造で実用的に  2.4Gを144M帯に変換するコンバーターとして使うことができる。なんと言っても、局発で苦労するのが常な中にあって、  PLLで楽々VCOが発振してくれるのは嬉しい。(単に私の腕が悪いだけ・・・かもしれないが)
 でも、そのままで使うのでは、芸がないじゃん・・・という事で、これをいろいろと使ってみた。

#でも以下のアイディアはたいていは先人が工夫されたのを聞きつけたり、自分で考えたつもりでも実はすでにやられていた・・・・というものばかりになってしまいました。このコンバーターを改造する上での一番丁寧な説明は、多分、北陸マイクロウェーブのこちらのページにあります。

その1 2.4GでLOとコンバーターを両方使う

 一番単純な改造として、2.4Gのトランスバーターに使うことにした。それも受信部はそのまま使い、送信部のためにも局発をとりだして使う、というとんでもない「手抜き」計画である。局発からミクサーに行くラインに同軸を半田付けして、そのまま取り出した。ケースに穴をあけて取り出したが、この方が廻りこみしにくいようだ。
 ただ、親機が144Mではどうも周波数範囲が狭いので、430MをIFにできないかなぁ、と考えた。すると・・・・2427Mを430M帯に変換するので、1989Mあたりがほしい。手持ちの水晶を探したら、7.8Mのクリスタルフィルター用の水晶があった。これだと7.7985Khzx256で、少し高いが、使えるだろう・・・・とやってみた。 この場合、VCOの同調回路にあるチップコンの位置を、バリキャップから一番遠く離したほうがよいようだ。

 でも、実はこのコンバーターの水晶発振は、74HC00を使っているらしいのだが、「その辺の水晶でやると、表示周波数より高くなる」という癖がある。たとえば1Khzくらい上になるのだが、たかが1Khzではない。256倍されるので、256Kになってしまう。私の場合は2Kzほど高くなり、2427Mはなんと430.210Mになってしまった。
 これだとSSBバンドのど真ん中になるもので、移動運用の時にIFの漏れでクレームがきてしまった。で、全電波・実験研究用となっている438Mを使うべく、水晶を注文した。CQ誌に出ているアルト電子さんだと、「ドレークのコンバーターで使います」と注文すると、(格安ではないのだが)ちゃんとあわせて作って下さる。これだとトリマだけでピタリとあう。あまり手間をかけずにあわせたい方には、おすすめである。

 「でも、受信部のフィルターはどうなんだ」と思う方もあるだろう。そこで、指定の改造(100−200Mを通りやすくする)のあとで、簡易スペアナのトラジェネでもって測定してみた。雑なのだが、450Mあたりまではあまりゲインは落ちていない。でもって、SHF技術講習会でもってはかっていただいたら、「変換利得20dBでOKでしょう」との事だった。
 もっとも、その後、このコンバーターの初段を飛ばしてしまったらしく、取り替えたら、どうもローカルを引き出すと感度が低下するみたいだ。うーむ、個体差なのかなぁ。

その2 5.6GでLOとして使う

 さて、5.6Gのトランスバーターの局発にもこれは使える。トランスバーター本体は、マキ電機の基板をハムフェアでわけていただいた。 
 これは局発は、「4480/2240Mのどちらか。2240Mの場合は、10mw程度は必要」とあった。このPLLはそれだけで10mW程度の出力があるので、水晶だけとりかえて8.75Mにした同調用のチップコンの位置は、そのままでOKだ。この水晶は秋葉原のニッシン電子でちゃんと売っている。ただ、うっかりそのまま使ったら、200Khzほど高くなってしまった。まあ、この位だと、「至近距離でもIFで間違って交信することがなくてすむ」という特徴があるので、よしとしよう。厳密にあわせたい方は、多分20PFくらいのコンデンサをトリマと並列にするとあわせられると思う。

その3 少しの改造で2.4G−FMATV送信機に

 このアイアディアはCQ誌の97年.6月号に出ていたものを簡単にしただけである。
 PLL部分だけを取り出して、2416Mあたりの水晶をいれる。これもニッシン電子さんでFM−ATV用として売っている。CQ誌の記事では、1Mおきにステップできるようにしてあるが、そんなにこだわっていないので、変調回路をつける。で、ロックする周期をのばすために220オームと47μFを入れ、さらにバリキャップの電圧部分に100Ωと47μFのコンデンサを介してビデオ信号を入れるだけである。ただ、ビデオ信号を可変するためのVRはつけておかないと画面はきれいにならない。出力を私は手持ちのMMIC/ERA−5でアンプした。ERA−5は最大で91mW出るはずなので、まあ80mWは出てているだろう。小型FM−ATV送信機である。
 

その4 もうちょっと改造すると1.2GのFMATV送信機に
 
 これと次は、西新潟クラブのweb−pageにあった方法である。ずうずうしくも作者のJA0DFRさんにいきなりメールを出したら、丁寧な返事で教えて下さった。
 @VCOの発振段のストリップラインに切れ目を入れた。それで、ここにワンターンのコイルを入れる。直径は数mmだが、まあ、感覚的なものであとは下の「その5」の写真をみてほしい。
 A同調用のチップコンを取り去る。ここに10PFを入れる。チップだと実験しているうちに容量がわからなくなるので、私はフツーのセラミックコンデンサを入れてみた。
 Bロック用の水晶をはずして電源を入れる。これで出力が1.20−1.23Gあたりになるようにした。
 Cそして、ロック用の水晶を入れる。1/256なので、5Mだと1280Mのはずだ。だが、「高めに出る」ので、1280.8Mあたりになった。
 実は最初、コンバーターのミクサー部分をつけたまま実験をしていた。するとなんと1/128の水晶でロックした。なんでだか不思議だったのだが、ミクサー部分をカットしたら、1/256でないとロックしなくなった。ミクサーのダイオードが逓倍の役目を果たして、倍の周波数でロックしていたのだろう。
 
 で、この出力を増幅すればいいのだし、2.4Gと同じく変調をかければいいのだ。
  だが、ここ欲張り過ぎたようだ。M67715でもって1W出力をめざし、このモジュールをドレークのコンバーターに内蔵させてみた。すると、やっぱりどうも廻りこんでまう。ロックが外れて、変なところをさまよってしまう。BPFは入れてあるのだが、「困ったなぁ・・・。」
 とりあえず電源にフェライトビーズを入れたりしてみたのだが、いっこうにおさまる気配はない。銅板でシールドをいれてみた、なんとかごまかせば使える程度にはなった。でも、100mW程度までにした方が無難なのかもしれない。

その5 1120−1150Mの局発として使う

 基本的には、その4と同じ方法である。ただ、容量としてチップコンのかわりに12PFをつけてみた。これでロック用の水晶をつけない状態で、1100Mあたりに調整する。そして、ロック用の水晶として4.5Mをつけると・・・
 4.5 X 256 =1152Mなのだが、実際は少し高めで1152.5Mくらいが出てきた。この「周波数が高くなる」というのは、安い水晶を頼むときは、逆に2Kくらい低めを頼めば良いということなのだろう。これで1.2Gとかの局発ができあがる。パワーはダイオード逓倍でも十分な10mW程度もでる。
 
 
 
 

その6 貧乏人の測定にもドレークが友となる

 我が家の簡易スペアナは2Gまでが測定範囲である。で、SHF講習会でその上は見ていただいていたのだが、やっぱり自分で5Gも10Gも見てみたい。そこで、YAMA−MLで教えていただいた方法が、「究極の簡易測定法」である。

 @まず、ドレークのコンバーターの蓋をあける。LOの出力ラインを途中で切り、同軸でLOの出力を取り出す。
 A取り出した先にミクサーをつける。私のやってみたのは、切り離してあまっているRFアンプ部分の基板を流用した。(だってたくさんあるんだもの)。まずこの部品をはずして、一番ラインの長いBPFに行くあたりを切り出した。ここにSPD221とRFCをつけて、一方の側に局発をいれ、反対側にSMAコネクタをつけて、測定したいものをいれる。局発の側から出力を取り出す。(本当はLPFがほしいところだが、私はテキトーなので入れていない)
 
B使い方 SMAにATTをいれてからここに測定したい出力をいれる。
 で、局初が2278M 見たい信号が 10240Mhzだとすると・・・
   10240−(2278X4) = 1128M にあわせる目的周波数がちゃんと見える。
 もちろん、逆も使えるので・・・
   (2278X5)―10240 = 1150M でも見えるのだが、逆ヘトロダインなので、どうも周波数関係が気分が悪いのと、5倍よりは4倍の方が高調波も強いだろう、という事で4倍でもってみてみた。

 もっとハイバンドの場合は、導波管を使ったり、緻密につくらないとロスが多くなる。というか、微小な電波が見えなくなる。でも、これでは絶対レベルはもちろんわからないが、10Gあたりの調整には便利なことこのうえない。この方法で調整した10Gのトランスバーターを、SHF講習会で見ていただいたら、調整したところまでは、そんなにはずれていなかった。実に便利!!
 

その7 10Gのトランスバーターにも局発として使ってしまおう

 5.6Gが完成して数ヶ月。年末一時金で10Gの製作にとりかかった。そこで、またまたLOとしてドレークコンバーターを使うことにした。5.6Gの時と同じく水晶を8.75Mと交換する。
 そして、ニッシン電子さんで売っていた写真のようなセブロンの逓倍用基板を、コンバーター部のかわりにつけるだけだ。この基板、FETを使っているのにバイアス回路がない。どうするんだろうと思って、最初は秋月で売っているMMICのERA5をのせてみた。これだと91mW出るので、逓倍にも使えるだろう、と考えた。でも、その後、HJ誌を見ていて「バイアスなしの逓倍回路」というのをいくか発見した。そこで、池田電子でたくさん買ってあったFSC11LGを使ってみた。 これで調整する部分は全然ない。スタブにトリマをつけてみたりしたが、意味なかったのではずした。これで4480Mのできあがりである。レベルはけっこうでているらしい。

 ただ、実は最初はどうやっても周波数が2Mもずれてしまった。コンデンサを抱かせてもあわないので、いろいろやってみたが、これはCMOS−ICを使った発振回路の個体差という奴だったらしい。ユニットごととりかえたら、22PFのコンデンサを抱かせた状態で、ほぼ4480Mにぴたりとあった。はずしたユニットはどうしたかって??それが実は1280M−FM−ATV送信機にまわったんだ。ご心配なく。
 

その8 なんと5Gの送信機もつくれるらしい

 そして、セブロンの同じような基板で5.6Gの送信機にもできるらしい。こちらはまだ入手できていないのだが、入手したらすぐに作ってみたいと思っている。