YIG-OSCの実験

8月某日 オークションでボーっとして見ていたら、18-26.5GというすごいYIGが出ていた。30k円もしたのだが、ついつい一杯加減だったもので、ふらふらと入札したら、落札してしまった。うわーっ、何に使うんだぁ????

9月8日 今日は、ミニ・ボール盤が来たので、試しに放熱板にYIGを取り付ける穴あけをやってみた。

YIGを入手したのは初めてでどう使うのかさっぱり??だが、HJ誌のバックナンバーを見ていたらYIGを使ったSGについてのJA1ATI逸見OMの記事が出ていた。で、これを真似して作ろうと思って発振テストだけてみた。23.5Gで発振させて逓倍すれば47GのSGにもなるかなぁ。

要は、可変定電流電源を作ってやって、これでYIGのTUNEへの電流を制御、その他の電源は安定化し、FMと書いてあるものは変調やPLLにしない限りは使わなくてよい、HTRは適当に電機を流して暖めて安定化する・・・ ということのようだ。ハムフェアで入手したデジタルボルトメーターを使って、これにオフセット電圧をかけてやって周波数表示ができるかなと考えた。

が、どうせ作るなら、信号発生器だけではなく、スイープできるようにすればもっと便利だとも思う。でも、さて、可変定電流電源に317Tを使った場合、どうやったらこれをのこぎり波でスイープさせられるのかな、と枯渇した頭をしぼった。VRでスイープ幅を変化させられるようにしてやって・・・と考えてはいるのだが。

さて、YAMA-MLにこんな事を書いたら、さっそく各OMからいろいろと「こうやっている」「こうした方がよい」と知恵をいただいた。中でも、JA1ATI逸見OMからは、次のような指摘をいただいた。

「スイーパーにするには鋸波を加えれば原理上できますが、YIG特有の問題がありますので波形には注意が必要です。周波数(磁場強度)を決めるメインコイル(TUNE)はインダクタンスが多いので鋸波を加えると立下り部分で激しいスパイク電圧を発生しますので運が悪いとYIGを壊します。これは経験済み。速度を上げない、立下りの波形を緩くする、トップを少し平坦にする、その間の時間はブランキング信号が出るようにする。など。
 YIGの一般的な注意事項ですが、特にK−Band用ではコイル電流が多いので放熱に十分気を付けてください。内部の発振デバイスを壊した経験があります。熱容量が大きいので気が付いた時は温度がドンドン上がってしまい間に合いませんでした。
 ご存知の通り、磁場が周波数を決めていますので、シールド構造にはなっていますが外部磁場の影響をモロに受けますので、電源トランス(50Hz)や換気フアンのリークに注意して。必ずスペクトラムを観測して。」

うーん、奥が深い!! さらに、このための回路についても教えていただくことができた。ただ、これを全部作るのは、ちと大変そうだ。

10月18日 さて、月末からいじってきたNF調整器が箱に入ったので、午後からYIGを使ったSGもどきの基礎実験をはじめた。

 とりあえず、ケースと放熱器につけて、ファンをまわして取り付けてから単純な317Tを使った定電流回路を使った駆動を試してみた。が、これがどうしてなかなか「単純」ではないようだ。まず、定電流回路の317Tの設定部分に手持ちの5KΩのヘリポットを使ったのだが、これはどうもあまりよくないようだ。ジャンクだからか、時々、周波数が飛ぶ。だいたい1KΩ程度が普通なので、安定しにくいのかな。(思うだけで理屈はないのだが)
 また、周波数表示をつけてみたが、YIGの直線性の問題なのか、確かに18Gと24Gで0.2G程度の誤差が出る。補正しないとやっぱり駄目だ。
 さらに、どうも定電流回路の抵抗に普通の金属皮膜抵抗を使ったら、熱特性が悪いのか、定電流とは思えないほどドリフトしていく。でも、熱特性がよくて3W程度の電流が流せる抵抗ってのは、どこに売っているだろうか。セメント抵抗ならば安定するのかな??それとも金属皮膜でよいものを探すべきか??どちらにしても、このあたりの精度は、回路が簡単なほど、モロに影響するんだなぁ。当然ながら納得。

10月19日 YAMA-MLに書いたら、逸見OMから熱特性のよい抵抗について教えていただいた。さらに、JA9TTT/1 加藤さんの掲示板でも、抵抗の熱特性について教えていただいた。それによると、セメントはダメ、酸化金属皮膜もダメ、金属皮膜が普通のものでは最もよい、との事だった。

 が、手元にはとりあえず、大きなセメント抵抗を買ってきた。使うのは2.7-3オームなので、とりあえず、入手できそうな物をなんとかごまかして使えないかなととっかえひっかえやってみた。もっとも、昨晩、コールドスタートから動かしたら、22Gから1.8Gも下に動いた。「いくらなんでも動きすぎでは」との話もあるが、ヒーター電圧がわからないので、とりあえず、13.8Vで動かしているのも影響しているだろうか。ヒートシンクとケースファンはつけているのだが。

使っているSYSTRONDONNERのYIGが、Vdd 5.5-6.5Vと低くて、大電流を使うので、途中の回路がさらにやっかいなのかも知れない。制御電流も0.52A〜0.8A程度なので317Tを別のヒートシンクにした方がよいかも知れない。昨晩はうっかりして317Tをひとつ壊してしまったようなので、今度は別のヒートシンクにつけてみようかなぁ。

10月23日 ようやく土曜日の仕事が終わり、コテを暖められるようになった。今週もしんどかったなぁ・・・。逸見OMが抵抗を送ってくださった。

で、取り替える前に、5Kでは高いから不安定になっているのではないかと思っていたヘリポットを1Kに交換して実験してみた。目下、基準抵抗は10W セメントをつけてある。すると、どうしたことか、あんなに変動していた周波数がさほど動かない。コールドスタートでせいぜい100M以下の程度です。(24G付近にて)

これはどうも「電源が発振したりすると安定度が極端に悪くなる事がありますので、メインコイルの両端をオシロでながめてみてはいかがでしょうか。」・・・というあたりだったのではないかと思われる。お粗末な限り。だが、しばらく動かしていると、細かくスペアナ上で左右に変動することがわかった。やはり、セメント抵抗では抵抗が熱をもってくると、小刻みな変動をするようだ。

そこで、少しランニングしてみてから、基準電圧の抵抗を取り替えてみた。すると、やーっ、なかなかの安定度だ。もちろん、受信の調整には変動が大きそうだが、自励式の発振だから無理もない。なにしろ24Gだから、水晶でもヒョロヒョロと動くのが普通なのだから。

10月23日 とりあえず、YIG利用のOSCを箱にいれて、蓋をした。蓋をすると放熱の具合がどうかなという問題もありそうだが、しばらく動かし
て様子をみよう。24Gで、25-30mW程度の出力があるのでいろいろな調整に便利に使えそうだ。逓倍して75Gあたりの受信調整に使えると一番よいのだが、ちと変動するから難しいかな。

まだ続きは気を長く持って徐々にやってみたい。PLL化とSG化を切り替えでできるようにできたら最高だが、それには何年かかることやら・・・。

VY TNX  JA1ATI !!