局発の実験あれこれ

マイクロ波に限らず、トランスバーターは「局発こそが命」と言われる。考えてみればとの通りで、たいてい局発で四苦八苦するのだ。ドレークのコンバーターを改造すると、いとも簡単にこの問題がクリヤーできたのだが、最近はさすがに入手が難しくなった。そこで、水晶を逓倍か・・・となるのだが、やっぱりPLLも魅力がある・・・という事で、イージーにやるためにジャンクを改造する手で逃げるべく、ついつい何でも使えそうだといじりだしてしまう。hi

その1 14G用PLL局発の改造

1月8日 以前、入手したまま、「大変だよ」と聞いて、いじらないでいたHJ No.100に紹介されていた14G用ジャンクPLL-LOの改造をやってみた。基準発振は10Mなので、以前、池田さんで入手したDTCXOユニットをつけた。

何が「大変」かというと、要は誘電体にロックをかけるので、あまり変化量がなく、それなのに蓋をすると周波数がかわるので、容量の調整がやりにくいのだ。でも、手持ちの0.3Pとかもあるので、なんとかなるかな とスタート。容量を2P+1P+0.5pの親亀小亀にしたら2240Mにロックさせて調度よくなった。

以下がスペアナで見た波形なのだが、ドレークのPLLと比べると、ノイズの広がりが狭い感じがする。でも、ノイズのレベルはやっぱり-40dB程度で同じなのだが、これって使った時にはどんな違いとなって感じられるものなのだろう。SPANが20K/50Kにて写真をとれたが、ドレークだとこんな感じになるのは100K/200Kあたりのスパンの時だ。ノイズとしては広域でない方がよいのだとは思うが、ノイズレベルとしては同じような感じだとすると、あまり違いはないのかな???

さて、後の問題はDTCXOが温度変化に対して、どの程度、変動するか。それ次第で使い道がかわりそうだ。テストにはドライヤーとか、冷凍庫が必要かな??

1月29日  今日は仕事だったのでだが、明日も仕事に出るので、久しぶりに定時で帰り、ゴソゴソと工作をはじめた。

以前作った24G-BPFがもう少しよくならないかなぁ、といじったり(だめでしたが)ジャンクでもらってきた22G受信ユニットが動くことを確認。もっともこの同じ形をしたJRCの送信部ユニットとおぼしき奴は、BIASのかけかたがよくわからない。B+ラインはわかったのだが・・。うーん、壊したかな。

で、思いつきであれこれとやっていたが、ふと考え付いて、D-TCXOで作ったPLLの信号がどの程度、温度で変動するかと思って、ヘアドライヤーを探してきた。子どもになにするの??といわれたが。

カウンターをつなぎ、2240Mの信号を出して、DTCXOをドライヤーで吹くと、確かに動きだす。でも、これでの変動は2240Mで最大で3-4Khz以内のようだ。これが10Gで使うと四倍だから12-16Kか。待ち受けにはどうでしょうねぇ。大丈夫かな。この時、D-TCXOは触るとアッチッチとなった。

試しにドレーク改造の裸水晶を使った4G-PLLで、裸水晶の部分をドライヤーで吹いてみた。すると当然だが、まあ動く動く・・・。40K程度は簡単に動いた。2240Mでは半分としても、安定しなくなり、ころころかわるようになるのが問題だ。さて、この程度で直下にあげて変動が実用範囲にはいるかどうかが問題だ。どんなものでしょう。

そうそう、D-TCXOも、裸水晶も 暖めると下のほうに周波数が動いた。TCXOでやってみたらどの程度になるかなぁ。ちと実験によいユニットが手持ちにはないのが残念。

その2  ジャンクPLLユニットの活用

1月16日 大掃除で掘り出した6G PLLのジャンクを相手に 四苦八苦した。このジャンクはハムフェアで入手したもの。DROの発振器で6G台を
発振させ、8Mを外部から入れてやるとロックするようになっている。
 プリスケーラーはFMM110がトップにあり、その後、よくわからない奴がついているのだが、セブロンで入手した4G台のPLLにも同じものが
使ってあり、その回路図ではMB506相当らしいと書いてあった。さらにその後、MC145152がついている。謎はFMM110で、HJ No100の記事では、1/8として書いてあるのだが、出口をスペアナで見たら、どうも1/4になっている模様だ。さらに、MB506相当として1/64なので、1/256 にしたものがMC145152に入っているのかな と思われる。
 次の謎は・・・謎というほどのことはなく、MC145152の設定をどうするものか知らないことに気がついた。単純なPLLとかならいじった覚えがあるのだが、これっていじったことがなかったなぁ・・・と。
 さて、で、前のHJの記事に設定の計算方法が出ているかなと探しているだが、なかなかピタリと書いてあるものを探し出せずにいた。これで6.2Gにできたら、三倍して18G。これを四倍してやって75Gに使える・・なんて思ったのだが。最初は6Gぴったり近くに下げて、24Gのために使えると思ったのだが。
 さらに、比較・研究用にセプロンさんで11G/4GのPLLを買った。4Gのはそのままだと4.71G、11Gは11.525G。周波数の下への移動はなかなか難しそうで、何に使えるかなと計算すると、逆ヘトロダインにて11G用が10Gに使えます。でも、ちゃんと設定方法が理解できれば、これでDROを交換していろいろな周波数に使えそうな予感が・・。

1月17日 「設定方法がよくわからない」とyama-mlで書いたら、大阪のJH3PAA乾さんが設定方法を教えてくださった。そこで、MC145152のデーターシートを探し出して印刷してから、基板とあわせてながめる。そして、テスターで電圧を調べてSWでON/OFFして、足を確認した。結果、今回入手した物と前に入手した物はスイッチの位置は同じで・・・
SW1 1.A1 2.N6 3.N5 4.N4 5.A2 6.A0 7.A3 8.A4
SW2 1.N3 2.N2 3.N1 4.N0 5.A5
 N7/N8/N9 はグラウンドに固定。
で、よく見てみたら、今回の4G用というものが「RX用」、以前、入手した6G用が「TX用」となっている模様だ。ただし、プリスケーラーの石は違うのだが。

そこで今回入手した4G用の動いてロックしているものを見て、設定の計算方法の意味を確認した。4.71Gで発振していましたので、計算は・・・
4710Mhz= 8 ÷ 64 ×(8×64×N + 8×A)    
これで N=73 A=38 となるので、実際を見て確認した。

次に8Mのリファレンスは 1/64されているようで、実際にカウンターをあてたら、そんな数字が出た。0.125M=125Kが比較周波数のようだ。

そこで、問題の6200Mにしてやってみる。・・・
6200 =  8 ÷ 64 ×(8×64×N + 8×A)
これで多分、N= 96 A=56 でよいのかな。そこで N5 1 N6 1 /A3 1 A4 1 A5 1 としてやった。

が、残念、どうやってもロックをつげる信号は出てこない。どうもどこか壊したか???だ。ここまでで、気がついたら久しぶりにシンデレラタイムを大幅に超過していたので、あわてて寝た。明日は、バラクタに行く信号線に電圧が出ているかなどを見てみよう。また、カウンターで計ると145152のFinには、23M台の信号がきていた。こりゃあ、最初のプリスケーラーがやっぱり1/4なのかなぁとも思ったのだが、いろいろ眺めてみると、デュア
ル・モジュラスなプリスケーラーだと1/64と1/65を高速で切り替えているのでその信号の和がカウントされているのかなぁ と思い当たった。違うかな???

単純PLLでないものをいじるのは、恥ずかしながらはじめ。パルススワロー式とかを本でながめても何のことだかハテナ???だったのだが、実物といじってるみると、こりゃあ便利なものだなぁ。

1月18日 今日は「ながら族」で、チャットに出入りしながら、PLLユニットに遊ばれていた。

まず、バラクタに行く信号線に電圧が出ているかを見てみた。するとDROのネジを動かすと周波数をかえると、確かにこの電圧は変化する。
  → 一応、制御電圧は出ている。
そこで、バラクタ(パリキャップ??)を疑いましたが、ためしにここに電圧をかけると、周波数ポッと動くので、大丈夫なようだ。やっぱり、うーん、なんでかな、と思案。

で、今回購入した4Gの奴を動かして、比較してみた。すると、これまた不思議な事が・・・
1)4G用PLLは「基準発振が内蔵されてない」と書いてあり、確かにそんなものはついていない。
2)ところが、基準発振を入れないで、なぜか4710Mhzにロックして、ロック信号が出てしまう。
3)試しに8Mの基準をSGから入れてやると、8Mぎりぎりで少しずれると、スペアナの波形がひっぱられてか、広がるが、まったく関係ない周波数だと、そのまま出ている?!

うーん、なんでこりゃあ、ロックするのか???と違うことを考え出してしまった。でも、ロックした状態で、モニター端子の電圧をはかると、さきほどと比べてまったく制御電圧が大きいのです。0.5Vくらい・・・。さっきは0.1V程度をうろうろ・・・。

あっ、これはどうも最後の制御電圧を出す部分に問題があるのかなぁ、と思い当たった所で、眠くて仕方がないのでやめた。

MC145152の場合、最後のオペアンプは外付けになっていたと思うので、これが原因かな???あたりならば、ジャンクが復活して、活用できるようになるのだが・・・。

1月19日 帰宅は遅かったのだが、PLLのジャンクユニットに遊ばれることにした。

まず、「基準発振ついてない」として購入したのに、基準発振をいれないでもロックするという摩訶不思議なユニットをいじってみました。このユニットだと4781Mにすれば、77Gのローカルに使える との事で、空いた時間にN/Aを計算して出しておいた。

で、DIP-SWを設定して電源ON・・・あれれ、ネジで近づけてもロックしないよ???・・もう一度 確認したら、なんと設定を間違っていた。再度 設定・・・今度は4781Mでロックした。テスターで見ていると、ちゃんとロック信号が出.る。前日はテスターがおかしかったのか、ロックした時の電圧は6V程度。

ただ、誘電体の調整ネジが入り込んだ場所なので、ロックナットが使えない。ペイントかロウソクか何かでロックしてやらないといけない。

で、最後に「どうして基準周波数つないでないのに」というナゾの解明に・・・基準周波数を入れる所にカウンターをつないだら、なんと8Mが出ている。なんのことはない、「基準周波数発振器はついてません」として買っただが、どこかについているようだ。変だな、基板上にあるのを気がつかなかったのだが。どうもこのコネクタは、「8Mを入れる」ためのものではなくて、「8Mを外に取り出す」ためのものだったようだ。(基板にRX用と書いてあるので、もう一つある送信用6G とセットで使うのだろうか。)どうりで、こりゃあ、ロックするはずだと、ニコニコ。

スペアナで見てみましたが、まあ、綺麗なものだなぁ。5K/DEVとかでもまあまあ見れる。下が10k/20k/100kDEVでのスペアナ画像。さて、これで4781Mになったので、ネジを固定して、77G用の局発とするためには逓倍を作らないといけない。とりあえず、2倍、2倍で4倍してやって、これでのハーモニクスミクサーとするか、4倍したものと1280Mを1/4したものを混ぜてやり逓倍して77Gにするか どちらがいいかなぁ・・・。

#やりかけの製作物がまたまた増えてしまった。hi

その3  町田スタンダードPLL基板の製作

7月23日 やっと休みとなったので、町田スタンダードPLL-LOの製作を始めた。この局発は、JA1BWW 梶原OMが設計したもので、基本はドレークコンバーターのPLL回路を解析して、「特殊な部品を使わないで作るPLL-LO」として考えられている。今回F<池田電子ででまわっていた2240M VCOユニットを使ったタイプを作ってみた。

構成は、74HC00/74HC74/TA5072(75072)/7W04 で、プリスケーラーにMB508とサトーさんですべてそろう安い部品です。INA03184も使ってます。
いわゆるPLL-ICは必要なく、OP-AMPがコンパレーターになっている。最初、ロックしないなと思ったらジャンパーを忘れていた。hi

結果、、10mW出力が出た。基準の水晶を外してSGの信号を入れてみた所、可変範囲は2200M-2280M程度であまり広くはない。まあ2240M付近で使うのには問題ないのだが。

C/Nは裸の状態で35dB程度。もう少しケースをしっかりすればよくなるだろうか。VCOとICの電源が同じ三端子でとっているので、これを分離した方がよいかも知れない。手持ちの水晶で2242Mになったので、これだと移動用のDUAL-BANDにもよさそうだ。でもちゃんと箱にいれなくてはダメだなぁ。