NFの良い5GLNAを求めて・・・

発端は8N1EME・・・
 2007年3月、日本でかつてないビッグ・プロジェクト 8N1EMEが実施された。ところが、このためにはどうも我が家の固定設備では難しそうだ。で も、せめて聞きたいという事で数週前からLNAを作ろう・・と悪戦苦闘が続いた。
 そこでの方法は、マキ電機の10G基板を使い、FETにNE350184Cを投入するものだった。しかし、なかなかNFは下がらず、なんとかNF2dB を切るかなというあたりで時間切れとなった。さらに、雪崩ビーコン練習機に精を出していたら、間に合わなくなって当日になってTRVをおろしてゴソゴ ソ・・・ 結局、世紀の大プロジェクトを聞き逃すということになってしまった。
 驚くべきは、45cmのお皿で8N1EMEを聞いた人も出たことである。最も、後でわかった事には、こうした局はDB6NTのプリアンプをトップに入れ ていたのだ。このLNAは、JI1CBS局によればNF=0.6dB以下になっているとのこと。こりゃあ、いいなぁ・・・。そこでこのユニットの中を見せ ていただいた。
 基板を見ると、なんだか不思議だ。入力部のカップリングはチップコン。FETのドレインにチップのインダクタが入っている。さらに、出力部のカップリン グがなんとエッジ・カップリングでスリットが切ったパターンになっているのだ。うーん、不思議だ。入力部にこれを使うならともかく、スリットを出力に使う のはどんな意味があるのだろうか。ともあれ、これはすごい性能だ。なんとかマネシンボしたいものだ。

RSGB/ARRLのハンドブックでは・・・
 そこでバイブルの一つであるARRTL/RSGBのマイクロ波ハンドブックを引っ張り出した。NF=0.6dB程度の低ノイズアンプが出ていたはずだ。 すると、こちらは入力部のカップリングに、この基板のエッジ・カップリングを使っている。また、ドレインにインダクタの代わりに小さなチップ抵抗が入れて ある。バターンも出ているのだが、うーん、この基板の材料はないなぁ。じゃあ、手持ちのあるテフロン0.8mm基板で一つ適当に作ってみようか・・と考えた。

5GLNAのパターンを描く
 さっそく、ノートパソコンでPCBEを起動 する。このソフトは、曲線がうまく描けない(使い方を知らないだけ??)などの問題もあるが、とりあえずフリーで使えて便利だ。まずはパスコン用の扇型を 作って部品登録。その後、エッジカップリング部分を作ってみる。50Ωラインが2.1mm巾として、モノポールは0.4mm巾とした。その結合を 0.1mm間隔で描いてみたら、レザープリンターで印刷したらつながってしまった。そこで、もう少しあける。でも、実際は0.1mm間隔程度になっている と思う。あとは、ドレイン側のラインを基板上での短縮率をかけて1/2λ分とった。長めの方が調整が楽だろう。ちなみにゲート側は1/4λとった。
 最初に作ったパターンは、紙に打ち出してみたら、入れる予定のケースからバイアスラインがはみ出してしまった。そこで、バイアスラインを途中で折ったも のを作り直して、紙に印刷、ケースにあわせてから「トナーで基板」を使ってエッチングした。

組み立てと調整・・
 さて、エッチングが終了すると、スルーホー ルの穴あけである。実は何度か「スルピンキット」という物を使ってみたのだが、どうも基板が薄いとか柔らかい とうまくピンが合わないように思う。1.6mmガラエポにはよさそうなのだが・・。また、手持ちの0.8mmピンではどうもスルーホールとして小さいよう な気がしてきた。そこで、今回は1.6mmハトメを使うことにした。これを差込み、FETのソースでは先を半分ほど切ってから、ハンマーでたたいて潰し た。もちろん、半田あげする。こうする方が接触面積というか、スルーホールの面積が大きくなるように思ったのだ。
  これを、FETにはNE350184Cを使って組み立てて、ケースに押し込んだ。電源を調整して、まず、ドレイン電流が2Vで10mAにな るようにゲー トバイアスを調整した。その上で5Gの調整用信号を入れて、スペアナで出力最大に調整していく。入力部のカップリングのゲート付け根(1/4λ離れた場 所)に長めのスタブがついたら、ゲインで15dB以上になったようだ。ここでNF計につないで測定しながらスタブを微調整した。すると・・・なんと針は NF 1.2dB以下を示した。誤差は当然にあるだろうが、やっと1dBまで追い込むことができた。

5G-LNAが一応、そこそこに動いたので、昼寝をしてから、ふと「これにつけるバイアス電源基板を作ろう」と思い立った。うっかり実験中に石を飛ばさな いためにも、あった方がいいよなぁ・・・という事で、PCBEでパターンを作ってみた。
 このソフト、いろいろできるらしいですが、私の場合は単純にパターン面だけを使って作っている。でも、7660とかを部品として登録すれば、今後も使え る。レザープリンターで打ち出して、現物とあわせてやり補正してから、TTS用紙を切って貼り付けて作り、転写、保護シートをつけてからエッチングした。 ガラエポ0.5mmで作ったが、ちょっとふにゃふにゃ・・・。
 さて、最後はゴシゴシとスチールウールで磨いてトナーなどを落としてできあがり。スルーホールは今回も1.6mmハトメを使った。どうもスルピン・セッ トは0.5mm程度の基板で使うとうまくない。1.6mm程度の基板にあっているように思う。組み立てて、動作確認をしてから、LNAにつけてみた。さ て、これで一丁前に見えるだけは見える。