ハムフェア2005を遊ぶ

  早いもので、もうハムフェアだ。今年は、ともかく忙しく、夏休みになってからも修学旅行の下見に続いて、部活の八丈島島流し合宿、そして家族での北アルプス と半月もいなかった。さらにその反動か、時間ができたら、ぐたっと疲れてしまって、結局、考えていたパソコン・無線機のインターフェースユニット配布はできず、かろうじて430M-IFの24Gが箱にはいったにとどまった。SAGAMI-NETでも、今年はハムフェア参加15周年なのだが、「今年はウリがないから、まあ、楽しもうか」という事での、実に気楽な参加となった。
 まあ、そんな事はともかく、一年に一度の祭りである。今年は我が家の上のサルに加えて、下の子ザルまでが、ハムフェアに参加するという。何のことはない、上のサルが「あれは、大きなフリーマーケットで面白かった」と、去年、吹き込んだのだ。まあ、間違ってはいないのだが・・・。従って、コブ二つつきである。これでは一日目のマイクロ波ミーティングに参加できないなぁ。トホホホホ。
 一日目にあたる20日、朝の道路はなかなか混んでいた。会場に着くと8時を過ぎていたが、駐車場はともかく日差しが強い。で、会場に荷物を運んだのだが、やっぱり自然と「生命の水」に手が伸びてしまう。ま、祭りだからいいかぁ。hi
 今回のメニューは・・・@半導体供養 A製作物展示(5/10G、430M-IF-24G、47G、75G、町田方式PLL-LO)、Bレインスキャッターの展示と説明 交信の録音音声付 という所だ。
 半導体供養も、毎年やっていると、なれてきたのか、御浄財を入れていかれる方も増えた。いつの日か、これで半導体の石碑でも建てることにしようか、などと冗談を言っていた。RSについては、交信を録音してきたので、関心を示した人には、レインノイズにまざったJA7IRI局の声を聞いていただいた。この他、JA1BWW梶原OMが設計した2240M PLL-LOはマイクロ波に関心を持つ方には、好評で、「基板を配布しないか」とか、「パターンを公表してほしい」などの声もあった。一番楽しいのは、「レインスキャッターで交信してみたいので、自分もマイクロ波をやってみたい」などと話していかれる方との話だ。二日とも何人かの方と、そんな具合でのお話ができたのが、ハムフェアで一番の収穫だと思う。
 さて、会場を見て歩いたが、どうもクラブブース等がかなり減ったように感じた。人出は増えたらしいのだが、出展者は減っているのだと思う。もっとも、このためか通路が広くなり、混んだ感じがしないのはよい。で、肝心のお宝だが、20日は導波管の短いのをつないだ奴を千円でゲットした。WR34ともう一段高い周波数の奴のテーパーもついていたので、お買い得だ。また、D&Dに行って、もう一つPLL-LOを買ってきた。「これで75Gを実験しました」と資料もおいてきた。ただ、今年はこれ以外には、あまりめぼしいお宝には出会わなかった。測定器も去年あたりの方がよかったようだ。
 二日目にあたる21日は日曜日なので、道路は空いていた。8時前には到着して、のんびり、駐車場でみなで「生命の水」をいただく。もっとも、日陰でないと暑くてダメだ。で、準備に入って、セットしてからブースを一回りした。見たら、神奈川マイクロで、GPSカードを千円で売っている。これは面白いや・・と一枚ゲットした。JRCのNNN-310TAという奴だ。なんでも、「WIN-98/MEにはドライバとして使えるのがある」というので、物色していたら、mobio-NXが4K円であったので、これもゲットしてきた。さーて、これをWIN98SEにして、GPS専用にしたらよいのではないだろうか。
 *もっとも、やってみたら、XPでは標準シリアルとして使えるが、WIN98SEでは何をしても、なかなか認識しない。うーん、ハマってしまった。hi
 今日も、ブースで話をしていたら、「マイクロ波をやってみたい」という方がいた。しかも町田に住んでいるという。これは本当に楽しい出会いだ。こうして一人でも「やってみよう」という方が増えれば、交信記録はもっと伸びるだろう。

 さて、昼過ぎからは、少し河岸を変えて、二階・喫茶室で行われた「アマチュア無線家9条の会」のミーティングに参加した。JA1AA庄野OM、JH1FCZ 大久保OMなど、そうそうたる方々が呼びかけ人となって、6月に「9条の会」に賛同するアマチュア無線家の会が結成されたのだ。私は数日前にFCZのサイトで知り、さっそく賛同手続きをとった。
 「アマチュア無線で政治の話はどうも・・・」という人もいるだろう。でも、ハムが楽しめるのは、平和あってのことだ。私は、中学・高校時代に、太平洋諸島の独立をハムをやっていたから身近に知った。旧ユーゴスラビアもそうだったが、内戦が激しくなれば、当然、ハムは活動できなくなる。地球上から戦争をなくすことが、たくさんの国の人たちが自由に電波を通じて交流しあえるアマチュア無線をよりすばらしいものとしてくれるのだ。だから、60年間、少なくとも戦争をしかけることはなかった国を、「普通に戦争をする国」にしてはならないと思っている。だいたい、電波利用においてだって、米軍や防衛筋はとても強大な存在であり、これが必要なくなれば、どんなにか平和的な電波への割り当てが拡大できるか、計り知れない。憲法9条は世界で5000万人もの命が犠牲になった上で、勝ち取られた世界の財産だということを、私たちはしっかりと知るべきだと思う。
 ミーティングでは、JA1AA庄野OMのお話があった。
・・・15年戦争中、中支派遣軍で部隊全員自決の危機を経験。その後、自分は研究所に戻ったが、部隊は南方に送られてインパール作戦で20人に一人しか助からなかった。レーダーなどの研究は、戦後、GHQに没収されて、追放された。さらに、日本は平和になるかと思ったら、朝鮮戦争の中で、戦後、アマチュア無線の再開はなかなか進まず、UCとして多くのハムがつかまった。今でも、FENなどは日本の免許を得ないで運用されている。平和な国であってこそ、ハムが楽しめるということを、大切にしていきたいと思う。・・・。
 参加者からも一言ずつの紹介があった。八重洲無線の労組の方がおられたのが印象的だった。自戒をこめて書くが、労働組合はもっと平和のための活動に力を入れるべきなのだ。ミーティングでは、「もっとたくさんの方々が、ハムとして平和と憲法9条の価値を考えてもらうにはどうしたらよいのか」と話は続くようだったが、ブースをずっと空けるのもまずいので、ひとまず切り上げた。
 
 夕方、人出はまばらになった。閉場後の粗大ゴミのポイ捨ても今年はずいぶん減ったようだ。最後に「来年も8月19 20日の両日、ビックサイトにて行います」とのアナウンスがあった。うーん、まだこの会場でやるんかいな。そうか、来年も遊びにいけるかなぁ。・・・とりあえずハムフェアと共に私の夏は終わった。