FT290を1200M 1Wに

初めにFT290ありき
 以前、FT290の電池ボックスにミニTRVを組み込んで、1280M80mW化した。これはTRVの親機として考えたものだが、昨年の富士山での経験から「ALL-MODE 1Wで1294M付近で運用できる無線機がほしい」と思いだした。FT790Rに付加する珍しい1200Mトランスバーターも入手して、1Wアンプをつけたのだが、ALL-IN-ONEも欲しい、それにはFT290がいいなぁ…と思っていた。
 すると、ある日のオークションでFT290が安く出ていた。これは、「スケルチが効きません」という事で、手を出さない方も多かった様だ。だが、とりあえず入手。いじって見ると、何の事は無い、IF段の同調がズレていただけだった。再調整したら動作は万全だ。よーし、これで電池ボックスに組み込むのは、DB6NTのTRVがいいかなぁ、などと考えていた。

ユーロ安のチャンスを逃す
 年末にユーロ安だったので、「やっぱりDB6NTのキットだな」と決めかけていた。しかし、正月に家族スキーで脱臼骨折のあげく入院・手術となってしまい、おたおたしていたらユーロ安の底は去っていた。うーん、残念。でもどうしよう・・・と思っていたのだが、ふと、以前、JA1BWW梶原さんが製作されたミニトラスバーターの基板があった事を思い出した。それに以前、DOWN-EASTから一つだけ入手したTOKOの3セクションBPFがあった。「よし、これを組み合わせて一つ作って見るか。ダメだったらDB6NTのキットを頼めばいいさ」と決めた。

基板を組み立てる
 病院を退院して数日、思い立って製作にとりかかった。基板はジャンク箱から出て来た。さらに部品もだいたいが箱をあさると出て来た。最初は局発部を作る。基板上のパターンを使った同調のVCOをMB508とHC74等を使ったドレーク型PLLでロックする。とりあえず、基準周波数には1/256が必要なので、とりあえず動作確認には4.5Mhzの水晶を使った。これだと1296Mが144Mになるので2M.程高い事になる。
 その後、ダイオードミクサーとMMICアンプなどを組み立てた。しばらく四苦八苦すると、1200Mで20mW弱が出て来た。ふんふん、なかなか順調だわい。・・・という事で周りに洋白板で囲いを作った。数日後に送受切り替え部も製作して、基板部は完成した。
 ただし、この基板にはいつくかポイントがある。1)送信時に144Mが0dBm程度が最もスプリアスが少なく出力が出る。これよりも大きくなるとスプリアスが目立ちだし、100mWなんて入れると144Mの高調波がでかくなってBPFでは取れなくなる。2)受信時、開放にすると発振しやすい。負荷がついていれば大丈夫でSNもそこそこ良いのだが。基本波LOを使った場合には、1SS99を使ったシングルダイオードでのミクサーの性能は大したものである。

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FT290を改造する
 さて、FT290の改造も必要だ。まず、電源部を加工する。オリジナルだと電源ジャックがセンターがマイナスになっているのだ。我が家はセンターはプラスと決めているので、このあたりを改造した。また、電池ボックスを外したり、ANTのホイップ部を切り離したりもした。
 次はM型コネクタを取り払い、ここにN型コネクタを取り付けた。ネジ式だと取り付けが楽なのだが、コネクタの長さが短くて着脱が難しくなりそうだったので、ケースに穴をあけてコネクタに同軸をつないだ物をなんとか固定した。
 最後は、かんじんなスタンバイ・送信関係の改造だ。FT290の利点は、アンテナ切り替え部に送信時+8Vが出ている事だ。このため簡単なスタンバイ回路でもSSBを使う事ができる。下手なキャリコンよりもこれが良いのだが、最近の無線機にはこういう使い勝手が良い設計が少なくなったと思う。そこで、FT290の送信部の電源ラインを基板で探す。ファイナルのコレクタに12Vをかけるラインを切り離すと、信号は綺麗なままに、出力端子には0dBmからHIで7dBmが出てくることがわかった。これで本体は大丈夫だ。

BPFとパワーアンプで重要な事は
 さて、4.5Mではなくちゃんと1150Mになる水晶をアルト電子に注文してから、BPFとパワーアンプの製作を始めた。BPFはジャンク箱から出て来た3セクションのキャビティを使った物、PAにはM67715のマキさんの基板がやはり箱の底から出て来たので、これを使った。送受の切り替えにはG6Y基板をマキさんで買って来た。水晶は、3・11を挟んだので心配したが、アルト電子は4月1日までの納期に無事に納品してくれた。感謝!!これで実装だ。


 実装してみてわかったのは、「グラウンドの重要さ」である。BPFをちゃんと電池ボックス部の金属シャーシーに固定する、パワーアンプ部のグラウンドもちゃんと固定する、G6Y基板もちゃんと金属に固定してグラウンドに止める…など、アースの具合によって、このユニットは発振の鬼にも、安定動作のTRVにもなってしまう。多分、8割以上はグラウンド関係に原因があるようだ。特にBPFがケースから浮いていたら私の場合は、まずダメだった。また、G6Y基板もきちんとグラウンドに固定しないと発振の鬼となった。この小さな中に半ばむき出しの1200M TRV 1Wを入れるのだから当然かもしれない。100mWでは問題にならなかった事が1Wだと問題となった。

 ともあれ、FT290 1295M版は完成した。

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