75Gの初交信は世界一チープな(?) 実験機

 ジャンクのPLL-OSCを使った75Gの実験機、ハムフェアでは5mほど先から送信できたものの、受信ができずに交信とはならなかった。でも、75Gの信号がなんとか見えたからもう一歩だ・・・と試行錯誤をはじめた。

8月末 ともあれ、受信用のポストアンプを作ることにした。IF−AMPはMMICでいいかなと思っていたのだが、資料を見ていると次のようなことが・・・
「ゲインのないミクサーの後につけるIFアンプのNFは特に重要である」
・・・??えっ、トップだけでだいたい決まるのではないんだぁ。うーむ。・・・で在庫を調べたら大量にもらいもののGN1021があったので、
これにしようかと思い立った。
 でも、なんでシビアになるのかな、まあゲインが無いからそういう物か。で、パターンを作らなくてはと思いレザープリンターを動かすと、動かない。あらら、といろいろやってみたがダメで、これはまさかプリンターサーバーが壊れたと思い、四苦八苦。でも、最後にわかったのは、なんとLANケーブルがぬけていた。あらららら。hi

でも、どうもトナーがないのか薄い。中古トナー再生を頼むかな。てなことで まだ出来上がっていない。

#これについては、槇岡さんより、つぎのようなご指摘をいただいた。
「これは?かなーー?カスケード接続では・・・・NF(t)≒F1+(G1−1/G1)・・・・・であるから・・・この際は、F1は10dB〜20dB が考えられる・・・G1は−Gainであるから・・・・0.1・・・>0.01とか・・・で有る・・・で有るからして・・・・NF(t)は・・・やはり、F1以下にはならないのである!」 
 ・・・つまり、ノイズをやたら出さない限りは、やっぱりトップでNFはだいたい決まるよ という事です、

9月1日 ポストアンプと切り替え部基板は、とりあえず、「トナーで基板」で作った、あとはMMICを選んでつけるだけ(?)だ。

9月11日  ポストアンプはいろいろいじった挙句にMMIC二段のアンプをつけた。途中で方針変更したもので、実装の仕方がちと不安定でアースが浮くと発振。ここが目下の問題点。発振するとキャリコンがブーッとリレーを動かしてしまうので、そのままだと壊れる。hi
 キャリコンは今回は電流が少ないので、2SA1015/2SC1815のTRスイッチにしてみた。
  また、ミクサーに向かうラインで430Mを重ねていた部分に入っていたRFCが10dBも信号をロスさせていたので、これを改良。とりあえず、つないだだけだが、ミクサーに向かう10.75Gは不思議とほとんど減らない。
 まだ以上の改良だけだが、昨晩、もう一度、実験をしてみた。まだスペアナと外部ミクサーで見える底の方だけですが、とりあえず添付の様に75.680Gの信号を確認した。バイアスVRを可変して一番信号が強くなるように調整したので、わずかだが前よりは出るようになった。

 問題は前回まったくダメだった受信。昨晩は外部ミクサーにしていたものにTH-59の信号を入れてマーカーで聞こうとしたのだが、過大入力でミクサーのダイオードを飛ばしただけに終わった。150mWくらいなのだが、いれすきだったようだ。ダイオードを交換して、外部ミクサーとしての動作は、確認したのでまたやってみよう。

 また、「本丸」としてミクサーを基板化するという作業があるのだが、今週末にある程度できるといいなぁ。DB6NTのまねしんぼ 基板を考えて寸法まではゴソゴソと計算してあるのだけども・・・・。

9月19日 SHF技術アドバイス講習会に、75G 実験機を持ち込んだ。さて、マーカーをむけて信号を探す・・・・あれれ、聞こえないぞ!!直接につけても駄目。うなんでだろ??? やっぱりだめかぁ と落ち込んで終わった。うーん、10.75Gの局発が足らないのかなぁ。100mW程度にしないと無理かなぁ。・・・という事で二石基板を一枚 買って帰ることにした。

10月31日 今日はSHF技術アドバイス講習会だったのだが、なにしろ、この一ヶ月は忙しかったもので、75Gはまったく進まなかった。で、今日も私学助成の集会とデモがあり、朝だけ川崎に参加してNFをはかっていただき、銀座に向かう羽目になった。で、帰ってから欲求不満から半田ごてを持ち出した。

いじっていたのは、10G用二石アンプ基板を使った75G簡易TRV用のLO-AMP。構成は2SK406-MGF1302である。75Gの信号は出るのだがさっぱり何も聞こえないという変な具合なので、とりあえず、LO-を増やしてみよう と考えた。今までは2SK406で10.75G 5mWを40mW程度にしていのだが、これを3dB UPしたらどうだろうか。

最初、ドレインを5Vにして調整したが、これだと50-60mWで飽和してしまうるこれじゃあ二石にした意味がない。そこで、こわごわ三端子を
8Vに交換。ドレインはそれぞれ7V程度となった。これで1302のゲート側にも小さなスタブをつけたら90mW程度になった。まあ、シングルだとこんなものでしょう。

これを本体につないだ所で、シンデレラタイムとなっておしまい。さて、今週は忙しくて少々遅いのだが、3日は休みだから、ひとつ75Gの信号がどの程度になったか、テストしてみたいものだ。これで駄目なら、次はミクサーユニットしかないものねぇ。

実はもう一つ、「75G ダイオードマウント」なるジャンクを入手してある。見てみら、これだとSPD221は穴に入らないので、一工夫して広げるか、はたまた1SS105にするか・・・という事になりそうだ。105だったら、もう少し出るかなと思いつつ。

次の目標は、埼玉イモ煮会で、強力な信号を至近距離で聞けること。さて間に合いますか。そうそう、イモ煮会は今年は11月7日だよなぁ、3日だったら間に合わないものねぇ。

11月2日 さて、やっぱり帰りは遅くなったが、日付を無視してがんばることにしよう。で、スペアナに手製の外部ミクサーをつないで、まず、 送信信号を見ることにした。電源をつなぎ、スペアナを75.68Gにして、FT-817を親機にして送信する・・・おっ、信号がさっとわかるぞ。前よりも数dBは強い感じだ。これならば、受信もできないかなぁ。・・・といろいろテストを試みるが信号として適当なものを作ることができない。
 こりゃあ、イモ煮会に行くしかないかぁ・・・と思って、寝ようとしたら、なんだか変なカチカチが始まった。最初はポストアンプの発振だった。余計な線を切ったり、アースラインを強化したりしたのだが、どうもポストアンプが、外に同軸をつなぐと発振してキャリコンが動いてしまう。
 万策尽きて、ポストアンプを一段だけにしたらこれはとまった。ところが、今度は送信にするとカタカタがはじまった。これはどうしてか??? キャリコンの異常である。いろいろやったがわからず、キャリコンをリレー式に作り変えたが駄目。うーんなんでだろう・・・と沈没した。

11月3日 寝たのが夜中なのだが、こんな日は早く起きてしまう。で、さっそく続きをいじった。キャリコンの検出部だけで電圧をはかると、信号をいれると、10Vも出ている。キャリコン自体は1Vで動作するのだが、つなぐと駄目だ???とりあえず、電圧が出すぎているので、結合のチップコンを3Pと交換した。これでも7V程度出ている。

 しばらく苦しんだ挙句、キャリコンの検波用ダイオードを変えてみた。電圧は出ているのだからおかしいはずはないと思いつつ・・・。
・・・が、なんと。これが犯人だった。ばたつきはまったくなくなった。なんだこりゃあ、みかけは動いて、実は壊れていたのか???

考えてみれば、ダイオード1SS97の逆耐圧はさほど高くなかったのだ。10Vも出るということは、1Wを間違って入れると、もっとかかって耐圧オーバーとなって劣化していたのだろうか。無負荷だと電圧が出るのだが、負荷がかかると駄目というのはそんな結果だった模様だ。うーん、一日 まるまる損をしてしまったなぁ。

11月4日 夜、今度は3mm内径のパイプの先につけるデュアルモードホーンもどきを作ってみた。5mmのパイプと6mmのパイプをかぶせたものをネジで先につけられるようにしたのだ。これで少しはビームが集まるようになり、前回みたいに、「斜めに向けたら信号が強くなった」なんて事はなくなるはずだ。

11月7日 いよいよイモ煮会。朝、早く起きて、家を出た。町田から新宿、そして湘南新宿ラインで乗り継ぎなしで栗橋についたのが8:30。まだ誰もいないかなぁと思いつつ、ついつい急いでタクシーに乗ってしまった。
 さて、カスリーン公園に到着すると、何人かが見えていた。しばらくして、JE1XHP重盛さんがこられて、マーカーでテストさせていただいた。75.678M付近との事で、探すがなかなか見つからない。きれいなビートがはいると、電源を切ってみる。・・・・なんだ切っても聞こえているぞ。こりゃあ駄目かな、と思った時、500Kほど離れてビョーッと濁った音が聞こえた。アンテナの前に手をやると消える。これだ、これだ!!!聞こえたぞ。
 XHP局の75Gセットで送っていただくと、これもS9+で入ってきた。(本当は張り付いて当然なのだが・・・)こちらから送るとFSだとのこと。うーん、なんという耳の違いか。{「じゃあ、後で距離を離して実験してみましょう。」という事になった。
 その後、イモ煮会が始まった。ビールにお酒、そしてイモ煮と腰のある手打ちそば、どれをとっても最高の味である。ジャンクものぞいたが、今年はあまりほしいものはなく、1.2Gプリアンプのジャンクを「箱が使えるから」と他のケースと二つで1K円で買った。そう言えば、おととしは5.6G直下ユニットなどを入手したんだよな。
 
 さて、一段落した所で、実験再開である。至近距離で確認したので、次は10mほど離れて信号を探す。おっ、S5-7程度ではいるぞ。さらに話す。20m離れてもS3程度で聞こえている。あちらにはFSだと言うから、やはり耳が悪いようだ。そこで受信用バイアス抵抗を調整したらS1ほど信号があがった。
 JA1GLD町田さんが「まだいけるよ」と言われるので、三脚に固定したTRVを動作させたまま持って、斜面を離れていった。約100m程だろうか。まだビートが聞こえるが、FMで音にはならなくなった。こちらからの信号もビート程度になったとのこと。このままでの実力は50m程度ということだろう。
 でも、なにせ、アンテナが単なるホーンだけ、11G台を直接に入れただけのミクサーである。総費用 10K円程度という『世界一チープ』(?)な機械で75Gでの交信ができた。相手のリグが世界記録を一時は達成したものだから、という事はあるにせよ、これはとっても嬉しい。さらにミクサーを工夫したら、もっと遠くまでできる機械ができるのではないか・・・と妄想はふくらむ。とりあえず、アンテナを作れば、1K程度までは交信ができる可能性はある。一番難しいのがアンテナのような金物工作だが、さーて、どうやってチープに、かつイーカゲンに作れるだろうか。そんな事を考えつつ、帰りの電車のホームでも、ついついビールに手が行って、一人でも乾杯したい気分にひたった日曜日であった。