固定用10Gトランスバーターの製作(2001/Oct-2002/JAN)



まずは局発の原発振で四苦八苦

9月某日  5Gとあわせて10Gも固定用設備を作ることを決心する。で、とりあえず5Gにとりかかり、例によって悪戦苦闘することになる。
10月28日 「10Gの局発にドレークではC/Nが悪いだろう」などとだいそれた事を考え、水晶発振から逓倍した局発をつくることを考える。ちょうど70Mの水晶発振モジュール(通信用)がジャンクからとってあるので、これを使うことにした。こいつを高周波用らしき穴明き基板に組んだ。

 OSC(70M)−MUL(280M−MUL(1120M)−MUL(2240M)
 モジュール   2SC2026    2SC3358      2SC3358

うーん、どうかな??と思って出力をはかると、なんと0.5mW あらあら、全然足らないジャン・・・。

 その後もキャビティで組んでみた。8セクションに・・・

 2240M IN−AMP(2240M)−MUL(4480)−MUL(8960)−AMP(8960)
          MMICx2      FSC11LG   MGF1302   MGF1302

 槇岡さんには「豪華なステージ構成ですねぇ、発振しなければOKでしょう」と言われたのだが、案の定、発振、発振、またまた発振・・・。トホホホホ。

10月30日 「うーん、これはどうも役不足だな」と水晶発振を断念。ドレークPLLを再び投入することにした。以前、2.4G−ATV用に改造したものを再改造する。水晶をとりかえて、2逓倍基板を組みこみ、4480Mで7mW程度の出力が出る。(C/N36dB程度)これを逓倍してみよう・・・。

次は逓倍しなくちゃね・・・

11月某日 「2逓倍部」の基板をエッチングしてみた。ハムジャーナルのJA1EPK OMのものを「参考」にしたのだが、当然ながら原典のようにちゃんとは作れないので、「イイカゲン基板」となる。1302一段で逓倍・増幅となるらしいのだが、私の腕では逓倍・減衰となってしまう。でも、逓倍の基本原理はなんとなくわかってきた気がする。それは・・・
 「ゲート側はともかく出力最大になるようにスタブを調整する」「ドレイン側に基本波のトラップをいれてストンと落ちるように調整する」「特に出力側のカップリングコンデンサは、0.5P程度にして低い側が通りにくくする」という事だ。このドレインのトラップが効いて来れば、基本波の通りぬけは30dB近くは落ちるようだ。でも、このままでは出力足らないなぁ・・・

11月某日 そこでマキ電機におじゃまして、二石の10G用プリアンプ基板を購入した。これにNE329S01を二つのせて、一段目に逓倍、二段目に増幅としたら足りるだろう。特に重要となる一段目のドレインのスタブは、百円ショップの銅箔テープを細く切って張りつけてから、トリミングすることにした。最初はやたら景気よく出力がでるのだが、こいつは基本波(4480M)。スペアナで見て、ドレインのスタブをいじると、ストンと4480が落ちた。はかると、8960Mで約20mW出ているので、これ以上出してもダイオードミクサーを飛ばすだけなので深追いはやめておいた。

11月25日 SHF技術アドバイス講習会の日だ。逓倍を持ちこんで本当に8Gが出ているかどうかを見ていただいた。ちゃんと出ていたのでホッと一息。

さて問題はミクサーだ・・・

11月30日 固定用5Gが一応できあがったので、10Gもがんばるべぇ、と気合がはいる。で、局発の次はミクサーが問題だ。5Gはここでのロスが大き過ぎた。
1)試しに前に巣鴨のフリーマートで買ってきた24Gまで使えるDBMを試してみたが、やはりロスが多いようだ。そこで・・・
2)PA部には、前にオークションで仕入れておいた14Gのジャンクを使うことにしてあった。こいつはハムジャーナル100号で紹介されたジャンクの一式で、なんとそこにはダイオード二本をつきあわせたミクサー部や14GのBPF部もついている。このミクサー部をハサミで切り出して、ケースに入れてみた。14G用だから10Gでも使えるだろう てな思い込みだ。
 これで受信の接続にして、前に直下用に作っておいたプリアンプをつけて調整すると・・・おっ、現用のトランスバーターよりも簡易マーカーが遠くまで聞こえるぞ!!これなら受信感度は十分だ。 同じミクサーを送信にも切り替えて使うつもりなので、結線してみたら、これでもそこそこいけそうだ。ふふふふふ、ジャンクは宝だなぁ・・・。

12月某日 いよいよパワーアンプユニットの調整にかかることにした。FETで五段というすごいアンプなのだが、大日方OMから専用のくりぬきケースを譲っていただいたので、安定動作を期待したい。10GのTRVの信号にATTを入れて、スタブを少しずつ調整していくと、最初、100mWだったのが、だんだんか増えて500mWまで増えた。これでミクサーをつないで次はやってみよう。

12月8日 明日は技術アドバイス講習会なので、その前に、ミクサーを送信状態にして、テストしようとした。ん???・・・が、なんだか変だ。

ぎゃっー!!! 1.2Gの送信から先にATTがはいってないじゃん!!だ、ダイオードが死んだぁ!!!! 名実ともに真っ暗になった晩であった。

12月9日 技術アドバイス講習会に調整途中のアンプを持ちこんだ。だいぶん、追いこんだつもりだったのだが、槇岡さんにかかるとまだまだ出るからすごいものだ。なんと1w以上でるようだ。恐ろしい・・・。多分、このアンプで1wOVERはオリンピックデータ―ではないかと思う。しかし、昨晩飛ばしたダイオードを思うと心中は複雑である。講習会のあとの忘年会でも、目の前のカニの具がダイオードにチラチラと見えたりしたことは言うまでもない。

なんとか復活!!そして完成!!

12月10日 ローカルの大OM宅を尋ねて、使えそうなダイオードを譲っていだくことができた。これでなんとか復活できるだろうか。

12月11日 バラックでのテストでは、ダイオードミクサーにアンプをつないで1Wがでる事を確認した。さらにBPFをミクサーの後に入れてみたが、これでも0.8w程度は出せそうだ。うーん、あとは切り替えも作ったほうがいいかな。

12月23日 マキ電機におじゃまして、ポジスタを入手してきた。5GがどうもQRHするので、10Gだともっとすごいことになるだろう・・・という事で、局発の基準になる水晶にかぶせることにした。かぶせてみたら、周波数が今までとだいぶんかわったが、TCXOマーカーが安定して聞こえるようになった。

12月27日 がぜんやる気が高まって、ケースを買ってきた。アルミ板二枚を使って、送信アンプ・受信アンプ・ミクサーユニットなどを固定し、その二枚の間に切り替えやバイアス電源回路、同軸リレーをいれるようにしてみた。また、どうせ直下用なので、無駄なスイッチは省略し、出力は直接にセミリジットが突き出して、ホーンにつなぐようにしてみた。コネクタ一つでロスは増えるものねぇ。うーん、なんとかこれでできたのだから、あとは実戦テストをしたいなぁ。

1月4日  YAMA−MLを見ていたら、JS1UVH大矢さんが丹沢に移動するというのでワッチしていた。ほどなく、元気な声が聞こえてきたので、2.4Gで交信。続いて5Gでも交信した。前回、10Gが机の上に置いたトランスバーターにホーンアンテナだけでもFSで交信できたのを思い出して、御願いして10Gの準備をしてみた。 ドキドキしながら送信すると、「はいはい来ているよ。FS」という事で送信はOK。受信もホーンを微妙に動かして、隣の家の壁に向けるとFSになった。
 おお、これで動くぞ!!アンテナは22mmのアルミパイプで作ったホーンに、秋月のインテルサット用のLNBについていたデュアルモードホーンを無理やりつけたものを使ってみた。これでそこそこゲインも期待できるはずだ。

 さーて、あとはタワーを建てて、直下にあげるばかりなり!!