GWの岳沢・奥穂高岳南稜


5月3日〜6日の予定で、長さん、長さんの相棒のヤスさん、ノリさんと私の4人で岳沢にでかけた。GW に初めて行く岳沢は、とても魅力的な場所。東海岳連の学生さんたちが、合同で大勢が訓練に来て、真剣に訓練をしていた。また、PHで西穂高岳や前穂高岳に 行くために一泊で来た人、コブ尾根等の登攀組と、様々な岳人が集まっていた。訓練に適した環境もあり、上高地から近いので、「春山入門・訓練と登頂」なん てプランも、この場所で組めそうだ。

5月3日 朝6時半すぎに上高地を出て、9時半すぎには岳沢に到着。休憩込・ゆっくりでも3時間。涸沢よりもずーっと近いので、10時前にはテント場で設営。小屋の前にテント場が整地して、番号も振ってあり快適。設営後、コブ尾根と南稜の取り付きを確認。5日の天候が崩れるとの事で、どちらに行くかをノリさんと夕方まで迷った。

5月4日 2時半起床。満天の星がきれい。4時に奥穂高岳南稜に出発。既に20人位が南稜に向かっていた。ルンゼの雪の切れた所から取り付き、雪の急斜面を登って稜線に出る。良く冷えて雪は堅く、とても快適な登攀だ。

トリコロニー手前では、先行についていった所、ルートが雪庇で阻まれしまった。前後したパーティと雪庇を弱点から乗り越えると、きれいな広い雪稜が続いていた。ここが一番面白かったかなぁ。

その後、トリコロニーの最初の岩峰を真ん中から越える。次の岩峰はロープを出して二組が待っていたが、左から巻くトレースに気が付いたので、こちらから抜けた。この先は、雪のルートが続いており、結局、ロープは使わずに終わった。

さ らにナイフリッジを進み、最後の岩峰を右側の雪からよじ登ると素晴らしい展望。雪を削って座り、やっと落ち着いて休憩を取れた。「もうすぐみたい」と口に 出したが、現実はこの先の広い雪稜が長い長い…。途中でもう一本休んで、ようやく南稜の頭に8時着。すぐになだらかな斜面で奥穂高岳が見えたので、こちら に進んで8時18分に奥穂高岳の山頂に到着。目の前に槍ヶ岳、ジャンダルム、遠くに富士山までバッチリと見えていた。

し ばし休息してから、次は長い吊尾根に。正直、こちらの方が緊張する場面は多かった。稜線とはいえ、天気が良いので雪が腐った場所もあり、ちょうど先行する 二人組にコバンザメみたいに続きながら、雪質を見ながらのトラバース・下降を繰り返して、ようやく最低コル。でも、聞いたら前穂高沢はまだまだ先だとの事 で、結局、前穂高岳山頂まで行ってしまった。

本日、二つ目のピーク。いやはや疲れた。10時40分、前穂高着。北尾根を上がってきた人が歓声を上げていた。珍しくノリさんも疲れた顔。疲れたノリさんなんて、今までに見たことがあったかなぁ?


 下 りはトレースのある奥明神沢に。でも、かなり急。特に中間部で明神からの沢に合流する手前はかなりの斜度で、この日に滑落事故があったとの事で、ロープを 使うパーティもあった。最初は走ったが、途中から慎重に下って、12時にテント場に。前穂高岳を往復した長さんたちも、数分違いで戻ってこられました。ど うやら下りで横を気づかずに通過したらしい。

昼 からは小屋で生ビールで乾杯。でも、張り出してある天気を見ると、明日は槍ヶ岳に15pの降雪となり、天候は荒れるとの事。長さんの判断で「明日は下山だ な」との事になった。内心、「朝のうちは大丈夫かも…」と思っていたのだが、実際には、中止が大正解だった。午後は、昼寝してから岩のテーブルでお茶。 やっぱり春山はこうでなくちゃね。でも、下山と決まって、もう一泊分の食材も夕食に消化したので、下山して乗った体重計は怖いことになっていた。イカン、しばらく節制だ…。

5 月5日 4時半頃に起床。天気は曇り。ああ、行けたかなと思っていたら6時に激しく湿雪。7時過ぎに撤収・下山を開始して、8時半頃には上高地に到着。天 気は雨となり、山の上は真っ白。これでコブ尾根なんて行っていたらば、良くてもボロボロ、悪くすれば濡れてから凍って低体温症だったろう。

最後は沢渡から温泉経由・渋滞付きの帰途に。でも、17時には秦野まで帰り着いた。ああ、終わってしまった。これで今年の雪山シーズンも終わりかなぁ。

長さん、どうもすばらしい場所に一緒に行っていただきありがとうございました。ぜひ、次の機会も楽しみにしております。

ノリさん、今シーズン、ずっと雪の山を共にしてくれてありがとうございました。目ん玉凍ったり、いろいろありましたが、信頼できる相棒に恵まれて、なんとか生き残れました。

次の雪山シーズンを夢に見ながら、GWの岳沢山行は終った。