谷川岳西黒尾根・偵察山行

 

2月25日・土曜の夜から「東尾根の偵察」として、西黒尾根に出かけた。土合駅は、白毛門に行くブナの会の若い二人の女性がいただけで、天気が悪いからか空いていた。

26日・朝から小雪が舞っていたが、それほど風は強くなく、気温は高めな感じだ。指導センターの先で雪を掘って弱層を見た所、新雪の下に雨が降ったための堅い氷、そしてその下に顕著な弱層、さらにしまり雪の下30CM程にも顕著な 弱層があった。

 西黒尾根の鉄塔下でも掘ってみが、同様に表面近くに顕著な弱層があり、今週の雪の振り方によっては、ドバッと雪崩れやすい条件になるのでは、と思われた。西黒尾根の下部は、積雪が少し多めかな という程度だったが、中くらいから上はかなり多く、ラクダのコブの露岩はほぼ埋まりきり、 ザンゲ岩が出ている以外の岩は、はっきりとは確認できなかった。例年、ラクダのコルから先は西黒沢側に雪庇が発達するが、今年はこれがとても巨大で、早くも根元に深く大きなクレパスが口を開いていた。2012FEBSEPPI.JPG - 7,133BYTES

先行する二人組(地元・前橋の山屋さん)のトレースを途中まで辿ったが、途中で雪庇を乗り越えていた。これを避けて右により過ぎたら、突然、マチガ沢側の雪を踏みぬいて空洞にドボンと落ちた。空洞をよく見ると、ブッシュの急斜面と雪の間に空洞ができて、ずっと下まで闇がつながっていた。右も左も寄りすぎてはダメだ。

さらに、この先で視界が悪くなり、吹雪も激しくなった。GPSを見ながら方角を修正して歩き、先行していた二人と合流して、肩の小屋までなんとか行きついた。

小屋にて休憩してひと心地。でも、なんだか小屋の中に人がいる気配が…。出てきたのは単独の若い男性で、土曜日に天神尾根から来たが、この天候で降りられなくなった、一緒に降りてもよいか、との事。このため、前橋の二人組と彼、そして私たちの合計五人で天神尾根を一緒に降りる事になった。

肩の広場のケルンと道標はすべて雪に埋まっており、尾根の入口が判然とせずに、ホワイトアウトだ。GPSを見て少し降り、また位置を見て方角の修正を繰り返した。無事に尾根に入って少し下ると、風も弱くなった。熊穴沢避難小屋は、完全に雪に埋まって、積雪を示す棒が出ているだけだった。その後はトレールを外すと腰近くまで潜る中を、と途中から前橋の二人組が先頭になって天神平に降りた。登り6時間、下り1時間半、ルート探し付の充実した山行だった。

前橋の二人の話では、この時期に雪庇がぱっくり割れるのは、数年前の豪雪の時にもあったらしく、今年はそれに匹敵する雪の様だ。お二人も東尾根を目指しているとの事で、「今年は厳しいかねぇ」と話していた。

その後、ベースステーションに戻ってから、裏からショートカットして湯檜曽川に水質検査用の水を汲みにいった。職場の部活で毎年恒例のスノーキャンプができるかどうか、放射性物質を前橋の会社に送って検査してもらうためだ。数日後、検査結果が出たが、「放射性物質は不検出」との事で、安心して春合宿が計画できそうだ。

肝心の谷川岳・東尾根は、3月・解禁直後の週末が天候不順とみて見送った。しかし、結果的には最高の晴天で多くの人が東尾根の登攀に成功した。本当に上越の天気は予測が難しい。でも、まだ立ち入り禁止が出るまでにワンチャンスがあるかも、と狙っている。

写真は、パックリと口を開いた雪庇を見下ろした一枚。向かって左が私たちのトレース、雪庇をこえているのが前橋の二人のもの。クレパスは限りなく下まで続いて見え底が見えなかった…。これに乗っていて落ちたらコワーイなぁ。