ダブルヘッダーは辛いよ

 河原木場沢・稲子岳南壁 

 

 今年の集中は黒百合平と聞いて、「沢から集中して、ツイデに稲子岳南壁もやる」という、まるで中華丼とカレーライスのセットみたいな怪しい計画となった。

 9月18日夜は、唐沢鉱泉駐車場で他のパーティとも合流して前祝い。翌朝、河原木場沢の出合付近に駐車して、6時に出発した。河原木場沢は、八ヶ岳最大の醤油樽の滝(35m)が冬に凍るらしいので、「じゃあ、下見を兼ねて」と、またまたツイデ・モードである。

 

KAWARAKIBA.JPG - 78,396BYTES遊歩道を30分程たどると、滝が天から落ちていた。さすがに35mはでかい。凍ったら登りごたえがありそうだ。梯子で落ち口まで行く事ができる。しかし、巻きはかなり戻って、尾根の裏側から回り込む大巻きとなった。

その先は硫黄で赤くなったナメが続いたが、倒木が多くて滝は目立たない。やがて二段10m滝で、この巻きが核心部らしい。下の段を右岸から巻いたが、これは登った方が正解と思う。二段目は、一見すると悪いが、実際には踏み跡がしっかりしているので、落ち口に巻き気味に出るのがよい。

これが終わると、すぐに4mハング滝だ。そして、二俣で水の少ない右に入ると、もうツメとなる。二俣を左に行くと壮絶なガレだが、右は草原となって傾斜を増し、最後だけガレが少しだけあった。天狗岳西尾根の稜線に10時過ぎに到着。ちょうど西天狗から降りてきた展望台とのコルあたりだ。振り返ると阿弥陀岳が綺麗だった。

稜線を歩いて西天狗岳に10:45着。ここは広くてたくさんの人でにぎわっていた。その後、東天狗とのコルからショートカット(?)して、12時ちょうどに黒百合平に集中できた。…と書けばカッコヨイのだが、テントや岩道具等で荷が重く、暑くて最後はヒーヒーと言っていた。

さて、集中を終えると、テントを設営してから「稲子岳南壁もやろう」と13時に出発した。午前中に登ったパーティからアプローチを聞いたのだが、気の早い私が足を踏み入れたのはジャングル顔負けの原生林。足が地に着かない空中遊泳となったが、14時半に南壁下に到着した。これは誰の趣味かなぁ??

 

「さて、左カンテはどこかな」と探しても、「目印の赤テープ」がない。しばらく探してから、「頭上の岩が写真と似ている」とリングボルト2本の所から登る事にした。でも、正しい取付は100mも左にあったらしい。ここで、「若い人に」とトップをもらって14:45頃にスタートだ。

 

 1p目 結構しょっぱい凹角からクラック。古いハーケンがあり、一部の被った岩にはA0用のシュリンゲもあった。40m程登ったテラスにハーケン三本があり、ピッチを切った。一部W。

 

 2P目 凹角からジェードル状に開き、高度感が出る。ジェードルは頭をハングがふさぐので、右に回ると浮き石だらけのテラス。岩溝に挟まった石を支点にビレイ。Vから一瞬W程度。

 

 3P目 凹角から左に登りだすと古いハーケン。ルートは斜めに右上するが、傾斜が緩くてUかV。「これは、ルートが違うな」と気がついた。でも、「さっきのハングで左に行けばよかったのかも」と議論して、「少し左に行ったら戻るかも」との話になる。

 

 4P目 左に出てしばらく岩の弱点をたどると古いハーケンを発見する。上部はハングしているが切れ目から越えられそうだ。弱点をさぐると、古くてさびているが、ガッチリしたハーケンが見つかる。最後のW+程度の被った岩もハーケンがあり、支点をとってから慎重に乗り越えたら、短いガレの先に頂上が見えた。後続を迎えて17:05終了。

 

 後は片付けをしてから稲子岳から地図にない登山道をたどる。中山峠への登り返しは辛いが、Sさんが気合の入った掛け声をかけ、なんとか18:05にテント場にたどり着いた。さあ、ビールが待っている。今日ならいくらでも飲めそうだなぁ。

 

*帰宅してから日本登山体系を何度も読んでみたが、どうも中央フェース下部・ハングルート、中間・上昇バンド、上部・エギーユ垂壁の一部あたりを登ったように思う。もっとも上部は全然違うかもしれないが…。hi

 

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