GWの 涸沢生活

 

「今年のGWは前穂北尾根の登攀」と思っていた。しかし、うかうかしていたらザイルを組む人がいな い。「じゃあ、とりあえず涸沢生活を楽しもう」と心変わりして、総勢6名・2パーティでの涸沢生活とあいなった。


5/1
 夜の都庁前駐車場は例年より人が少ない気がする。「千 円高速」の影響かな??


5/2
 5:40頃に上高地に到着。今日は涸沢までの予定だが、小梨平で都連、徳沢への道で相模APCの人と出会う。不思議なく らい山は狭い。横尾まで道に雪は無く、冬は撤去される本谷橋が既に架かっていた。涸沢着 13:00。テント設営後は、やっぱりヒュッテのオデンと生 ビールで乾杯。夕方は、料理人・Oさんがマグロと手巻き寿司などに腕を披露。こりゃあ、高級料亭・涸沢の出現だ。


5/3
 朝3:00起床。のんびり5:00出発で奥穂高をめざして 小豆沢を登る。増田さんがトップでゆっくり上がるのだが、去年、しばらく山を休んでいた重さんが少しバテ気味だ。コルから鎖場の順番待ち・上り下りの行き 違いをへて、奥穂高岳に立つと思いのほか風が強かった。山頂からの下りは慎重に、小豆沢からはシリセードの跡を快適に駆け下った。下りにカールで太陽に焼 かれると、やっぱり生ビールが欲しくなる。


5/4
 朝3:00起床。4:30出発で、照さんと一足先に北穂東稜に向かう。韓国から来た三人組をルンゼ取付で追い抜 き、この日のトップで6:00に東稜のコルに出た。連日の晴天でステップがバケツだが、ザイルを結び、半分を巻いてコ ンテで行く。ゴジラの背の大半は雪がついていたが、すっぱり岩が立っている所だけは、立ち止まって確保した。懸垂地点もべったり雪がついており、数歩だけ 緊張して歩くと山頂に続く雪稜に出た。あとは雪稜をたどるだけだ。

「おーい」と声がして北穂沢組が手を振っている。こちらも手をふってコールを返して、写 真をとった。北穂小屋に7:30着。「なんだかあっけないね」と語り合った。風の無い山頂で一時間ほど北穂沢組を待ち、 皆で写真を撮ってからベースに下山した。下りは今日も快適だが、見ると東稜は20人以上が順番待ちで並んでいる。多分、20m程度の短いザイルでコンテ とスタカットを適時切り替えた方がよいのではないか、と見ていて感じた。

下山すると不調でテントにした仲間が迎えてくれ、皆で生ビールを飲みにテラスに行った。


5/5
 4:00起床。6:00出発で今日は下山だ。昨日まで曇りかけた空が朝はピーカンに晴れた。でも、下界に向かう 心と同じく横尾まで来ると雲が覆った。上高地の村営ホテルで一風呂あびて出てきたら、表銀座を縦走してきたウエケンのパーティとも一緒になった。皆でワイ ワイやりながらも、下界に戻る心は複雑だ。東京に列車が近づいたら私の心と同じく、雨が振り出した。ああ、終わってしまったな。こうして涸沢の夢の山の休 日は終わった。