ドゥルーズのシミュラークル論は、ある時期までのドゥルーズの中心概念であった。そのシミュラークル概念は、たとえばボードリヤールのものとはまったく違う射程を持つ。後の『シネマ』のイメージ論をも意識しながら、彼のシミュラークル論を検討する。
「プラトンとシミュラークル」
参照:
探求の主題がそれによってなる、いくつかの形相を輝かせること。
形相相互の同族性と異他性
eidolopoiike
ソフィストの存在が捉えがたい者であること。(多頭の怪物)
3 神話と哲学(313)
分割そのものの不可欠な要素
ディアレクティケーと神話の力を結合する。
『パイドロス』
魂の自己運動と不死性
翼の生えた馬と御者
天界でどれだけ真実ontos on, idea
を見たかによって、哲学者、美を愛する者、詩人、恋する者からソフィストまで振り分けられる
理念的な対象のイデア性
神話と哲学の区別そのものを越えたものが哲学。
分有されないもの(単純者)はすべて、自己自身の力で分有されるものを存在せしめ、分有される存在はすべて、自己に先立つ分有されない実在につながっている
分割は概念の種別化ではなく イデアの正統化である
ソフィスト
一瞬のきらめきのなかで、シミュラークルがたんなる偽のコピーではなく、コピーの概念そのものを問題にすること。
シミュラークル=非類似を内的な不均衡として隠し持っているもの
ソフィストの絵画論
『ソピステス』235-236
真似る技術には二種類
1)似像(eikon)を作る技術(eikastiken)
モデルの長さ・幅・奥行きについて比率が正しい
2)見かけだけを作る技術(phantastiken)
観察者はシミュラークルそれ自身の一部であり、シミュラークルは、その視点とともに変化し、変形する。
322 以下
「互いに似ているものだけが異なる」「差異だけが互いに類似する」
プラトニズムの転倒
シミュラークルを上昇させること、さまざまなコピーのあいだに、その権利を認めさせること
シミュラークルは頽落したコピーではなく、オリジナルとコピー、モデルと複製というカップルを否定する肯定的な力を持つ。
現れを操る者ソフィスト
画家のモデル 234 c
困難 ソフィストは見きわめがたい人間 236
現れの存在論
1)現れの相対主義的な定義 現れは、そのまま実在である
2)現れの多様性、不信 懐疑論、不可知論
現れの同一性と多様性、確実性とまどわし
現れが現れである限り、それは現れとして自覚されない。
3)現れは実在であるが、実在ではない。現れそのものの実在が、否定の契機をはらむ
多様な現れを通じて現れる一者
ひとつの現れは、それ自体のなかに、他の視点への移行の可能性をはらんでいる。
弁証法 多なる現れを通じて、一者が顕現する過程の言葉の動き。