「新釈白痴」創作ノート1

2010年1月

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01/01
元旦。次男夫婦とともにすごす。昨日、紙のメモ帳に、「新釈白痴」の冒頭の部分を書いてみた。いくらでも書ける。まだ創作ノートのチェックも終えていないし、原点の読み返しも終わっていないのだが、どんどん書きたいという気持が昂ぶっている。とにかく書き始めた。そのノートの部分を入力。すでにあとがきのメモは入力してあるのだが、いよいよ作品がスタートした。どんどん書けそうな気がしているのだが、ドストエフスキーでも書けなかった作品を書くという壮大な暴挙に挑むのだから、もう少し決意みたいなものがあるかと思ったのだが、意外とあっさり書き始めてしまった。どこかで行き詰まってストップするのか。行けるところまで行ってみたい。初詣は例年どおり、初衣神社。風が少しおさまって、少し寒さがやわらいだ。とにかく今年もこれでスタートした。

01/02
正月二日。別荘地のもちつき大会でもちをもらう。それから志都呂イオンに行く。ここは新幹線がよく見える。まず孫へのサービス。それから買い物。夕食は自然食のバイキング。無料の一歳児がわたしよりたくさん食べる。次男夫婦が買い物している間、荷物の番をしながらポメラで仕事。ラゴージンの登場シーン。原典では主役のラゴージンだが、わたしの新釈版では超脇役。それでも作品全体に暴力と背徳の通奏低音を響かせるためには重要な脇役である。正月休みだがしっかり仕事ができている。

01/03
孫たちはミカン狩りとイチゴ狩りに出かけた。その間にこちらは仕事。昨日書いたポメラを入力。ここまでの流れはいいが、駅の描写などを修正。グーグルの地図がカタカナ表記になっているのは、便利なようでいて不便。ネットで昔のペテルブルグの地図が出ているのを見つけて活用。こちらはロシア語表記。ロシア語は意味はわからないが地名を読むことはできる。今日は風もなく温かい。孫がいる日常は緊張感があって楽しい。

01/04
孫が帰る。静かになったほっとする反面、寂しいような。妻と近くのレストランで昼食。昨年の年末からスタートした「白痴」。また数日しか経っていないが、一定のペースで前進している。まだ主人公の「白痴」は出てきていない。この作品で重要な人物となる白痴の父親(父親であることは作品の中盤まで明らかにされない)が最初に登場するのだが、この人物は重要である。この作品は、長いセリフの多い原典とは違って、たたみかけるようにストーリーを展開したいと思っている。しかし原典にある哲学性が失われてはいけないので、要所でストーリーがストップするポイントを設けたいと思っている。そのポイントというのは、哲学や宗教に関する議論なのだが、原典では話のきっかけとして絵画について語られることが多い。とくにハンス・ホルバインの「キリストの屍」は避けることができない重要ポイントだ。そこでなるべく早い段階でこの絵を出したおきたい。ということで、第一停留所としてこの絵の模写を出すことにした。原典ではラゴージンの家にあるこの絵を、父親の応接室に設置して、そこにラゴージンが訪ねてくるということで、父親、その息子(白痴の弟)、イッポリート(わたしの作品では主人公)、ラゴージンがそれぞれに感想を述べることになる。この間、ストーリーが滞ることになるのだが、こんなふうに時々、話が動かなくなるのがこの作品の特徴なので、そのことを早い段階で読者に示しておきたい。ということで、いまその部分を書いている。ネットで調べてとりあえずその絵をじっと見ている。ネットは便利だ。

01/05
本日はどこにも出かけず散歩のみ。ホルバインの絵をめぐっての議論、完了。志都呂イオンでポメラに打ち込んだ部分につながった。これで50枚くらいになった。1日10枚のペースで進んでいる。公用がなければこれくらいのペースで進むだろう。

01/06
十一時半に三ヶ日を出発。午後四時半ごろ三宿に到着。例年どおりの正月が終わったが、今年は孫に個性が出てきたので面白かった。イクラ、ダイコン、イチゴなど、好きなものが出てきた時の喜ぶようすが面白かった。さて、年賀状や新着の雑誌などを整理。最近はすべての情報交換がメールでできるので、仕事場にいても対応できる。昔は仕事場から帰ると郵便物の整理で時間をとられたのだが。さて、本日から夜型にきりかえて仕事に集中したい。明日は大学だが、そのほかには公用などはしばらくないので、この間に「白痴」に勢いをつけたい。50枚をすぎているのだが、まだ主人公の白痴が登場していない。わたしの作品では、日向の白痴と影の白痴というキャラクターの分裂がある。影の白痴というのは、日向の白痴の異母兄ということになる。この兄弟がセットになって白痴というイメージが完成する。こういうふうに書くと図式的だが、実際はもう少し複雑な関係になる。スヴィドリガイロフの後継者となるのは日向の白痴の方で、原典のムイシュキンに近いのは影の白痴の方。そのあたりを読者に向けてどのように描いていくかが課題となるだろう。とにかく、どんどん書いていきたい。今週末くらいには主人公の日向は白痴を登場させたい。

01/07
M大学。久しぶり。まあ、しゃべればいいだけの仕事は楽だ。

01/08
渋谷まで散歩。のんびりしてまだ正月気分。今週は昨日の大学だけなので、まだのんびりしていていい。「白痴」はすでに60枚くらいは書いているので、そろそろ第1章を終わりたい。まだ主人公が出てきていないが、これは予定どおり。

01/09
土曜日。世の中が休みだとこちらも落ち着く。下北沢まで散歩。本を買う。来週、ひさしぶりに文学について語る仕事があるので、少し情報をもっている必要があるので、評判になっている本を買ってみた。しかしいま「白痴」で頭がいっぱいになっているので、まあ付け焼き刃的な知識になってしまうだろう。還暦を過ぎた身としては、もはや他人が書いた本を熱心に読むということはできないだろう。老い先短い自分の生涯であと何ができるかということにしか興味がない。「白痴」は第1章を終える前に、神について、もう一押ししておきたかった。そこで癲癇の発作について暗示的な会話を入れることにした。この作品(原典)は、キリストについての考察から生まれた作品だから、わたしも神について語らなければならない。癲癇について語ると、パウロに言及しなければならない。まあ、そんな感じで、小出しに情報を出しながらストーリーを展開していくことになる。まだ手探りだが、ストーリーがあらすじだけになって空転しないように、理屈っぽいところも入れて、ストーリーと哲学が絡んでいかないといけない。

01/10
日曜日。昼。ネットでシンシナチ・ベンガルズの敗戦を確認。うーん。強い時は強いけれども、もろさのあるチームだった。まあ、どうせこのゾーン(Aカンファレンス)はインディアナポリス・コルツだろうと思っていたから、まあ、どうでもいいようなものだが、あのモンタナ・マジックで逆転負けした時のベンガルズの記憶があるので、もうちょっとがんばってほしかった。コルツの対抗はやはりペイトリオッツだろう。チャージャーズもなかなかのもの。Nカンファレンスは、ファーブのバイキングス対カウボーイズの準決勝がすでに決まっている。するともう一試合はセインツとカージナルスになるだろう。うわー、これは困った。どちらも応援してきたので、どちらにも勝ってほしい。でも、どちらかが勝ってファーブと対戦することになるだろう。スーパーボウルはずばり、マニング兄のコルツと、ファーブのバイキングスの対決。これはすばらしい試合になりそうだ。

01/11
月曜日だが祝日。まだ世の中が動き始めていないようで、今週も金曜日の文藝家協会理事会までは公用はない。ただ水曜にマイナーなテレビの仕事、木曜は大学なので、完全にフリーなのは本日と明日まで。「新釈白痴」は1章が完了。2章も順調に進行している。もう70枚以上は書いている。昨年は月産200枚オーバーだったが、今年もそのペースで行けそうだ。いま昨年を振り返ってみると、児童文学「青い目の王子」を書いていた4、5、6月がピッチが落ちていた。児童文学の場合はすみずみにまで神経が行き届いた文章を書かないといけないのでピッチが落ちたのかもしれないが、グーグル問題などで多忙だったし、武蔵野大学という新たなフィールドでの仕事を始めたので、時間がとられたということもある。今年は、大学にも慣れたし、著作権の問題は目途がついてきたので、安定したペースで進めると思う。目標としては4月末くらいで「白痴」に目途をつけたい。実はその先のことをまだ考えていない。やるべきこととのリストは用意してあるのだが、どの順番でやるかが決まっていない。今年の前半に4冊の本が出る。その反響も一つの指標になるだろう。反響がない分野に長くこだわっているわけにもいかない。やるべきことはたくさんあるので、社会のニーズがある方向に焦点を合わせるということも必要になる。ただし、ドストエフスキー論は最後までやりとげたいし、編集部の理解が得られるなら、児童文学も持続的にあとしばらくは試みたい。この二本柱のほかの小説は、じっくりと準備して、確実に読者をとらえるものを狙ってターゲットを絞っていきたい。これも「阿修羅の西行」と「なりひらの恋」の反響が一つの参考になるだろう。

01/12
昨日は月曜だったのに祝日なのでフットボールのことを忘れていた。今日チェックしてみると、ペイトリオッツが負けていた。これは意外。テキサンズなんて弱いチームだけど、これでコルツは楽になった。カージナルスは当然勝つと思っていたのに延長戦で相手のミスでようやく勝った。これは序盤のリードで油断があったからだろう。ワーナーは快調でパスが次々と決まっている。しかしカージナルスはセインツと対戦するんだよね。うわー、これはどちらを応援すべきか。いずれにしてもスーパーボウルでコルツを応援することになるだろうから、いまのところの気持としては、1、コルツ。2、カージナルス、3、セインツというくらいの感じで推移を見守ることにしよう。あ、バイキングスのファーブも応援したいけど、まあ、しようがないかな。それにしても、わたしがフットボールに興味をもちはじめた、モンタナがいた頃は、圧倒的にNカンファレンツが強かった。いまはマニング弟のジャイアンツが勝った時を除いては、Aカンファレンツの方が優位になっている。今年はカージナルスにがんばってもらいたい。セインツでもいいけど。カージナルスは昨年、スーパーボウルで逆転負けしたけれども、もう少しで勝ちそうだった。実力のあるチームだ。セインツが勝てば奇蹟といっていいだろう。ハリケーンから復興しつつあるニューオリンズ市民にとってはすばらしいプレゼントになるだろう。そうなるとセインツを応援したくなる。などとフットボールのことばかり書いているが、「白痴」も順調に進んでいる。いよいよ主人公が登場したが、始まってから90枚目だ。ここまで主人公を出さずにひっぱってこれたのは、なかなかのプロローグだと思う。

01/13
某テレビ局の収録。文学をテーマに3時間議論をするというので、正気の沙汰かと思ったが、本当に3時間議論をした。人数が多いので、1時間につき2回しゃべれば責任を果たせるので、あまりしゃべりすぎないようにした。その後、飲み会もあったので、まあ、これがメインだと考えたが、けっこう疲れた。本日は雑文を仕上げただけ。

01/14
M大学。雑文の残り。白痴とミニヨンが2ショットで登場。もしかしたらここが全篇の山場かもしれない。

01/15
文藝家協会。理事会の日だが、午後1時から公益法人化委員会が始まり、新年会まであったので、7時間以上の長丁場だった。これまで新年会は中華料理だったのだが、今年は近くのホテルで立食。この方が自由に人と話せるのでいいかな。中華料理でなくなったせいか理事の出席者が少なかったような気もするが、新聞記者の人がたくさんいたので面白かった。

01/16
土曜日。妻が午前中にボロ市に行くといっていたので、こちらもトースト一枚食べてから出かけることにした。まずトコヤがあいていないかと前を通ったら混んでいたので、そのまま前を通りすぎた。その時までどうやってボロ市に行くか考えていなかったが、トコヤの前を通りすぎた関係からそのまま先に進むと三軒茶屋に着いた。世田谷線に乗った。社内放送は世田谷で下りろと行っていたが、それは混雑した乗客を一刻も早く降ろそうという策略だ。ボロ市は上町から歩き始めるべきだ。すると少しずつ自宅に近づいていく。前に伊豆で知り合いになった焼き印の店が出ていた。道の中央を歩きながら左右の店を遠くからのぞくが、とくに目に触れるものもなく世田谷まで来た。とにかくものすごい混雑で、うしろから押されるのでレーンチェンジもままならない。前に来たことのある社会保険事務所の前を通った。前に来たのは年金の申しこみをしにきたのだ。こういう役所は手続きが煩雑で門前払いされるのではと不安であったがやさしいお姉さんが手続きをしてくれた。年金はちゃんと貰えている。金額はささやかなものだが、働かずにお金が貰えるのは嬉しい。年金は給料から天引きされていたわけだが、その時は税金みたいなものだろうと思っていた。税金は返ってこないが年金は一生お金が貰える。よい制度だと思う。雑踏を抜けて世田谷通りに出た。松陰神社を左折。そこから烏山川緑道に出れば、自宅まで迷わずに帰れる。ところが世田谷区役所前に来ると、ぴったりのタイミングで渋谷行きのバスが停まった。ここは始発だから乗ってから十分くらいのタイムラグがあったのだが、座席に座って待っていればよく、やがて自宅の近くまで運んでくれる。烏山川緑道を歩くよりはラクチンである。しかしこれでは散歩にならないが、わずかな距離ではあるが雑踏の中を歩いたので疲れた気がした。帰りにトコヤに寄った。またもや混んでいたが、今日サンパツをしておかないといけないので(サンパツした翌日は人に会うのが恥ずかしい)、トコヤに入ってテレビを見ていた。「新釈白痴」主人公の白痴が出てきたが、白痴のファーストショットがうまくいっているかどうか、最初から読み返してみることにした。もう100枚近くのところまで行っているので、読み返すのにも時間がかかる。
少し読み返してみたが、冒頭の部分は使い物にならないほどひどい。状況設定を図式的に説明しているだけだ。そう思って絶望的になったが、人物たちの会話を自然な流れになるように修正すれば何とかなることがわかった。ということで、その作業にあたっている。まだ雑文も少し残っているので明日は忙しい。

01/17
日曜日。プレーオフに入っているのでアメリカの土曜日にも試合がある。昼頃起きてネットにつなぐ。セインツとカージナルスは、セインツの圧勝。カージナルスは先週、45対45という激戦の延長戦に勝たぬいたばかりで疲労がたまっていたのだろう。わたしはハリケーンで壊滅したニーオリンズに判官贔屓的心情で応援してきたが、ブッシュといういやな名前のランニングバックのファンでもある。がんばってほしい。これでカンファレンスの決勝でロモのカウボーイズとファーブのバイキングズの勝者と対戦することになるが、いずれにしてもセインツを応援したい。もう一つの試合はマニングのコルツの圧勝。相手はたぶんチャージャーズだ。これはコルツを応援する。スーパーボウルがセインツ対コルツになったらどうするか。うーん、まだ心が決まっていない。

01/18
月曜日。まずネットでフットボールの試合。バイキングズはカウボーイズに圧勝。さすがはファーブだ。ニューオリンズのブリーズとのQB対決になる。コルツの相手はチャージャーズではなくジェッツになった。ディフェンスの強いチーム。QBは新人。しかし意外なダークホースで調子が上がっている。油断をしなければコルツの楽勝だろう。

大学。名刺がなくなったので出がけにいつもの文房具屋に寄ったら、扱いをやめたとのこと。世の中の人は名刺を作らなくなったのか、と一瞬考えてみたが、会社の名刺は大手の文房具販売店などが請け負うのだろうし、個人の名刺はパソコンで作るのだろう。そうなるとわたしもパソコンで作るしかない。お金ですむことなら業者に任せたかったのだが、知らない店を探すのもめんどうなので、自分で作ろうと決意した。「白痴」最初から読み返している。語り手のイッポリートと、第2の白痴(主人公でない人物)とが列車で出会う冒頭、話の手順を修正してキャラクターがぶれないようにした。うまくいった。あとは細かい修正で大丈夫だろう。

01/19
河出書房新社の担当者が「阿修羅の西行」の見本を届けてくれる。興福寺の阿修羅像を用いた奥深い装丁。興福寺にお金を払ったそうだ。申し訳ないような気持。阿修羅ブームなのでとっさにつけたこのタイトルで版元に余分な費用を払わせてしまったが、このアイキャッチで少しでも売り上げが伸びればと期待したい。中身には自信がある。すごい作品になっている。
渋谷まで散歩。名刺用の用紙を買う。自分でプリントするのでカラーでも印刷できるから白い紙を買う。帰ってネットでソフトをダウンロード。用紙のメーカーが無料のソフトを用意してくれている。やってみると年賀状のソフトと同じ。テンプレートや画像は必要ない。ただ文字を並べるだけ。恥ずかしながら役職が多いので文字を並べるだけで大変なのだが、色を少し変えることによって、部分的な変化をつけたい。色の選択によって印象が微妙に変化する。これまでのクリーム色の紙に黒だけというのもよかったが、せっかく自分で作るのだから、手作りだとわかるようなレイアウトにしたい。

01/20
「白痴」最初から読み返している。脇役の第2白痴のキャラクターが、いま書いている100枚くらいの段階では固まっているのだが、冒頭を書いた段階では揺れ動いていた。そこを修正しつつ前進している。これですでに書いたところまでの修正が完成すれば、第2白痴、その父親、語り手のイッポリート、原典にも出てくるラゴージンという、脇役陣のキャラクターが確立されることになる。ただし主人公の白痴と、ナスターシャ、アグラーヤはまだ出てきていない。この3人は原典とはまったく異なる人物たちである。名前を変えた方がいいかもしれない。ナスターシャはアナスタシアとか、そんな名前でもいい。アグラーヤについては、創作ノートではマーシャと書かれている。それでもいい。ここはこれから考えるべきことだ。

01/21
大学。今シーズン最終日。終わってから文学部の先生方と飲み会。飲み会は楽しい。しかし今日から三日間、飲み会が続く。飲み過ぎないようにと思いながら、かなり飲んでしまったようだが。帰ってメールをチェックすると「なりひらの恋」について、挿入された和歌の本歌を入れた方がいいのではとの提案が担当者から届いていた。なりひらの和歌はわたしの口語訳を入れたのだが、確かに本歌を入れると、わたしの口語訳と対比できて面白いかもしれない。しかしすべての和歌をチェックして本歌を入れるのは手間がかかる。作業に数時間を要した。

01/22
日本文藝著作権センターの臨時総会。これはわたしが作ったNPO法人だが、所期の目的を達成したので解散することになった。解散の方針は去年の定期総会で決めてあるので、本日はお世話になった児童文学の方々と懇親会。思いがけず著作権の仕事に関わり、これも思いがけず児童文学の方々と困難な問題に対処することになったが、結果としては著作権管理部を文藝家協会内に設立することになり、システムを確立することができた。このNPOは側面からサポートする組織として設立して一定の役割は果たせたと思う。スタッフたちと二次会。8年近くの活動期間このスタッフたちに支えられてきた。

01/23
コーラス。飲み会の三連チャン。無事に終わる。

01/24
日曜日。今日は何もないはずだったが、妻の従弟が引っ越しをしたというので、お祝いをもっていく。代々木上原の高級マンション。静かでいいところだった。自分の仕事は「新釈白痴」を最初から読み返している。あと少しで完了する。最初の100枚くらいのところがチェックできれば文体が確立する。まだ先のことは何も考えていないのだが、とにかく前に向かって進んでいる。

01/25
月曜日。さあ、フットボールの決勝だ。ネットにつなごうとするがなかなかつながらない。アクセスが殺到しているのではないか。ようやくつながった。コルツ快勝。もう1試合は延長戦。わたしはセインツを応援している。バイキングズのファーブはあまり好きではないが尊敬はしているので、コルツの相手としてはふさわしいと思っている。しかしどちらかといえばセインツ、と思って何度も更新していると、セインツの勝ちとなった。有線放送などでは同時中継をやっているはずだが、うちはつないでいない。そんなものをつなぐと自分の仕事ができないと恐れている。とにかく、スーパーボウルはコルツ対セインツになった。マニング対ブリーズ、アダイー対ブッシュ。どちらを応援したらいいかわからない。判官贔屓でセインツだろうな。コルツが勝っても喜ばしいとは思う。まあ、試合の成り行きだろう。接戦になってほしい。

01/26
昨夜、テレビで2試合を観たが、コルツは点差の割に接戦という感じだった。セインツはむしろ劣勢だったが、相手のファンブルに救われてかろうじて延長戦になった。ファーブの負傷と、最後の数十秒で人数オーバーの反則がなければバイキングズが勝っていたかもしれない。その時点の45ヤードくらいのゴールが狙えるチャンスだった。反則で5メートル下がったためにパスを投げ、それがインターセプトになった。まあ、これも運命なのかもしれない。本日は文藝家協会で打ち合わせ。武蔵野大学の講義要項を入力。2年目なので慣れた作業のはずだが、きれいにやり方を忘れている。ふだんブラウザのメニューバーを消しているので、コピペのやり方がわからずうろうろする。授業そのものも、テキストなどを変更する。基本は変わらないが、多少の修正をする。

01/27
朗報。「仏教って何?」発売一週間で増刷決定。版元に感謝。さて、本日は著作権分科会の今シーズンのシメの会。日本版フェアユースは膠着状態のまま次のシーズンに持ち越しとなった。「新釈白痴」第一章の見直しが終わった。ここまではパーフェクトに修正できたし、副主人公といえる第2白痴のキャラクターが鮮明になった。原典の中で山場と思われる白痴とイッポリートの対話を、第一章の終わりのあたりに設定することで、そこから話が始まるというこの作品のコンセプトを明瞭に示すことができた。これは小説のスタイルをした評論なので、ドストエフスキーを解説しつつさらに深く掘り下げる必要がある。議論のレベルを原典より上げないといけない。これからどうなるかわからないが、ようやくスタート台に立ったという気がする。

01/28
武蔵野大学の最終日のはずだが、わたしは試験をしないし、レポートは郵送するように学生に指示したので休み。貴重な休みなので映画を観ることにした。評判の3D映画。いつもはお台場の映画館に行くのだがお台場では3Dをやっていないというので六本木ヒルズに行く。ここはさすがに混んでいた(お台場はいつもガラガラ)。混んだ映画館で観るのは久しぶり。席も端の方なのでこんなところから見えるのかと思った。そもそもわたしは斜視の手術をしたにもかかわらず、いまだに目の焦点が合いにくいので、3Dがよく見えないことがある。ディズニーランドとかつくば万博で3Dを見たことはあるが、いまいちピシッと見えなかった。が、手術のせいで少しはよくなったのか、今回はよく見えた。字幕が手前に出るのが面白かった。「アバダー」という仕掛けも面白かったが、重力異常で計器が狂うほどの地域でアバダーが遠隔操縦できるのはなぜか疑問が残った。映画そのものは、「もののけ姫」のリメイクだね。話の構造がそっくり同じ。翼竜に乗って空を飛ぶシーンはウェントワース・ミラー主演の「ダイノトピア」そのまま。でも、宇宙人のヒロインがかっこよかった。

01/29
朝9時からの会議。とにかく妻の運転する車に乗りこむ。それだけで1日が終わった感じがするのだが、夕方は文化庁の新年会。渋谷の怪しげなパーティールーム。そこに著作権関係のおなじみのメンバーのおじさんたちが結集したのでヘンな感じ。今朝9時に会った人々とも再び顔を合わせる。1日に2回も会いたくないよ。しかしこのパーティールーム、生ビールやウィスキーソーダのサーバーがあるので、ひたすら飲み続けた。道玄坂の上の方なのでいつもの散歩のコース。自宅から歩いて行けるところがよかった。

01/30
土曜日。週末になった。久しぶりに別棟の書庫に入ってシェストフ10巻をもってくる。20歳くらいのころに熟読した本だ。「白痴」に言及した箇所も多いし、わたしのドストエフスキーの基礎となった書物だとずっと思っていたが、長く読み返していなかった。それでぱらぱらと読み返してみたのだが、何ということか、二十歳のころあれほど愛読した文章が、胸の中に入ってこない。シェストフの言っていることの浅さが露呈してみえる。こちらが年をとりすぎたせいか。そうだろうなあ。いまの自分はドストエフスキーよりも年上になってしまった。結局、シェストフはあまり活用できない。しかし10冊ぶんに目を通したので何かの役には立つだろう。

01/31
日曜日。この一ヶ月は著作権の仕事もありまだ大学もあったので多忙であったが、自分の仕事もしっかりできた。前半の2週間で一気に100枚以上書けたのでいい調子だと思っていたが、読み返してみると使いものにならない感じで、一時はどうなるかと思ったが、月の後半の2週間で修正することができた。これで主な登場人物がほぼ登場し(ヒロインがまだ出てきていないが)、それぞれのキャラクターが的確に表現できたし、文体も確立できたと思う。その上で、このまま前進していけばすごいものになるという手応えも得られた。結局、枚数は100枚と少しだが、充実した仕事ができたと思う。いい気分の次の月に進める。


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