試薬について


KH測定試薬
 KHはHCO3-イオンの濃度を表すものでありますが、はたしてKH試薬はHCO3-濃度をどのくらい正確にあらわしているでしょうか?

KH試薬はHCO3-イオンを酸で中和滴定する

HCO3-  +  H+  →  H2CO3


の反応で求めています。

  中和というとpH=7とすることではありません。下図にNa2CO3をHClで滴定した場合のイオン種のモル分率を示しますが、HCO3-イオンが無くなるpHはおよそ4です。
KH試薬はpH指示薬と酸の混合溶液であり、KHはpH=4とするのに必要な酸の量から決定されます。


このように、KH試薬は水のアルカリ度(pHのかわりにくさ)を測定しています。 もし、市販のpH安定剤を使用しているならば注意が必要です。
使用しているpH安定剤が炭酸系のものであれば測定値には問題はありませんが、リン酸系の安定剤を使用している場合にはHCO3-濃度とは全く関係ない数 値を示すでしょう。pHとKHからCO2の濃度を計算して異常に大きな値が算出される場合、リン酸塩過多の可能性があります。

 KH試薬に限らず、試薬が他の水槽と同じ値を示しているからといって、必ずしも水質(各イオンの量)が等しいとは限りません。水質検査試薬は各種イオン濃度を簡易的に調べるには便利ですし、自分の水槽の水質の変化を知る上では役に立ちます。
 しかし、「ある水草を育てるにはGH,KHが××の水質が良い」というような話から、各種水質調整剤を使用して同じ値に近づけて果たして同じ種類のイオンが同じ濃度になっているか?甚だ疑問であります。