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焼印の作成

 ジョイントキャップホルダーに文字を入れてほしいという依頼があり、い ろいろ検討しました。最初はカービングで文字を入れたのですが、1つ1つ作るのはとても大変ですし、仕上がりにも差が出てしまい、1つとして同じものにな りません。また、カービング出来るのはヌメ革に限られますので、お好みの色のものを作るには染色をしなくてはなりません。染色もやってみましたが、ムラが 出るし結構難しい。文字の刻印も市販されていますが高いし、字体が限られて自由なデザインが出来ません。

 そこで、染色済みの革に文字入れをするために焼印を作成してみました。 まず参考にしたのはBEーPALのページで す。ルーターを使って文字を彫ろうとしましたが、真鍮に書いた図柄を手で彫るのは至難の技で、断念。エッチングをしてみることにしました。参考にしたのは自作焼印のレシピ及び真鍮エッチングのページです。
 これらのページの通りにやれば出来ると思うのですが、レーザープリンターで印刷したトナーを真鍮に転写するのはあまり上手くいかなかったので、自分の方 法を書いておきます。使用したプリンターはNECの5656Cです。

 エッチングを行うにはレーザープリンターが必要です。今回、焼印が作れたのはこのプリンターがあったおかげです。安いので持っている方も多いと思いま す。高品位インクジェット用紙 フジフィルムの「画彩」(マスカットの写真がパッケージ)を使う人が多いようですので、私も同じ方法で試しました。どれだけ細かい文字で焼印が出来るか挑 戦のため、図柄はこんな感じで試しました(左は池田市のビリヤード場 センチュリーさ んのロゴを勝手に真似てみました 右はCenturyさんのロゴをヒントに考えたジョイントキャップホルダー用のオリジナルロゴ)。
 
 フォントはCharterの18ポイント 小さい字は8ポイントです。真鍮は1cmの角棒を使用。印刷して切り抜いた図柄を濡らして張ります。
 

 ここでアイロンをかけるのですが記事によって高温、中温説があり迷いました。色々やっ た結果、中温が良いように思います。何故高温がダメかというと、加熱した後、紙をふやかすのに水をかけるのですが、高温の場合は紙に染み込んだ水が金属表 面で一気に蒸発し、発生した水蒸気の圧力で紙が剥がれてしまいます。このときトナーも紙に持って行かれてしまいました。参考記事では加熱時間は5-10 分、力を入れて押すとか書かれていますが、こんなに時間はかかりませんでした。紙がずれるのを防止するために、軽く濡らしたタオルを上にあてて中温で1分 〜2分押し付けます。タオルを剥がすとまだ湿っていますが、予熱ですぐに乾きます。これに霧吹きで軽く水をふいてアイロンを直にあて、さらに1分程度押し 付けます。終わったら再度霧吹きした後、濡らしたタオルで包んでアイロンで再度加熱し数分蒸らします。
蒸らしたら乾かないうちに水の入った容器に入れて冷まします。紙は一気に剥がさず、端をしっかりおさえて、中央部から端に向けて指の腹でゆっくり擦りとる ように剥がしていきます。そうするとこんな感じになります(右側のは真鍮をカットするときに万力で挟んで文字が潰れたので違う面を使用して2回めです)。
 

白い紙の繊維が残らないように、よく擦ります(少しくらいは残っても良いようです)。腐 食させたくない面にマスキングテープを張り、腐食液に浸けます。
 
 腐食液はamazonで購入出来ました。これは塩化第2鉄の溶液で酸性ですがそれほど 危険なものではありません。使用後は中和して廃棄します。かなり処理できますので、しばらく捨てずに使う予定です。
エッチング処理は途中時々振り混ぜながら室温で1時間半行いました。水洗しトナーを爪で擦り落とすとこんな感じになりました。(右側はトナーを落とす前で す)
 

 これをカットしてやります。金切り鋸でも良いですが、ルーターが活躍します。切断砥石 では時間がかかるので、950円でス リッターブレードを購入。よく切れて満足です。万力で固定する際に文字部分を挟まないように注意しましょう(~~;)。

 いよいよ焼きです。最初はハンダごてを使わずにガスコンロで加熱してみましたが、焼き すぎて焦げたり、温度の感覚が全くつかめないのであきらめました。裏面に6mmの穴を開け、40Wの半田ごてに取り付けます(こての尖った部分が邪魔なの で切り落としました)。若干ゆるいので、アルミ箔を挟んで抜けないようにします(前例ではタップ&ダイスでネジを切られていますが、あまり金を使いたくな いのでアルミ箔を試しましたが、全然問題ありません)。

 まずは試しに焼いてみます。
 
 エッチングが浅く、文字の周囲が焼けてしまいました。これでは満足出来ないので、ルー ターで周囲を削ります。エッチングのラインがあるので割と簡単に削れます。

 
再度、テスト焼印を繰り返します。

 
右側の方は下の文字部分がまだ浅いようなので、さらに削りました。

完成です。

ホルダーを作成してみました。