アマミミヤマの!?

魔琴



皆様、こんにちは。魔琴と申します。通常、ボ〜ズが基本の“へっぽこ採集者”です。

今年は9月に鹿児島県の離島・奄美大島に行ってきました。奄美大島は3度目なのですが、毎回数頭のアマミミヤマ♂しか確認出来ていません・・・。今回は、たまたま1本の電柱に数頭のアマミミヤマ♂が付いていましたので、記事にしてみました。





2006年9月8日(金)へっぽこ遠征in奄美大島
鹿児島県・奄美大島  晴れ
のち雨 32℃





鹿児島県です!
鹿児島県です!

自分の場合、奄美大島遠征を行なう時は、基本的にアマミミヤマが発生する時期を狙う。どちらかと言うと確認し難いアマミミヤマ♀を観てみたいので、発生後期と言われている9月に標準を合わせている。





キイロスジボタル
キイロスジボタル

アマミミヤマは本土ミヤマ同様に、ある程度の標高から確認できるようになるので、昼間の内から地図を見ながら標高のある山を探し、尚且つ電柱のある場所を下見しいく。
・・・そうこうしている内に夕刻を過ぎ、辺りは暗くなってきた。アマミミヤマは夜の帳が下りた時間帯から活動を始めるので、昼間に下見をした場所に改めて行ってみる。すると“ほのかな光”が現れた。陸生ホタルの「キイロスジボタル」である。これを観ると奄美大島に来た意識がより強くなる。





電柱に居る!!
電柱に居る!!

アマミミヤマ採集となれば、やはり電柱を確認していく。決して電柱だけに居る訳ではないが、暗い森の中では樹に付いていたとしても樹皮と混同して見にくく、またかなり高い場所についているので見つけても長網が届かないのである。そういう意味でも電柱であれば、個体が付けば見やすいという事と、ある程度の高さが限られているという条件が揃っているので、“高い場所に上る”性質を持つアマミミヤマを採集する際には電柱を確認するのが効率が良い。
いくつか電柱を確認していくとクワガタらしい影が付いている。早速、長網をセッティングし採集態勢に入る。





奄美大島産・アマミミヤマ♂
奄美大島産・アマミミヤマ♂

何とか捕獲し網をたぐり寄せ、中を確認してみる。やはりアマミミヤマ♂であった。本土ミヤマとまた違った趣があり格好良い!奄美大島、入島後の1頭目は本当に嬉しい。





また居る!
また居る!

何気なく他にも個体は付いていないのか?と、同じ電柱を見上げると、何と別の個体が電柱を登っていた。再度、長網を手に持ち捕獲態勢に入る。





アマミミヤマ♂2頭目
アマミミヤマ♂2頭目

ネットインした個体は、やはりアマミミヤマ♂であった。先程の個体に比べると2頭目は“喜び度”が多少落ちるが、それでも嬉しい。
こうなると、この電柱にはまだ別個体が付いているのでは?と思い、もう一度“この電柱”を確認すると・・・





アマミミヤマ♂3頭目
アマミミヤマ♂3頭目

同じ電柱に3頭目のアマミミヤマ♂の個体が確認できた。・・・この時点で「この電柱は何かが違う!」と感じた。「もしかすると♀の確認が出来るのではないか・・・?」 そう思い、今一度この電柱を見上げてみたが、とりあえずそれ以上の個体は確認できなかった。





電柱の下にアマミミヤマ♂4頭目
電柱の下にアマミミヤマ♂4頭目

しかし、驚いた事に「上を見上げて居ないなら・・・」と思い、電柱の根元?を見てみると別のアマミミヤマ♂の個体が確認できた。どうみてもこの個体は“これから登ります!”と言わんばかりの状況であったので、ますますこの電柱が怪しくなってきた。





その近くにアマミミヤマ♂5頭目
その近くにアマミミヤマ♂5頭目

「いったい何なのだろう?」と思っていると、今度は更なる別のアマミミヤマ♂の個体が、“この電柱”目指して歩いてきた!とりあえず、この歩いている個体を観察していると、やはり“この電柱”に登り始めた。
・・・“魔性の女”という表現はあるが、まさに“魔性の電柱”といった所であろうか?とにかく不思議な魔力を持つ電柱だ。





電柱別角度にアマミミヤマ♂6頭目
電柱別角度にアマミミヤマ♂6頭目

・・・何だか冗談半分に、この“魔性電柱”の上を見上げてみると、何とアマミミヤマ♂の別個体が登っていた。先程まで地面側を見ていた間に登ったのだろうか?それとも飛んできたのだろうか?・・・結局“この電柱”に僅か数分の間に6頭のアマミミヤマ♂が集まってきた事になる。





7頭のアマミミヤマ♂
7頭のアマミミヤマ♂

それにしても、周辺に数本存在する電柱の中でも“魔性電柱”以外には、アマミミヤマ♂×1しか確認できず、より“この電柱”が怪しく感じる。こうなると完全にアマミミヤマ♀の疑い(可能性)が出て来るので、アマミミヤマ♀個体を探し出してみたいと思い、電柱の足回りや草木の根元から葉先まで、かなりの時間を周辺の調査に費やした。

・・・しかし、この後は♂個体も現れる事無く、“風が去ってしまった”感じであった。
結局、今回もアマミミヤマの♀個体は確認できなかったが、6頭もの♂が集まってきた電柱は、やはり♀の存在が大きく影響していると思われる。実はこの“魔性電柱”の根元にフルーツトラップを仕掛けていたのだが、♂は全く見向きもせずに、ひたすら電柱を登ろうとしていた。因みに採集した個体は宿に持ち帰り、トラップ用のバナナを与えてみると、しっかり食べるのである。何というか♀フェロモンの前では“団子より花”なのであろうか?

次回遠征の機会があれば、アマミミヤマ♀個体の確認も含め更なる調査が出来ればと思う。
(採集個体は最終日にリリースしました。)



へっぽこ採集記にお付き合い頂きまして、有り難う御座いました。

魔 琴
HP 「ミヤマの呪縛



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