小笠原航海記 その1

ジョニーおじさん


唐突ですが
小笠原諸島に行ってきました! だいぶ前になるけど・・・

10月に沖縄石垣島へマルンバ採集をもくろんでいた私は、何処でどのように踏み違えたのか、
10月になると小笠原ツアーに申し込んでいた。
もちろん目的はクワガタ採集である。
唐突に、いきおいだけで申し込んでいた。
今まで、これといった下調べをしていたわけではないので、ネットや過去の月刊むしの記事を確認して採集に備える。

小笠原で採れる虫は、一般的にはあまり魅力的なクワガタとは言い難い。
でも、私にとっては魅力的!
父島でチチジマネブト
母島でオガサワラネブトクワガタ
その両島でオガサワラチビクワガタ
計3種類である。

が、しかし、小笠原はそう容易いものではなかった。
だいたい、小笠原あたりまで採集に行く人は少ないようで記事が少ない。
更にあまり採れないという記事ばかりが目につく。
もちろん、詳細ポイントなんて書いていない。

参った!

東京にあって、一番遠い日本である。
片道25.5時間の船旅は辛いに決まっている。
飛行場はない。

一度出港してしまうと帰ってくるのは最短で6日後である。
でも現地は3泊。費用もかなり高額。
更に追い討ちをかけたのが、某氏(クワガタ界の重鎮?)の助言

「10月下旬から11月にかけての小笠原は一つだけ難点がありまして、
それはズバリ「雨が多い」ことです。2泊3日で全日程晴れたら超絶晴れ男、
1日しか降られなかったら晴れ男を名乗ってかまいません。
もっとも、一日中降りっぱなしな訳ではなく、1日のうちのどこかで降るといった降り方なんで、
採集できないわけではないです。」

厳しい指摘です。

10/31
銅鑼の音!出港!出発進行!
早朝6:30に出発
新調したキャリーカートは鉈、鋸、ナイフと危ないものばかりで重くなっている。
飛行機での移動であればセキュリティーで引っ掛かり絶対に不可能な装備だ。
JRを使って浜松町 竹下桟橋まで移動。
集合は9:00である。
前回(伊豆諸島)の時は神田から上野方面に乗り違えたので、今回は注意しなくてはいけない。
8:15にA氏と浜松町駅改札で待ち合わせ。
今回も伊豆諸島と同様にご一緒していただくA氏は全く虫に興味が無い。彼は幼虫を触れない。

順調!順調!予定通り!

9:00前より受付が始まった。
ツアー名は「小笠原訪問並びに交流ツアー」である通常ツアーは58,000円のところ今回は格安である。
定刻通りに出港。
これが「おがさわら丸」
レインボーブリッチをくぐり抜け大海原へと向かう。
あとは25.5時間で1,000km離れた小笠原に到着する。
それにしても長い。
二等席はこんな感じでけっこう すし詰め。バケツの意味するところは何・・・  答え:ゲロバケツ
このときの乗員数462人、普段より100名程度多い
船内の売店 その他の施設も充実していました。 シャワーもフルタイム無料!

私はいつでも、どこでも、すぐに寝られるという特技を持っているらしい。
もしかしたらと思っていたが、今回の航海で確信した。
しかも、その特技は目が覚めても、すぐに繰り返し使えるのである。

おやすみなさい。
・・・
目が覚めると昼。昼食を食べて寝る。
・・・
目が覚めると夜。夕食を兼ねてA氏と酒盛り。
その後、寝る。
・・・
A氏談:おがさわら丸12000馬力のディーゼルエンジンの音と振動をものともせず、工事現場みたいな音を出しながら寝ていた。

だから言ったでしょ!「耳栓必須って」


11/1
目が覚めると朝。朝食をとって寝る。
・・・
この頃になると外洋を航海している船は暑い。曇っていても暑い。
小笠原諸島の最北端が見えてくるのもこの頃であった。
見えてきた「小笠原の北端 ケータ列島」

定刻11:30より10分速く11:20に父島二見港に到着。
歓迎の垂れ幕や音楽が演奏されているのにはビックリした。
島で最も盛況がある場所・・・港
宿のプレートを持った出迎えが大勢いる。私たちは「民宿Beep」
エレファントマンのようなおじさんがお出迎えしてくれた。
荷物を車に乗せて、出発進行!といっても歩いても5分かな?
決して綺麗とか素敵とか、そんな言葉が当てはまるような宿ではなかった。
伊豆諸島のバンガローが高級リゾートホテルに感じられたのは私だけであろうか。

与えられた時間は少ない
そそくさと、身支度を整え、予約してあるレンタルバイク屋へ向かう。
原チャリといえども○○年ぶりである。
A氏にエンジンのかけ方、ウインカー、等々をレクチャーして頂き、跨り、駆ける。

東京から1,000km離れた東京の中心部

ここが町の中心部 港の周辺のみであとは山 信号は2つだけ

父島での時間は今日の午後と明日1日のみ、なんとか採集したいものである。
父島のポイントは旭山、夜明山、中央山、辺りらしいがそれ以上のことはわからない。
だいたいネブトクワガタを採った経験がない。

島を周遊する起伏が非常に激しい道があるので、それを使って順に探していくしかない。
山といっても600mそこそこの山しかないので道路から登山道、遊歩道に入ってもあまりきつくはない。(それでも嫌いだが)

小笠原父島はこんな山と海です
海と山はメチャきれいです

まずは港からバイクで登ってきて一番最初の長崎展望台へ
小笠原固有種のタコノキの風貌には最初は驚かされたが、あまりにも、どこにでもあるので最後には慣れてしまった。
長崎展望台から 
ここで初めてオガサワラトカゲと遭遇!カッコイイ!!
でもここには虫はいなそう。乾いています。
チチジマネブトクワガタのポイントのひとつであろうと推測される旭山の入り口

看板で保護区を確認
小笠原諸島は言わずと知れた、自然に富んだ島々が連なっている。
ゆえに国定公園とか、鳥獣保護区とか、エコツーリズムとか、自然保護とか
色々とクワガタ採集に制約があり、要は、クワガタを採ってはいけない区域が存在する。
ちゃんと確認して、決められたことは守る。

道を歩きながら、倒木を探す。

ネブトクワガタは
・松の赤枯れ倒木に入っている。
・倒木と地面の間に入っている。
・赤枯れ倒木は適度に朽ちている事。(グズグズ不可)
以上が頭に叩き込んできた条件とイメージである。

歩き始めて数本目の倒木をひっくり返すとあっさりと出た!
鉈なんて必要ない
倒木をひっくり返すと地面との間に幼虫が
あっさりと出てしまったが、このチチジマネブトは母島で採集するオガサワラネブトよりもはるかに難しいらしいのだが・・・

更に小さいけど♂成虫も
待望のチチジマネブト マイラベル

また、幼虫が出た。このお尻の大きさはネブトだ。♀だな
簡単に出すぎて拍子抜けしたが、
内心、有頂天になって「どんなもんだい!」てな感じで
A氏に軽くレクチャーしながら泥を掘っていると、やってくるのは蚊!
汗もかいているので虫除けスプレーなど役に立たない。
お尻までズボンの上から刺されて、からだ中が虫刺されになってしまった。34ヶ所は立派!

「それではお先に・・・」
A氏は行ってしまった・・・
彼はクワガタ採集に興味を示さない・・・
それでも私は探し続ける・・・

その後、場所を変えて、こんな皮だけになった材からも幼虫が出た。しかし・・・


後日談:
ここではチチネブと確信して採っていたが、
自宅に戻り、写真を撮っていると、どうも、お尻が小さい(ネブトっぽくない)
これが自宅に戻って撮った写真、これはオガチビですよ。絶対に!そういえば、ここからは親を出してないし・・・
バックのマットがチビクワの食いカスそのものです。まだまだ、青二才!
後日談でした。戻ります。

もとい
辺りはジャングルである。
本島の山々の風景とは全く違う。
沖縄の山々とも違う。
亜熱帯ジャングルそのものである。(亜熱帯ジャングルを知らないけど・・・)
こんな部分枯れを叩いて見ると
またまた、いきなり出てきたのはオガサワラチビクワガタ カッコイイ!!
これも父島では採集し難い種類のはずなのだが、採れたのだからOKです。
このクワガタは材の中で集団生活をする種類です
だいたいは♂♀成虫が一緒に採れて、幼虫も採れる。家族で生活をするクワガタです。
でも、肉食性なので弱った家族は食べられてしまいます。
本土で採れるチビクワガタよりも大きく、頭、胸がはるかにでかい、特異な種類です。
父島クリア
最初のポイントで父島をクリアしてしまいました。

その後は夜明道路をA氏とツーリングしながらの採集ポイント探しと観光となりました。
私は採れれば数が少なくても満足してしまうタイプなので実質的にはもう終わっていますね。

向こうに見えるは野ヤギの群れ
父島にはどこにでもいました。

奥の建物は旧日本軍の通信司令室、今は只の廃墟。入っちゃダメです。

その他にも小笠原は太平洋戦争の傷跡が多く残っています。

こんな感じで、どこにでも、防空壕がある。
ある意味、痛ましさがそのまま残っている、保存されている島です。
ほったらかしにされているだけ?

最初のポイントで
簡単にチチジマネブトとオガチビを採集してしまった私は
その後、夜明山、中央山と採集ポイント付近をめぐるが、皆無!
幼虫の糞にも会えず、夕刻を迎え宿へ戻った。

今晩の夕食は謝恩ツアーのための謝恩会である。
港の待合室が会場となっておりA氏とそちらに歩いていくと
すでに挨拶が始まっている。
挨拶が終わると乾杯!
もちろん「缶の発泡酒!」
小笠原渡航の目的のひとつである「亀の煮込み」が大鍋でふるまわれた。(アオウミガメだそうです)
見た目も味もモツ煮ですね。思っていたよりもくせはありません。ゼラチン質がたまりません

刺身はうまかったな。

それより、なにより、シカクマメのテンプラがうまかった。凄くうまかった。
台風で壊滅的な被害を受けたそうで少ししかなかったけど、うまかった。
写真を撮る前に食べちゃったので写真はありません。
これがシカクマメ 絶対にお勧めです。

島民の方による歓迎の催しが次々と行われていきます

フラ 見ての通りのフラダンス♪
でも、違うんです。伝統芸能らしいです。
小笠原の原住民はポリネシア辺りから来たとかで、日本ではないらしいです。変わった踊りでした。
おかあさん達のスチールドラムバンド
素晴らしい音色!絶賛です!アナログなのに、凄くエレクトリックで感動的でした。
演奏は・・・頑張っていました。

そうこうしながら、夜がふける・・・
島民の皆様、ありがとうございました。
とても楽しく、嬉しかったです。

宿に戻り、おやすみなさい。
A氏の寝られない苦労も知らずに、爆睡!



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