クワガタを求めて…
   (ボーズ??? 採れないオキノエラブノコ編)


by 爆走kozou.A


どうも爆走kozou.Aと申します。目標は全種全亜種採集・しかも特大個体です。
まだまだ未熟な僕ですが何卒お手柔らかに...
これは採集記って言うほど数も採っていないしはっきり言ってショボイ。暇潰し程度に思って読んでください。
  奈良の某大学農学部に通っている。学校の授業があるにもかかわらず単位なんてそっちのけ...
今採らないでいつ採るねん。授業はいつでも受けれるんだ。しかしクワガタはいつもその場所に居るとはかぎらない。


沖永良部島は、鹿児島市から南南西へ536km、東シナ海と太平洋に囲まれた周囲50.3km、面積96.3kuの島である。
この島にはオキノエラブノコギリクワガタ・オキノエラブヒラタクワガタ・オキノエラブネブトクワガタが生息しており
今回はオキノエラブノコギリ・オキノエラブヒラタの特大個体を採集すべくこの島へと足を運んだ。ここで各クワガタの特徴を簡単に書いておく。

オキノエラブノコギリクワガタ
リュウキュウノコギリクワガタの1亜種で大顎は緩やかな湾曲でどうもこの島以南は全て大顎の曲がりが緩やかになっている。
最大の特徴は何といっても美しい体色にあり黄色〜オレンジが多い。最大で64.5ミリだが60ミリを採集するのは困難を極める。特大サイズは60ミリからとなる。

オキノエラブヒラタクワガタ
ヒラタクワガタの1亜種でアマミヒラタよりも幅が狭い。最大の特徴は大顎の裏に生えている金色の毛で高級感いっぱいのヒラタクワガタである。数はあまり採集できず50ミリすら多くは採れないようで55ミリになるとかなりの大型のようだ。特大は60ミリからだがオキノエラブノコの60ミリよりこちらの方が一層採れにくいと筆者は思っている。

オキノエラブネブト・・・
ネブトクワガタの1亜種で赤みを帯びている個体が多いのが特徴。特大は30ミリかららしいが29ミリなどもなかなか採れないようだ。


採集記

7月4日
私は沖永良部島へと飛び立った。初めての島ということもありクワガタへの憧れと採れないかもしれないという不安感に包まれながら無事に飛行機は沖永良部島へと到着した。沖永良部島は非常に暑く日差しが非常にきつい。
オキノエラブノコギリはバナナでは採集できないと聞いていたが私は内心「ノコギリがトラップに来ないなんて んなアホな」という気持ちであった。早速越山と大山の二つにバナナトラップを仕掛けていった。トラップを6メートルほどの高さに設置していくのだが炎天下の中でのこの作業は非常に体力を消耗するもので80個ほど掛けたときにはもうくたばってしまい後は全てヒラタ狙いの床置きにした。
早速夜トラップを見に行ってみるが… ノコギリは1頭も付いていない。ヒラタは若干ではあるが付いているがどれも小型ばかり…
しかしこの時はとりあえず採集できればよく「これがオキノエラブヒラタか〜 裏に毛がある すげ〜」と思った。しかし今回の最大のターゲットであるノコギリは全くトラップには来ておらず心の中で「まだ 早かったみたいやな 明日からが勝負や」と言いながら下山した。

とんで7月7日
昨日は街灯で小型のノコギリを採集しほっとしていたが未だにトラップ採集数は0であった。そういえば昔本で読んだことがあったがオキノエラブノコの採集はタブのルッキングがいいらしいとの事。早速木を見ていくがタブがどれなのか全くわからない。一度下山して本屋に行き片っ端から植物図鑑を見ていき「タブ」はどういう木であるかをなんとなく覚え再度山へと向かった。
しかし7時間もルッキングしたのに採集数は0。しかも顔や手は日焼けで手などは水ぶくれになりかかっていた。
昼間のルッキング数も0であったため今日は街灯・トラップに頼るしかないと思いながらトラップを見て回るが全然居ない。もうトラップも終わりだと言うときのことであった。高所に掛けたトラップを見ると湾曲した顎のシルエットが懐中電灯に照らし出された。「いた〜 やった」と言いながら網をセットして再度見上げるとい・いない…
あわてて下を見るがどこにも居ない。草を掻き分け落ちたであろう場所へと行きLEDライトに変えもう一度探すこと5分…大歯型のノコが鎮座していた。その日はこの1個のトラップでその個体含め5頭採集することが出来たが相変わらず他のトラップでは0であった。


怒涛のラッシュの7月8日
朝5時におきてルッキングにいそしむどこか寂しげな姿の私がそこにあった。「今まで離島に行ってもトラップ頼りでろくにルッキングをしたことがなかったためもしこの技を習得できれば今後の採集の成果が大きく変わってくる」と思いながらずんずんおくに入っていくと何やら赤い実のようなものが枝の先端にくっ付いている。近寄ってみると高さ6メートルほどの枝先の至る所にノコギリが付いている。「遂に見つけた。こいつがタブか〜」と言いながら夢中で採集した。その後はこつを徐々に付かんでいきその日は70頭ほどの個体を採集することが出来た。勿論大歯型も9頭ほど入り「今までの採れないのは何だったのだろう??」位の勢いであった。夜もトラップを見るが昨日のトラップには大歯型がいたがそのほかのトラップは相変わらず0頭だった。


7月9日
コツもつかんだので数を稼ぐため朝からルッキング三昧である。時間も11時を周ったころだったであろうか…
1つの細いタブの木を見つけ何気なくゆすってみるとその木から13頭ものノコギリが落ちてきた。全てを採集してその場から立ち去ろうとしたときのことであった。時間差で後ろのほうからいかにも大きいであろう「ボテッ」という落下音が聞こえた。慌ててその場に戻ると今までに見た中では最も大きいノコがこちらを向いて威嚇している。「やった でかい」といい慌てて毒ビンへと放り込み採集もほどほどに引き上げた。帰って計ってみると60ミリジャストの特大個体であった。「よっしゃ〜 ま〜とりあえず一安心やな」勿論最終的にはギネスを狙っているためこんな程度では収まらないのが私である。夜も見回っていくつかの大歯をはじめ数多くを見たものの採集すらする気になれずリリースすることにした。一方のヒラタは55ミリほどの個体が1つ採集できたのみでその下は53ミリとしょぼいままである。街灯もこの日は風が強くクワガタは1頭も見つけることが出来なかった。

大きなタブの木。この木では50頭ほどは採集させていただいた。

大きなタブの木。この木では50頭ほどは採集させていただいた。


タブの高所に付くオキノエラブノコギリ...どこにいるかお分かりいただけるであろうか?

タブの高所に付くオキノエラブノコギリ...どこにいるかお分かりいただけるであろうか?


タブに付く大型のオキノエラブノコギリ

タブに付く大型のオキノエラブノコギリ



7月10日
この日も朝からのルッキングでノコギリを多数採集したがやはり大歯型は少なく57ミリ以上はなかなか採集することができない。しかも少し擦れている。昼にヒラタに掛けたトラップを見るが小型が少数付いているのみである。一度昼食を取りに下山し再度山に向かう。新たなタブの木を求め山の中にずんずん入っていくと小さい個体のなかに一目で特大とわかる個体が付いている。慎重にネットインして中をのぞくとやはりでかい。これは60.4ミリの個体であった。
いつの間にか日も暮れてヒラタのトラップを見ながら喉も渇いたので自販機で何を買おうかを見ていたときのことであった。
「ブルルルル バシーン」と何か大きなものが突然ぶつかったので目を大きくしてみると何とオキノエラブヒラタの特大個体であった。「うわ〜 デカイ」と言いながら毒ビンへしまいこむ。ヒラタの特大は非常に採りづらいと聞いていたため非常にうれしい。しかしまだこれはほんの序章に過ぎなかったのだ。街灯も何週かしてポイントを変える。実は昼に木の幹から樹液をだらだら出し蝶が多数集っている木を見つけたためそれを見に行くためである。昼間見たタブには相変わらずノコギリが付いており大きいものだけを採集していく。さて例の樹液までたどり着き早速懐中電灯で照らすと大きな蛾が多数付いている。しかしクワガタの姿はない。根元の草を掻き分けたときであった。
「うわ〜 デケ〜」一目で先ほどのものより大きな個体が顎だけ出して樹液を舐め舐めしているではないか。慌てて手で掴むが相手の力が強くなかなか出てこない。10分ほどの格闘の末彼は諦め出てきてくれた。先ほどのよりも一回りでかい。そのままヘトヘトになりながら宿に戻り小さいほうからノギスを当てると60ミリを越えている。でかい方は62ミリを越えている。
この日はにやけたまま床に就いたのはいうまでもない。この日はノコギリ60ミリ越え・ヒラタは62ミリと60ミリが採集できた。

樹液に来たオキノエラブノコギリ

樹液に来たオキノエラブノコギリ


かなり大きなヒラタの頭 残念としか言いようがない。

かなり大きなヒラタの頭 残念としか言いようがない。


街灯近くの壁に付く大型のオキノエラブノコ 来る街灯はいつも同じである。

街灯近くの壁に付く大型のオキノエラブノコ 来る街灯はいつも同じである。


自販機に飛んできた特大オキノエラブヒラタ

自販機に飛んできた特大オキノエラブヒラタ


特大のオキノエラブヒラタ

特大のオキノエラブヒラタ



7月13日
この日も大歯型のノコをいくつか採集したがやはり60ミリオーバーは殆ど居ない。
大したものも採れないまま夜になり秘密のポイントへとむかう。この日はN大学のK君(蜂屋らしいがクワガタも飼育しているようだ。)も一緒に採集したいとの事で周ることにした。その途中で私はノーヘル(ヘルメットしてなかった)警察に引き止められた。早くポイントへと行きたかったのだが30分ほど尋問を受けた。しかしこれは神が私にくれた大切な時間だったのだ。
尋問も終わりようやく採集に行けると思い2分ほどバイクを走らせたときのことであった。道のど真ん中に黒い物体が見えた。
まさかマルバネでもないし・・・一応見てみるか〜と思いバイクを降りた。K君は気づいていないようで危うく引くところだったが僕は「ストップ ストップ」と言い急停車させた。黒い物体に近づくとそれはオキノエラブヒラタの特大個体であった。
「やった〜 K君これでかいよ」K君は「何でこんなとこに歩いているのだろう? それにしても見つける爆走君も凄い」と言っていた。あの時警察に捕まっていなかったら間違いなくこの個体は採集できていなかっただろう。神よ…ありがとう。

バナナトラップに来たオキノエラブヒラタの大型58.8ミリ

バナナトラップに来たオキノエラブヒラタの大型58.8ミリ


タブに付く大型のオキノエラブノコギリ

タブに付く大型のオキノエラブノコギリ



7月14日
ここまではノコギリは大歯45頭ほど採集し300近くの個体を確認している。しかし60ミリ越えはわずか2頭と非常に少ない。本当に貴重なのだ。
昨日までに探し当てたタブの木を全てさらうかのごとく丁寧に見回っていく。何の気なしにいつもは見ない小さなタブに目をやった。この木は私の親指と人差し指で円を作れる位細く背丈も私ほど(175センチ)ほどしかない。いつもは目をやらない理由が容易にご理解いただけるであろう。しかし私の固定観念(オキノエラブノコは大きなタブの高い枝先にしかつかない)は崩れ去った。その木は10頭ほどの個体がへばりついていた。しかも1頭は今まで見たどのノコギリよりもでかい。でかいのを手で掴みとり気持ちを落ち着かせた。「これはデカイぞ」と思いつつも最後のため他の木も丁寧に見回りこの日の朝は大歯5頭と小型多数を採集することができた。
宿に戻りノギスを当てるとかる〜く61ミリは越えている。62ミリ近いその特大を片手にガッツポーズをとってしまった。
その後は大した成果も上がらず翌日の最終日の朝も大歯をいくつか採集し終了となった。

今回の成果 大半をリリースした。

今回の成果 大半をリリースした。


今回の大型ヒラタ 左より62ミリ・60ミリ・60ミリ・58ミリ・参考に右端55ミリ

今回の大型ヒラタ 左より62ミリ・60ミリ・60ミリ・58ミリ・参考に右端55ミリ


今回の特大ノコギリ左より61ミリ後半・60ミリ・60ミリ・参考に右端58ミリ後半

今回の特大ノコギリ左より61ミリ後半・60ミリ・60ミリ・参考に右端58ミリ後半


採集を終えて...
今回の旅で自分の採集レパートリーが増えたと確信した。今まではトラップに頼っていたが今回ルッキングと言う強力な武器を得た事により私の採集成果にも大きく影響してくると思う。
またバナナトラップに殆ど来ないノコギリが居た事にも驚いた。(私はバナトラでハチノコ52ミリ越えも採集しているので来ないノコギリは居ない気がしていた。)高所に掛けたにもかかわらず来ないのは何故か。そんなにタブの樹液は美味いのだろうか???…謎は深まるばかりである。また日中のほうが夜よりも遥かに多くの個体を観察できた。トカラノコギリやチャイロマルバネにもいえることだが色虫は日中の熱を吸収しにくくするためにこのような色になっているのであろう。黒いと暑くて死んでしまいますからね。

 

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